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第4クール展望 こう戦う!

目の前の1戦だけに集中し、ひとつずつ階段を上っていく



 福岡のここまでの戦い方に満足している者はいないだろう。昨年の上位2チームがJ1へ自動昇格した後で迎えた2005年シーズン、誰もが福岡が昇格争いをリードするものと考えていたからだ。主力の2人が抜け、資金不足から補強が思うようにならなかったとはいえ、J2のレベルで考えれば運営資金も選手層もトップクラス。昨年終盤の厳しい戦いを勝ち抜いた経験から、精神的な強さも身につけているはずだった。しかし、蓋を開けてみれば昨年同様に混沌とした2位争いに巻き込まれ、苦しく厳しいシーズンを過ごしている。

 それでも3位の山形に勝ち点8の差をつけて第4クールを迎えられたのは、過去2年間で積み上げてきたベースのおかげといっていい。首位の京都から4位の甲府までの成績だけを抽出すると、京都の勝ち点19を筆頭に、以下、甲府(11)、山形(10)、福岡(8)と並ぶが、5位以下のチームから挙げた勝ち点を比べると、京都の53に、福岡(50)、山形(40)、甲府(38)と続く。下位チームから挙げた勝ち点は京都と遜色のないもので、悪いながらも大崩れはせず、下位チームから勝ち点を稼ぐという最低限の結果を維持してきたことが分かる。それはチームが戻るべきところを持っていたからだ。

 なんとか最低限のレベルを維持してきた福岡は、第3クールに入って上昇気流に乗り始めたが、それは、グラウシオを前線に固定したことと、古賀が完全復調を果たしたことが大きな要因になっている。本来のポジションに専念できるようになったグラウシオは第3クールだけで8得点とゴールを量産。高い個人技と強いフィジカル、そしてスピードある突破はボールを持っただけでチームの流れを一変させる。そして、古賀の強く、重く、速くサイドを切り裂くプレーは分かっていても止められず、相手チームに脅威を与えている。また、人材不足が心配されていたCBとSBのポジションに長野と山形辰徳が台頭し、チームに大きな力を与えていることも見逃せない。

 さらに、チームが精神的な強さを身につけたことも安定した戦いが出来るようになった原因のひとつだ。第16節から1分3敗と大きくブレーキがかかった時期があったが、その頃から、トレーニング中にピッチの上で選手が監督と意見交換をし、選手同士でプレーを確認しあう姿が見られるようになった。用意された戦術を実行するだけではなく、その戦術に主体的に関わることが、それまでややもすれば膠着化することのあったサイド攻撃を臨機応変なものに変え、意図した形で相手を崩し、ゴールを挙げるシーンが随所に見られるようになった。

 しかし、昨シーズンの終盤に見せた、リラックスした中にも研ぎ澄まされた緊張感を維持していた領域には、まだ達してはいない。加えて、トップとサテライトの差がなく層が厚いと言われていたチーム状況も、ここへ来て、サテライトの選手のモチベーションが上がっていないのも気になるところだ。残り11試合が全て思い通りに行くわけではない。厳しい状況に追い込まれることも、累積警告や怪我のために主力選手が抜けることもある。そんな状況を切り抜けるには、高い集中力と全員が一丸となって戦う姿勢が欠かせない。

 さて、第19節の甲府戦に敗れて以降、福岡は目の前の試合だけに集中する戦い方で現在のポジションを得た。しかし、山形との間にある勝ち点8の差は、昨年、自らが6試合で追いつき最終的に逆転を果たした数字と同じ。優位にあることは間違いないが、それは決して安全圏ではない。しかも、順位ほどの力の差がないJ2では、わずかな油断が命取りになる。そんな中では、これまで同様、自分を信じて目の前の1戦だけに集中し、ひとつずつ階段を上っていくしかない。相手の結果に一喜一憂せず、終わった結果に必要以上にとらわれず、まずはひとつ、ひとつのことを確実にやり遂げていくこと。その中で、京都の背中も、J1昇格のゴールも見えてくる。

 そして最後はクラブのサッカー力の勝負になる。サッカー力とは、チーム、フロント、球団職員、サポーター、そしてメディアの力の総和。J1昇格への戦いは、クラブに関わるあらゆる人たちの力の総和を競う戦いでもある。それぞれの人が、それぞれの思いを乗せて、それぞれの方法で戦うこと。そして勝ちたい気持ちをひとつにすること。最終的には、それが出来たチームがJ1昇格を果たすことになる。J1の戦いはチームの力のぶつかり合いであると同時に、福岡の人たちの思いが試されている場でもある。そんな戦いに負けるわけには行かない。残りは11試合。必ず昇格することを信じて強い気持ちで戦いたい。

Reported by 中倉一志