水戸ホーリーホック水戸ホーリーホック


第4クール展望 こう戦う!

守るだけでなく攻めて点をとるチームになる



今季に関していえば、開幕の4連敗のショックを引きづりながらも「よくもここまで立て直してきたな」と素直に評価したいと思う。もちろん、負け越しの10位という成績は褒められたものではないし、サポーターはもっと上の成績を望んでいる。しかし開幕当初のあの状況は目を覆わんばかりのものだったし、『堅守・水戸』のイメージとは程遠い戦いぶりに、どこまで凋落してしまうのかと誰もが不安になった。その最悪の状況からの転換は評価されてしかるべきもの、と私は考えている。そしてそのきっかけは次の3点。@リーダー・吉本の復帰 A永井のボランチ起用 Bつなぐサッカーへの転換 というところにある。

開幕のディフェンスラインは、吉瀬−森−深津−吉田の構成で、明らかにコミュニケーション不足。戦える状況ではなかった。ラインの高さも曖昧で、ワンミスが即失点につながっていた。「ありえない状況(栗田)」という言葉にチーム内での困惑ともどかしさも伺える。しかし、昨季からの戦術を理解する須田、大和田、吉本が入ることで安定した戦いができるようになってきた。そして永井のボランチ起用に踏み切ったアウェイでの仙台戦。勝点を取ることはできなかったが、このゲームを境に水戸は明らかに変わっていった。ただシンプルにデルリスの前に蹴りこむサッカーはやめて、つなぎながら突破口を見出すようになった。と同時に守備のコンセプトも修正。マルキーニョと森田の2シャドーも攻守の両面で今までにない噛み合いを見せ、「プレーをしていて今は本当に楽しい(第22節・森田)」と勢いが目に見える形で表れてきた。第2クール終了時は、開幕当初とはまるで別のチーム。勢いにまかせて後半戦の巻き返しに期待が持たれた。

が、そうはいかない辺りが、水戸というチームのもどかしさ。デルリスの電撃移籍は、サポーターはもちろん、チームの勢いさえも止めてしまった。私を含め、記者関係では『今のサッカーをしていればデルリスじゃなくても大丈夫』という見方が主だったが、デルリスが最終ラインに与えるプレッシャーは我々の想像を超えるものだったのだ。デルリスから開放されて相手チームの最終列は余裕をつかんだ。そして余裕のある相手チームに主導権を握られ、なす術ない不甲斐ないゲームが続いた。負けない試合はできるが勝つ試合には程遠い。結果として、第3クールわずか2勝という成績で、上位進出の可能性はごくごくわずかなものになってしまった。デルリスたった一人であるが、彼を手放した影響は、長く尾を引いてしまったことになる。「若いチームのメンタリティゆえ」と言ってしまえばそれまでだが、プロとして戦う以上これはいかがなものか。おそらくは、シーズン通してゆるぎない自信と覚悟を持ち合わせることが、J1への条件であるのだろうと感じたものだ。

そして、最終クール。注目すべきは、新加入のファビオを軸にしてどこまで勝ち数を伸ばせるかというその1点。ファビオ獲得に際しては「デルリスのこともあったし、契約上しょうがないとはいえ、サポーターの皆さんの期待を裏切ってしまった。そのせめてもの罪滅ぼし(強化担当)」というチーム強化部の思い入れも強い。デルリス以後、いろいろな外国人選手をピックアップして検討していたことはご存知の方も多いだろう。中には守備的な選手もいたが、あえてストライカーにこだわって獲得したところに、チームとしての第4クールの戦い方が意思表示されている。磯山、ファビオの2トップは、FWだけでシュートまで持っていける能力を有しているし、これは相手チームにとって大きな脅威になるはず。加えて、2列目のMF陣も各自が特徴を自由に発揮している。サイドバックが攻撃の基点となりうるのも強みだ。とりわけ須田と大和田は攻撃が大好きだし、引き続き得点に絡むシーが見られるだろう。シーズンが始まる前の壮行会でサポーターに約束した「守るだけでなく攻めて点を取るチームになる」というところへ向かうべく、第4クールを戦うはずだ。全員で守り全員で攻める。そして最後まで勝ちをあきらめない。前田監督も、それができる選手を起用しているし、戦術の浸透、選手間の相互理解もかなりの水準に達してきている。残されているゲームはわずかだが、攻撃的でアグレッシブなゲームを見せ、ここ数年でもっとも印象に残るチームになる予感がする。

Reported by 堀高介