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Q:話は変わりますが、Jユースサハラカップの課題、問題点というのはどう捉えていますか?
「Jクラブの下部組織それぞれで、この大会をどう捉えるかというベクトルにズレがありますよね。これは今年に限ったことではなく、ずっとそうです。まず、大会を開催する時期が時期なので、3年生にとっては進路の問題がある。トップ昇格する子はいいけど、そうじゃない子は受験という問題があります。上に行かない子をこの時期まで引っ張ってもいいのかという議論はずっとあったりして、実際に今年のウチは1,2年生チームで参加させてもらっています。しかし、そうではなく、3年生主体のチームのままでこの大会へ参加するチームもある。どちらがいいとか悪いとかではないんですけど、大会へ臨むスタンスがバラバラという問題はあると思います。」
Q:それについて、何か改革のアイディアなどはお持ちですか?
「まず、言いたいのは、こういう大会がこの時期にあるということ自体は意義のあることなんです。無くすという選択はして欲しくない。では、どうすればいいのか。一つアイディアとしてあるのは、このJユースカップをもうU-17、2年生以下の選手たちによる新チームの大会にしてしまうという手です。」
Q:そうなれば、ベクトルは自然と揃いますね。
「そうですね。あと、この大会はチームとしてチャンピオンを争う云々を前面に出す必要はないんじゃないかと思うんですよ。将来のプロの卵が競い合う大会というのをもっと前面に出していく方がいいんじゃないかと思うんです。そうした方が、もっとこの大会に興味を持ってくれる方も増えるんじゃないでしょうか。」
Q:現状は大会の位置付けが中途半端な面があるということでしょうか?
「そういうことです。例えば、あるチームが試合に勝った。そのチームは喜んでいる。でも、この大会はそれでいいの? ということなんです。個人が本当に育っていく環境というものをもっと考えていいんじゃないかな、と。ウチのユースの監督には「守って勝とうなんて思うな」といつも言っているんですけど、今彼ら一人一人がどういうことができてどういうことができないのか。それを真剣勝負のなかでトライできるんだから、それを生かさない手はないぞということを強調しています。そういう大会であるべきなんじゃないかなと思うんですよ。」
Q:Jユースカップはもっと「育成の大会」ということにするべき?
森山佳郎監督(広島ユース)「そうです。取り上げ方にしても、もっと個人へフォーカスしていいんじゃないでしょうか。できればクラブのなかで来年昇格できそう、あるいは昇格させたいと思っている選手は誰なのかってことを出していいと思うんです。これは日本人の悪いところだと思うんだけど、なかなかそういうことは言えないんですよね。もしその子が上がれなかったらどうしようとか思っちゃうんでしょうが、僕はそうじゃないと思う。期待しているものは期待しているんだと言ってしまっていいんじゃないでしょうか。その選手には普段の振る舞いでもプレーでも「見られている。注目されている」という認識をさせてあげた方がいい。そういうなかでやれる選手じゃなければ、プロでも通用しないですよ。」
Q:いい意味でのプレッシャーを個人へかけるということですね。そのことで個人を伸ばす、と?
「人によって重荷にしちゃう子もいるかもしれない。でも、2年生とか3年生になったら、そういうことを自分の中で糧にして伸びていくようになってもらわないと駄目だと思うんです。そうでないと、本当の意味で上では通用しないですよ。監督やコーチは『みんなに注目してください』『みんなが中心選手です』とか言いたがるものですが、そうではなくて上につなげたいと思っている選手については『こいつに注目してください』ってハッキリ言っていいと思うんです。」
Q:メディアの側からすると、むしろあんまり特定個人をフォーカスし過ぎてはいけないんではないかという気持ちもあるんですが、そういう平等主義はこの大会には必要ないということでしょうか。
「第一、それでは面白味がないでしょう。いつも今年の優勝候補はどことどこで…みたいな話になってしまう。そこで語られるのは毎年似たような顔触れですしね。それよりもチームとしての強さを云々するより先に語るべきことはあるんじゃないでしょうか。勝ち上がらないだろうけど、このチームにはこういう将来性豊かな選手がいるんだぞということがあったら、予選リーグではそこに注目してあげるとかね。そういう興味の持たせ方もあると思うんですよ。だって、「Jユース」のカップ戦なんですから。Jの下部組織ってのは根本的にプロ選手を輩出しようという位置付けであるわけじゃないですか。そこは高校選手権じゃないんですから。」
Q:高校選手権と近い時期にやることもあって、3年生最後の大会だからとか、最後の思い出にとか、そういう視点が先に立つ部分はありますよね。
「我々としては『思い出作りの大会ではない』ということを言いたいんです。3年生の思い出の大会としては、高円宮杯、そこに行けないなら夏の日本クラブユース選手権ということでいいんじゃないかと思っています。Jユースカップはあくまでも将来のプロ選手を育てるための大会という位置付けにするべきだと思います。」
Q:優勝を云々するのではなくて、まず個人としてそれぞれが得るものがある大会を目指すということですね。
「昨年の大会で自分は浦和ユースの監督として参加させてもらったわけですが、ウチのチームの選手たちは大会を通して本当に成長してくれました。守備は正直言ってだめだったんですが、そこは逆転の発想で『とにかくまず攻めろ』と(笑)。守備にしても、リスクはあるけど、引いて守るのではなく前から行こうと。攻撃的な守備をしようということを言いました。」
Q:実際、昨年の浦和ユースは観ていて面白かったですよ。
「結局、準決勝では鹿島ユースの固い守備を切り崩せないで負けてしまいましたけどね。でも、そのなかで何ができたか、それぞれの特徴は伸びたのかということを、僕はみんなについて見ていましたし、実際に得るものは大きかったです。でも、収穫は本当に大きかったですよ。その結果として今年は凄くいいチームになったと思いますし、いい選手が育ったと思います。Jユースカップはそういった大会であるべきではないでしょうか。僕はそう思います。」
(了) 協力:浦和レッドダイヤモンズ
インタビューアー:川端暁彦