
■清水戦力分析
プレシーズンマッチを含めると、今季3回目の静岡ダービー。順位争いに大きな影響がない時でも、常にホットな試合になる王国対決だが、今回は清水が残留争いから抜け出すために、磐田が優勝争いに勝ち残るために、どうしても勝ち点3がほしい一戦となる。
ただ、そこに臨む清水の現状は、微妙な面がある。10月2日のG大阪戦(26節)までは、勝ったり負けたりという結果の中でも、内容的な手応えはつかめていた。25節の千葉戦でも、敗れはしたがアウェーで上位チーム相手に優位に試合を進める力を示し、G大阪戦でも、前半30分までは互角以上の戦いをした。だが、その後マルキーニョスのケガやオウンゴールをきっかけにガタガタと崩れてしまい、結果的に1−4の大敗。精神面での課題が浮き彫りになった。その為、その後2週間のインターバルでは、1対1で競り勝つという部分を強調したハードなトレーニングを行なうなど、長谷川監督は精神面を強調した指導を続けてきた。
ここでは清水の選手達が自信を取り戻し、精神的に充実した状態でダービーに臨むという前提で展望してみたい。幸いな事にG大阪戦でケガ(左足内転筋肉離れ)を負ったマルキーニョスも、ダービーには復帰できる可能性があり、そうなれば今後新たな負傷者が出ない限り、戦力的な不安も少ない。
これまでの流れからすれば、清水が4−2−3−1、磐田が3−5−2というシステムになることが濃厚だが、磐田は以前からこの形のチームを得意としていない。システムの相性という面で、2列目のワイドの選手をどのようにマークするかという部分が曖昧になりやすいからだ。逆に清水には、ここでしっかりと起点を作り、磐田の3バックやボランチを左右に開かせて中央にギャップを作ったり、アウトサイドの選手を後ろに下げさせて主導権を握ったりという展開を期待したい。
最近の流れでは、2列目のワイドのポジションには、右に太田、左に兵働という形が続いていたが、長谷川監督は、その時点で最も状態の良い選手を使うという考え方で一貫している為、変化もあるかもしれない。ただ、誰が出るにしても、このポジションの働きが、清水のサッカーの質を大きく左右する事になるだろう。その意味では、直接マッチアップはしないが、太田圭輔(兄・清水)と太田吉彰(弟・磐田)の兄弟対決が実現すれば非常に楽しみなところ。2人の「運動量対決」や「フリーランニング対決」も、試合の主導権を左右する要素になるからだ。
もうひとつ注目したいのは、長谷川監督も重視している局面局面での1対1。やはり、ここで負けていたら、磐田のパス回しを封じることはできない。気合いの入った厳しい当たりでボールを奪い、マイボールは身体を張ってしっかりとキープし、サイドに基点を作って得意の速い攻撃を展開する。それが、攻守両面で優位に立つ為の最大のポイントになるだろう。過去の対戦から考えても、一方的な展開になる可能性は低く、お互いに激しく攻め合うサッカーが期待できるのが静岡ダービーの良いところ。その中で、紙一重の勝負をものにする気持ちの強さを、清水の選手たちには期待したい。
以上
Reported by 前島芳雄
■磐田戦力分析
磐田生え抜き・山本監督vs清水生え抜き・長谷川監督、いわゆる『生え抜き監督』同士の対戦となる「静岡ダービー」。それを一番意識しているのが当の本人たちであり、実際プレーする選手の誰よりも強いこだわりを持っているようだ。
さらに、02年2ndステージ以来の日本平での「静岡ダービー」というのも興味深い。静岡スタジアムエコパが完成した01年以降は静岡での「静岡ダービー」がほとんどだったが、両チーム共に準ホームスタジアムとして使用している為、どちらのホームゲームなのかが曖昧になってしまうというのが正直なところだ。だが、久々の日本平で『清水のホームゲーム』という地元意識が、忘れかけていたダービーマッチの緊張感を取り戻し、試合の雰囲気をガラリと変えるかも知れない。ところが皮肉なことに、実は清水よりもアウェー磐田の方が、9戦中7勝0分2敗と日本平での対戦に相性が良い。これは磐田にとって有利なデータか?
清水で最も気を付けたい選手は、8月のJ1再開から加入したFWマルキーニョスだ。7試合で4得点と、エースのチョ・ジェジンと共に清水の貴重な得点源となっている。豊富な運動量で精力的に動き回り、ボールを受けると積極的にゴールを狙ってくる。磐田の誇る田中・服部・茶野・金らDF陣が彼をいかにして自由にさせないかが鍵となる。
また、清水FW陣に絶妙のクロスを上げてくるMF太田圭、杉山の「ヤングエスパルス」にも要注意だ。杉山は22節、太田圭は24節でスタメン抜擢され、以後レギュラーを確保し頭角を現しつつある。磐田もサイド攻撃には重点を置いており、村井、太田吉との両サイドでの攻防が焦点となりそうだ。余談だが、両チームの右サイド「太田」は実の兄弟であり、顔もプレーも非常によく似ている。「太田ブラザーズ・ダービー」に注目してみるのも面白いかもしれない。
磐田が衝くとしたら、ここ数試合ミスからの失点が続いている清水DFラインの甘さだろう。そこで特に期待がかかるのが、復活を遂げた西の活躍だ。「不完全燃焼だった分、今からできることをやりたい」と気合いも十分だ。
中山・澤登の両「Mr.」のプレーからも目が離せそうにない。第1回ダービーから戦いを交えている2人は、前回対戦した6月のプレシーズンマッチ後、顔を合わせた際「若くないんだから無理するなよ」「そっちもな!」と、チームは違えど長きに渡って戦い続ける男ならではの言葉で、お互いの労をねぎらった。今回はどんなプレーで魅せてくれるだろうか。試合結果もさることながら「これぞ静岡ダービー」と、積み重ねてきた時間の余韻に浸れる、後世に伝わるような試合を期待したい。
以上
Reported by 上岡真里江(ビットマイスター)
