狩野健太選手インタビュー
2年目のシーズンに、ピッチに登場する機会を大きく増やしている狩野健太(横浜FM)。昨シーズンは出られなかった(リーグ戦は1試合9分間の途中出場)ヤマザキナビスコカップでも6試合に出場し、1ゴールも記録。前半戦、ケガ人が続出したチームにあって、与えられたチャンスで結果を残しているのが岡田監督の評価に繋がっている。また、それがニューヒーロー賞の得票にも結びついているのだろう。静岡学園高校時代は、司令塔としてゴールに向けて華麗な演出が持ち味だったテクニシャンは、プロになってボールを受ける運動量のアップなど、プレーの幅を広げている。ベテランの多い横浜FMのミッドフィルダー陣のホープ。次代を担えるかどうかは、現在の存在感をさらに強められるかどうかにかかる。また強豪のなかでアピールできれば、夢である日本代表との距離を縮めることにも・・。後半戦の巻き返しにかける横浜FMトリコロール軍団にあって際立つのは、しなやかさとスケールの大きさ。熾烈なレギュラー争いにも臆することはない。
まだまだ先輩から盗むところがある。
- Q:今シーズンのここまでを振り返っていかがですか?
「開幕から少しの間は好調だったものの、マルケスやドゥトラを始めとして、少しずつケガ人が増えていって、そのために自分にチャンスが与えられて、それを何とか生かせているかなあという感じです。出場していくことで、いい経験を積むことができています。ただ、レギュラーを勝ちとったなんていう段階ではまったくありません。チームには実力もキャリアもずっと上の先輩たちがたくさんいますから・・・」
- Q:結果が残せている理由を、どのように認識していますか?
- 「昨年、岡田監督から言われていたことが、今ようやく理解できて、実戦でできているからじゃないでしょうか。例えば『裏へ走れ』という指示。自分は本来、足もとでボールを受けて相手をかわしてパスを出していくプレースタイルなんですが、それだけではダメで、むしろ、ボールをもらう前の動き出しや運動量、そして動きの質を監督から指導されていました。昨年は、それが分かっていたようで分かっていなかったけど、今シーズンは、試合のなかで『ああこれだったのか』と実感できるシーンがいくつもあります」
- Q:プロ1年目は、どういう1年にしたいと考えていたのですか?
- 「ルーキーイヤーといっても、できるだけ試合に出てやろうと意気込んでいました。自分なりに自信も少しはありましたし…でも、レベルの高さは予想していた以上でしたね。一つひとつの技術やフィジカルの強さなどで、まだまだ足りない点があることを認識させられました」
- Q:ところが2年目、現状では奥選手などのベテランとレギュラー争いをしています。大きくステップアップしているということでしょうか?
- 「いえ、まだまだです。ダイさん(奥)からも、盗むところがいっぱいあるし、一緒のラインに並んでいるとはとても言えないです。でも、下からボクのような若手が先輩たちを追い込んでいくことができれば、それがチームのレベルを上げることに繋がってくると思います」
- Q:ところで、今回のワールドカップではどういうところが印象に残りましたか?
- 「止める技術、蹴る技術の高さですね。判断の速さがベースにあると思うのですが、発想してからの一連の動きが凄い。個人的に目がいったのがイタリアのピルロ。ゴールに持っていくセンスの良さは参考になりました」
- Q:今シーズンのふたつのゴール(ヤマザキナビスコカップのF東京戦、リーグ戦のG大阪戦)はいずれもシュートのこぼれ球を押し込んだものでした。ゴールできる位置に詰めていたという事実は、ゴールへのきゅう覚をあらわしていると言えるのでは?
- 「G大阪戦のゴールは大島さんのシュート、F東京戦のゴールは坂田さんのシュートから決めたもので、どちらも“おいしい”得点シーンだったんですが、F東京戦の1点の形の方が自分としてはいいパターンでしたね。自分の得点感覚は、チームの中で特別優れているというわけではないです。もっと、すごい選手がたくさんいます。どちらかというと、得点を演出する仕事の方が自信があるかもしれません。ただ積極的に狙って動いたこと、詰めていくためにしっかりと走っていたことは良かったと思います」
- Q:サイドからのクロスは、どういうふうにイメージしているんですか?
