ニューヒーロー賞:内田篤人選手インタビュー

内田篤人選手インタビュー

2006年Jリーグで鮮烈デビューした18歳の右サイドバックがいる。鹿島アントラーズの背番号20をつける若武者・内田篤人だ。
反町康治U−21日本代表監督、長谷川健太監督(清水)らを輩出した名門・清水東高を卒業したばかりの彼は、常勝軍団・鹿島史上初の高校卒開幕スタメンの座を勝ち取った。本人は「周りに使ってもらっているだけ」と謙遜するが、思い切りのいい攻撃参加やタイミングのいいクロスなどのパフォーマンスは、間違いなく新人離れしている。
ヤマザキナビスコカップでも予選リーグの大分戦から全試合に出場。過密日程の中、相手の厳しいマークに遭っても、真摯な姿勢を持ち続け、豊富な運動量でチームの起点になり続けた。「近未来の日本代表・右サイドバック」の呼び声も高い内田。「ニューヒーロー賞ってどんな賞なんですか??」と聞くようなオチャメな一面も見せる彼に、今後のヤマザキナビスコカップの戦いについて聞いてみた。

プロはミスが少ない。自分から積極的な姿勢を持ってやらないとダメ。 

Q:今季の内田選手はリーグ戦開幕からスタメン出場を果たしました。17歳でデビューというのは鹿島始まって以来の快挙ですね。
内田篤人選手インタビュー風景「監督さんにかなり我慢してもらってますから(苦笑)。ミスもあったし、できないこともあったけど、何とか使ってもらって、周囲の人たちにもサポートしてもらっています。そういうことがなかったら、自分がJリーグの試合に出ることは絶対ムリでした。これからは、ちょっとでもいいから足を引っ張らないようにしたいですね」
Q:でも今季は内田選手が鹿島をリードしているように見えますよ。
「いや、そんなことないですよ。試合に出続けていると、徐々に相手も自分の特徴を分かってくるし、なかなかいいプレーができなくなってきたりして…。後半戦はとりあえず試合に出ることがまず最初ですね。もっと自分らしさを出せるようにしたいですけど・・・」
Q:名将・アウトゥオリ監督からは、どんな指示を受けているのですか?
「好きにやっていい感じですね(笑)。最初の頃は自分も何も考えず、できることだけをやろうと思ってました。でも今はいろいろ考えるようになりました。自分の与えられた仕事をちゃんとやろうと心がけています。意識が変化したのはJリーグにちょっとずつ慣れてきてからですね。時期的には4月か5月くらいかな」
Q:高校からいきなりプロデビューして、レベル差を感じた部分はありましたか?
「プロはミスが少ないですね。高校の頃は相手がミスしてくれたけど、今は違う。こっちからボールを取りに行くとか、試合を仕切るとか積極的な姿勢でやらないとダメですよね」
Q:守備の負担も大きいでしょう?
「今は先輩の指示に従っています。よく指示をしてくれるのが岩政(大樹)さんです。自分はワンプレーが終わった後に気が抜けて集中を切らすことがよくあるんですが、そういう時に怒られたりしますね(苦笑)」
Q:プロは一瞬たりとも集中力を欠いてはダメということですね。では今シーズンここまでで最も印象に残った試合はどれでしょう?
「(3月25日の)千葉戦ですね。自分も上がれるチャンスが多かったし、クロスの精度も納得いくものでしたから」
Q:この時期からリーグ戦とカップ戦の両方が平行して開催されるようになりました。どう気持ちを切り替えていったんですか?
「とりあえず『試合があるぞ』って感じで、リーグ戦とかカップ戦とか意識せずにやってました(笑)。とにかく僕はいつも一生懸命やるしかないですから」
Q:確か体調を崩されたのも、この頃でしたよね?
「そうです。ヤマザキナビスコカップの大分戦(3月29日)の前でした。疲れとストレスが原因みたいだったんですけど、じんましんが出て・・・全然寝れないし、練習をしていても吐き気がしたり…。高校時代にも一度あったんですけど、あの時とは全く違って、自分でもびっくりしました。やっぱりプロは厳しい世界なので、自分が思う以上に体に来ていたのかもしれません」
Q:それでもアウトゥオリ監督は内田選手を使い続けました。
「監督は選手に気を使ってくれるし、僕らの特徴をよく知っている。信頼してくれるのが分かりますね。『もっと前を向け』とかアドバイスもしてくれますし。今の自分は周りの人に使ってもらってる感じで、まだ自分から要求できるレベルにはなってないです」
Q:チームメートからはどんなアドバイスを受けるのですか?
「岩政さんからはチーム加入当初に『うまくできないのは当然だし、自分で考えてやっていけ。そうしなければレベルアップしない』と言われました。(小笠原)満男さんからは『サイドでは思い切って勝負していい』といつも力づけられています」
Q:内田選手はジュニアユース代表、ユース代表の経験もありますが、その経験がJリーグに活かされているのではないですか?
「確かにそれはありますけど、今は逆かな。鹿島の方がレベルが高いんで、U−19に行くと『これをやってみようかな』とか余裕を持てるから。高校生の時よりできることが多くなった気がしますね。最近は大分のフクちゃん(福元洋平)や梅崎(司)君も試合に出ているし、同世代の選手も頑張っているんで励みになります」

