【Jユースサハラカップ2005】本大会決勝トーナメントの展望

 Jユースサハラカップの季節がやってきた。そんな言葉が広く通用する時代にはまだなっていないが、徐々になりつつあるのは間違いないだろう。12月4日に幕を開けるJユースサハラカップ決勝トーナメント。その魅力を語りつつ、今年の大会を展望していきたい。
2004Jユースカップ昨年度のJユースカップは、最強と言われた広島ユースを破り、鹿島ユースが優勝を果たした。
大会の予選は、J30クラブのうち草津を除く29クラブのユースを4〜5チームずつ7ブロックに分けてホーム&アウェイ方式での総当たり戦という形で今年の7月10日から11月20日までの4ヶ月超の長丁場で争われた。決勝トーナメントは、各ブロックの上位2チームずつの計14チームに、Jクラブ以外のいわゆる街クラブで争われた地方予選を勝ち抜いた4クラブを合わせた計18チームで争われることになる。

前年度の大会までと異なるのは、「18」というチーム数だ。このため1回戦が2試合だけという変則的なトーナメントになっている(トーナメント表はこちら)。大会は全国各地で開催され、準決勝は長居第二競技場、決勝は長居スタジアムで行われる。なお、全試合入場無料である。

決勝トーナメント1・2回戦のみどころ
1回戦の会場は埼玉スタジアム第二グラウンド。神戸とJFL横河武蔵野FCのユース、湘南と名門・愛知FCのユースが対決する。

4選手のトップ昇格が内定している神戸は、99年以来となる優勝を狙う。DF柳川雅樹、増田清一の2人の3年生が中心となるチームだが、DF佐川雅也、FW上谷暢宏、辻智人といった代表経験もある才能豊かな1年生たちの台頭も光る。

もう一つのJクラブ、湘南の前評判も悪くない。GK平川正城、DF鈴木嵩之を中心とした守備には安定感があり、U-17日本代表のFW猪狩佑貴、期待のルーキーFW鎌田翔雅に、広い視野を生かしたパス出しの光るMF宮崎明浩が絡む攻撃は迫力十分だ。順当に行けば、この2チームが2回戦へと駒を進めそうだが、過去のJユースカップを見ても街クラブによる番狂わせは珍しい例ではない。白熱した試合が期待できそうだ。

 2回戦からは全チームが出揃い、優勝候補も顔を揃える。8月の日本クラブユース選手権(U-18)と高円宮杯全日本ユース選手権(U-18)を制した東京Vは三冠への挑戦となる。激戦に次ぐ激戦を経験したことで分厚くなった選手層と勝負強さは他の追随を許さない。既にトップデビュー済みのMF弦巻健人を中心に栄冠を狙う。 しかし、いきなり2回戦で横浜FMという強敵とぶつかることとなった。クラブユース選手権決勝と同じカードであり、横浜FMのリベンジの気持ちは強いだろう。U-18代表FWハーフナーマイク、GK秋元陽太らを擁し、タレントの質では東京Vに優るとも劣らない。日本のユース年代トップクラスの攻防戦が観られることだろう。

柳澤隼
AFCユース選手権予選でも活躍した柳澤 隼(柏ユース)。
同じ山では名古屋と大分の対戦も興味深い。名古屋はU-18代表のMF青山隼が攻守の要だが、決して彼だけのチームではない。U-16日本代表で、187cmの大型CB三宅徹、多彩な技術で観客を魅了する同じくU-16日本代表のMF花井聖、パス出し役にもシャドーストライカーにもなれるU-17日本代表のMF新川織部など戦力は充実している。対する大分も予選リーグではトップチームでの経験も豊富なU-18日本代表の福元洋平が出場しており、出場するようなら心強い。ただ、彼がいないときの戦い方も確立しており、大きな不安はない。GK河野猛、MF三好洋央を中心にバランスのよい戦いを見せたい。

 柏と名門・三菱養和もかなりの好カードだ。街クラブ最強と見られる三菱養和は、U-16日本代表で、攻守にクレバーな働きを見せるボランチの木暮郁哉などJチームからも注目を集める素材がズラリと揃う。対する柏はU-18日本代表のMF柳澤隼は出場しなさそうだが、それでもなお各ポジションに年代別日本代表クラスの選手を並べる強力チームだ。10得点で得点ランク3位につけるFW山本紘之の爆発にも期待したい。

前年度王者の鹿島は今年これといった結果を残せていないが、予選リーグでは伝統の接戦における強さを発揮しており、不気味な存在になりそうだ。守備ラインさえ落ち着けば、U-18日本代表候補だったFW黒澤光士、トップ昇格の内定しているMF大道広幸を中心とした攻めは計算できるだけに、連覇も十分あり得るだろう。

 反対側の山の本命はG大阪だろう。選手個々のタレント性はユース年代随一。U-18日本代表のMF安田理大、横谷繁、DF伊藤博幹に、主将の植田龍仁朗といった面々が軸となるが、脇を固める人材も「脇」に留まらない才能ばかり。眼前の勝利より自分たちのサッカーを貫くことを優先するため、思わぬ星を落とすことも多いが、一見の価値があるチームと言えるだろう。

槙野智章ユース代表の練習で笑顔を見せる槙野 智章(広島ユース/左)と安田 理大(G大阪ユース)。
対抗馬の一番手は前年度準優勝の広島。こちらもG大阪に負けず劣らずのタレント集団だ。昨年の大会ではルーキー離れした活躍を見せた平繁龍一は得点ランキング2位につけるなど好調を維持。U-18日本代表MF柏木陽介が演出する攻撃のなかで、持ち味を発揮したい。U-18日本代表のDF槙野智章が健在の守備も計算できるレベルにあり、十分優勝が狙える陣容と言える。一回戦でこの広島と対する浦和は3年生が既に引退済みの1、2年生チームだが、MF佐藤謙介、金生谷仁など才能ある選手を揃える好チームで、広島も油断はできない。

 初の決勝トーナメント進出を果たした仙台と、上位の常連・清水の対戦も興味深い。仙台はMF小山大輝を中心とした粘り強い戦いを予選リーグで披露しており、大物食いもあるかもしれない。清水はDF石垣勝矢を中心とした守備は安定しており、ここまで9得点のU-17日本代表FW長沢駿がトーナメントでも爆発するかが勝ち上がりのカギとなりそうだ。

最後になったが、この山ではF東京も面白い存在だ。大会屈指のGK権田修一が負傷から完全復活しているのは大きく、攻守のバランスは整った。14得点で得点王街道を突っ走るのは破天荒なプレーが魅力のMF常盤聡。豊富な運動量と確かな戦術眼を持つMF村田翔、スペシャルな左足を持つDF森村昴太など個性のある選手が揃った。今年は結果が出ておらず、U-18日本代表選手もいないが、意外な穴馬と言える。

今年の傾向として言えるのは傑出したチーム・個人が少なく、戦力が均衡しているということである。それだけ個々の試合が白熱することが予想され、最後まで「どこが勝つか分からない」大会となりそうだ。試合のレベルがユース年代トップクラスなのも保証できる。クラブのサポーターなら、一度この機会に自分のチームの雛鳥たちを観てみるのも面白いのではないだろうか。

Reported by 川端暁彦