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第4クール展望 こう戦う!

時間をかけてやっと掴んだ「仙台のサッカー」で、ただ結果を求めるのみ



  この街に住み、間近でこのチームを見ていた自分がそう思うくらいなのだから、きっと仙台を外から見ている方は、今季の仙台について、よりこの感想が強いはず。はっきり言って、評価が難しいチームである、と。

 決して言い訳ではなく、メンバー構成も含め、どれが「本当の仙台の戦い」なのか、はっきり「これ」と決めるのが、ここまでは難しかったのだ。

 今シーズンの仙台、開幕戦から仙台が辿ってきたシステムを含めた戦い方の変遷を一つ一つ振り返っていくと、それこそ文字数が足りなくなる。DFラインを高く保つサッカーでスタートし、序盤の大敗を受けて自陣に深く引くやり方に。かと思えば、サイドに高い攻撃力を持った相手に、突然「攻撃で相手の攻め上がりを抑える」と言って、守備に難を抱えた選手を対峙させてみたり、積極的な前からのプレスが功を奏し、チームとして流れを掴みかけた時期に、敢えて引いて守るサッカーを徹底させ、攻守のバランスを壊してしまうことも。ここまで開幕から変わらなかったのは、4バックというDFラインの形のみ、という状況である。

 またバロン、シルビーニョ、さらに富澤と、チームの主力を担うべき選手たちが、揃ってケガで序盤に不在だったことを差し引いても、あまりにもメンバーを定めることに時間をかけてしまった。

 そうなった要因として、監督の采配が関係する割合は高い。

 今季、プロクラブの監督としてキャリアを歩み出した都並監督。その頭脳には、恐らく自身の描く理想のサッカーや、選手の起用法というものが、少なくとも自分には明確にわかる形で存在している。

 だが、試合の結果よりも、試合の中でどれだけ選手を育てられるかが優先されるユースの監督とは違い、トップチームの監督が何より求められるのは結果。自身の理想がなかなか具現化されない時に取るべき手段は、理想と妥協を織り交ぜながら、勝ち点を取りに行くことである。

 しかし都並監督はその針路を、若干理想寄りに切り過ぎていた感がある。勝ち試合の後で布陣を変更し、翌節に結果が伴わなかったことがあまりにも多すぎた。第3クールまでの戦いぶりに話を限定すれば、自ら失った勝ち点は大きいと言わざるを得ない。

 …ところが、である。ここまでの論調を全てひっくり返してしまう気がして恐縮だが、第33節を終えた今現在、仙台は攻守のバランスが取れ、なおかつ試合の主導権を強く握ることの出来るサッカーを手に入れている。その姿はまるで「これまでの日々は決して無駄ではなかった」と主張しているかのようだ。

 まだこの素晴らしいサッカーは、第33節の湘南戦でしか披露されていない。しかしこの試合で見せたサッカーをもし継続させることが出来るのだとすれば、それは「仙台の最終形」として大いに誇るに値するものだった。

 まず、積極的な両SB。サイドが高い位置を取ることで相手のサイド攻撃を先手取って封じるというやり方は、都並監督が就任当初から語っていたものだが、このやり方において、自ら高い位置取りを持ってサイドを「持ち上げる」働きを担うSBは欠かせない。

 これを担う人選に今季仙台は苦心したが、ここに来て意外な形で答えが見つかった。右の中田と左の村上。共に本来はSBではない二人がピタリとはまった。

 また、彼らSBを支える高いDFラインも、完成に近づいている。富澤負傷後、再び不安を感じる時期もあったが、現在、木谷と根引で守るCBは、後方をカバーする高桑との連係も相まって整備が進んだ。

 さらに、チーム全体の重心が前方にシフトしたことで、敵陣でショートパスを繋いでいく分厚い攻めも可能となった。同時に、ゲームメイクを司るシルビーニョの位置取りも自然と高くなり、彼のパスセンスが相手にとって危険なゾーンで活かされる機会も増えた。

 そして何より、前がかりな中でも、選手全員に高い守備意識が備わっているため、決して相手に自由に攻撃させることがない。この辺りは、今シーズン序盤の経験が生きている。

 ここまで書いていて気づいたのだが、これらの長所が部分的に、そして単発的に出た試合はこれまでもあったが、その全てがかみ合い、一度にピッチ上に表現できるようになったことは、これまで無かったと言ってよい。

 ひょっとしたら都並監督は、上に挙げた魅力の一つに依存するのではなく、その全てがかみ合うまで、我慢しようとしていたのではないか。そう考えると見る側にとって残念なのは「戦い方を絞らなかったこと」ではなく「絞るまでに時間がかかったこと」となる。

 だが、仙台はラッキーだ。これだけ時間がかかっても、現在まだ仙台は昇格争いの中にいることができた。

 よもや監督も、ここに来てチームに手を加える真似はしないだろう(もしそうしたとしたら、はっきり言ってトップチームの監督としては相応しくない)。選手も、サポーターも、そして監督も、第3クールまで我慢した分、時間をかけてやっと掴んだ「仙台のサッカー」で、ただ結果を求めるのみである。

 大丈夫。ひたすら全力疾走すれば、まだ間にあう。

Reported by 佐々木聡