- 「とにかく精度の高いボールを送ろうと思っています。精度っていうのはターゲットに対するコースの正確性、そして状況に応じた球質の両方を意味していると思うんですけど、ディフェンスの間に走り込んで来た味方の選手が、シンプルに合わせてネットに達するようなボールが理想ですね」
- Q:狩野選手はセットプレーのキッカーを任されることも多いですよね?
- 「久保さん、佑二さん(中澤)など、横浜FMには空中戦に強い選手が多いので、セットプレーは大きなチャンスですし、早くゴールに直結するシーンを創りだしたいです」
- Q:直接狙うケースもありますよね?
- 「曲がって落ちていくボールが、持ち球ですね。ペナリティエリアのすぐ外など、自信があるエリアからは、先輩たちに『蹴らせてください』と言うこともあります」
再開後は横浜FMらしい強さがだせるはず。
- Q:さて、ヤマザキナビスコカップの準々決勝までを振り返って、横浜FMの戦いについては、どうですか?

「予選のグループリーグで浦和に連敗したことが悔しかったです。浦和は、とにかく個人の能力の高さと全員が与えられた役割を認識して、ゴールするために、勝つためにどうすればいいかが徹底されていました。でもウチも個々のポテンシャルでは負けていませんから、次の対戦ではリベンジしたいですね。これはウチの選手全員が同じ気持ちだと思います」
- Q:でも準々決勝の磐田戦の2試合(横浜FMが2勝)は、非常に内容が良かったのではないですか?
- 「はい。マルケスが戻ってきて、久保さんも復活してチームの得点力がすごくアップしたことで、全体がよくなってきたように感じます。マルケスは、やはり単独で突破する、状況を打開する力があるのが大きいです。またゴール前での久保さんの存在感や空中戦の強さは、ターゲットとしてはすごく頼もしいです。でも、この2試合は自分がスタメンで出ていなかったので、単純に喜んではいられないんですけどね・・・」
- Q:その後、リーグ戦中断時には北海道キャンプなどが行われましたが、再開に向けてチームの調子はいかがですか?
- 「ケガ人が戻ってきて横浜FMらしい強さが出せそうです。その分、レギュラー争いも激しくなって、自分にとっては厳しくなっていますけどね」
- Q:そのなかでも、練習ゲームや紅白戦などでレギュラー組に名を連ねることも多いようですね。
- 「いや、これはあくまでその時点でのテストや調整の意味合いがありますから、関係ありません。もっともっと実力を付けていかないと、公式戦には出られないと思います」
- Q:ヤマザキナビスコカップもこれから準決勝の組み合わせが決まりますが(取材はドローイング前に実施)、対戦してみたい相手はいますか?
- 「いえ、どこでもいいです(笑)。浦和が残っていれば、借りを返す意味でも対戦したかったですけどね・・・」
個人賞は結果がでれば自然に手に入ってくるもの。
- Q:ところで、ヤマザキナビスコカップのニューヒーロー賞の中間発表で狩野選手が上位にランクされているのはご存知ですか?
- 「え、本当ですか?全然知りませんでした。過去受賞している人たちがすごい顔ぶれですし、うれしいですね。正直、自分が?という気がします」
- Q:今までに大会で個人賞を受賞したことは?
- 「高校1年生のときに高校選手権の静岡県予選で新人賞をもらいましたね。たまたまゴールもできていたし、チームの役割もきちっとこなせていたので、ある程度満足のいくプレーができていました。レベルの高い静岡県でもらえた賞ですから、やっぱりうれしかったです」
- Q:では、最後にニューヒーロー賞に向けての抱負をお願いします。
- 「まず試合に出ることが一番。ピッチに立てたなら、あまり意識せずにチームが優勝できるように頑張ります。横浜FMは、自分がチームに入ってから、まだタイトルを獲得していないので、ぜひヤマザキナビスコカップで優勝の喜びを味わってみたいです。そして、リーグ戦の方も巻き返していきたいですね。またニューヒーロー賞については、もちろん個人タイトルのチャンスですから頑張りますが、それはチームの結果が出てから自然に手に入ってくるものだと思っています」
- 以上
取材:池田博人(インサイド)
取材協力:横浜F・マリノス
■狩野健太プロフィール
- Kenta KANO
- 生年月日:1986年5月2日
- 身長・体重:175cm・64kg
- 出身地:静岡県
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