徳島ヴォルティス徳島ヴォルティス


今季ベストマッチ

徳島ヴォルティス
公式記録

仙台 0 - 3 徳島
3月5日(土) 2005 J2リーグ戦 第1節
(14:05/仙台/17,375人)
 得点者:'25 大島康明(徳島)、'50 石川裕司(徳島)、'84 大場啓(徳島)


徳島にとって歴史的な瞬間、そして感激



今シーズンの徳島ヴォルティスの戦いの中でベストマッチを選定するなら、「第1節のアウェイ仙台戦」と迷いなく言える。ここまで33試合を消化したが、あのゲームだけは33分の1ではないのである。

徳島ヴォルティスは、今シーズン(2005年)、悲願のJ2参戦を果たした。前身の大塚FC時代から年々チームの強化を進め、2003年、2004年のシーズンでは連続してJFLを制覇。その文句なしの戦績を収めてJ2への参戦を決めた。

しかし、JFLで築いた揺るぎない自信こそあれど、一方ではステージがひとつ(JFLからJ2へ)上がることでの不安もあったというのが事実だ。それは、対戦相手のレベルは段違いとなり、自らの技術・戦術・スピリットがどれほど通用するのかという不安・・・。それを感じていたからこそ、選手たちは、シーズン前のトレーニングや合宿に没頭したのだろう。その交錯する自信と不安を全て一度消しさるためにも。

そして迎えた3月5日、J2開幕。仙台スタジアムは、今シーズンでのJ1昇格を信じて疑わない17000人を超えるベガルタ仙台のサポーターで黄色に染まった。そして、ドーム状の屋根に覆われたスタジアムには、試合前から、ホームチームへの大声援と徳島への大ブーイングが反響する。多くの徳島の選手にとっては、初めて味わう紛れもないアウェイ。その影響か、ピッチ内アップを行う選手たちの動きはやや硬く、こころなしか声も少ないように感じられた。

いよいよキックオフ。開始直後から大方の予想通り、仙台は怒涛の攻撃を仕掛ける。それはまさに、Jリーグという厳しい戦いの場で生き抜いてきた先輩チームの意地を見せつけるかのような猛攻であった。

一方、防戦に回る徳島は細かなパスにミスが目立ち、序盤は攻撃の糸口をなかなか見つけ出せない。しかし、新加入した伊藤、秋葉、小峯のベテラン勢が繰り出す効果的なプレーが次第にチームを落ち着かせた。そして、前線左サイドの片岡も変幻自在の高速ドリブルを披露し仙台守備陣をズルズルと後退させ始めると、ついに25分、徳島にとって歴史的な瞬間が訪れる。チームの記念すべきJリーグ初得点ともなる先制ゴール!セットプレーから、FW大島が仙台GKのミスを見逃さずきっちりと決めた。

この先制点で自信が蘇った徳島は、その後仙台相手に一歩も引くことなく堂々と渡り合う。しかも、後半に入るとチャンスを効率的に得点へと結びつけ、さらに2点を追加。結果、3−0というこれ以上ないスコアで、戦前の予想を覆して仙台から勝利を掴み取った。ポイントとなる選手は、(1)粘り強い守備で相手(特にバロン)を完封した小峯と(2)高速ドリブルで攻撃をリードした片岡。

喜びのあまり涙する徳島サポーター。その涙は試合結果のみに起因するものではなく、我慢に我慢を重ねたJ2昇格までの長い道のり、堂々とした戦いを見せる我がチームの選手達、そして一体となり声援を送り続けられる喜びが相まって流させたものだ。

この感激を享受した一戦、私の中では一生忘れられない。

Reported by 松下英樹