満員のお客さんが集まる国立競技場で、
プロとしてヤマザキナビスコカップ決勝を戦いたい! 

Q:さて、話を本題のナビスコカップに戻しますが、6月4日と8日のG大阪との準々決勝を振り返ってもらえますか?
内田篤人選手インタビュー風景

「万博での第2戦は今シーズン前半戦の最終ゲームだったんですけど、自分の中では一番ダメでしたね。『調子が悪いな』って、やりながら感じてたくらいですし。一番大事な試合で何も出来ない自分がホント不甲斐なかった。それでもチームとして勝てたから救われました。自分がダメでもチームが勝てば、それが一番ですからね」

Q:鹿島は2002年のヤマザキナビスコカップ優勝から4年もタイトルから遠ざかっています。今回は悲願の10冠達成の大きなチャンスですね。
「アントラーズが強いことは、小さい時から意識がありました。僕は静岡出身なんで当時は『ジュビロの優勝を邪魔するチーム』ってイメージでしたけど(苦笑)。いずれにしても、優勝を義務づけられるチームってことには変わりない。それに僕は子供の頃からサッカーをやってきたけど、実は1回も優勝をしたことがないんです。今回はすごいチャンスなんで、何とか勝ちたいと思ってます」
Q:準決勝の相手は横浜FMに決まりましたが。
「どこが相手でも倒さなきゃいけないですね。マリノスにはリーグ戦で完敗しているんで(第2節で0−3)、今度はリベンジしたいです。まぁ、僕はどんな時も出たとこ勝負ですけどね(笑)」
Q:ホーム&アウェーの重圧のかかる大一番になりますね。
「こういう形式の試合が高校まではなくて、まだ自分は経験が少ないですけど、とりあえず頑張るしかないです」
Q:決勝に進出すれば国立の舞台に立てますが。
「そうなんです。僕はまだ国立でプレーしたことがないんですよ。ホントは高校選手権に出て、国立で試合をしたかったんだけど(苦笑)。ちょうど1年前に静岡県予選で藤枝東にベスト8で負けてしまったんで・・・今度はプロとして、満員のお客さんの中で戦えるといいですけどね」
Q:ところで、内田選手はヤマザキナビスコカップのニューヒーロー賞中間発表で上位にランクインしているのですがご存知でしたか?
「それってどんな賞なんですか?(苦笑)」
Q:ヤマザキナビスコカップで活躍した23歳以下の選手に贈られる賞なんですよ。今までは名波選手(磐田)とか鈴木隆行選手(現レッドスター・ベオグラード)とか日本代表で活躍した選手も受賞しているんです。
「まぁでもそういうタイトルは気にせず、自分のプレーに集中したいですね。足を引っ張らないようにしたいし、自分自身、ステップアップしたい。クロスの精度も上げないといけないし、タイミングのいい攻撃参加も増やしたいですから・・・」
Q:欲がないですね(笑)。では、内田選手の夢や目標はどういう感じなのでしょうか?
「今は少しでも長くサッカーができればいいと思っています。近い目標としてはワールドユース出場ですね。アジア予選はぜひ優勝したいです。できればヤマザキナビスコカップもアントラーズの一員として勝って、タイトルを獲りたいです」
Q:では改めて、ヤマザキナビスコカップ準決勝・決勝への抱負をお願いします。
「10冠のチャンスがあるんで、ぜひ多くのサポーターの方に会場に来ていただきたいです。スタジアムに来られない方はテレビの前で応援してください。アントラーズのサポーターはホントにすごい。練習している時からその熱気を強く感じます。相手チームも相当プレッシャーになっているでしょうね。僕自身、優勝がどんなものか味わってみたいですし、その場に立っていたい。そのためにも全力を出して頑張ります」
以上

取材:元川悦子
取材協力:鹿島アントラーズ


内田篤人選手バストアップ
■内田篤人プロフィール
  • Atsuto UCHIDA
  • 生年月日:1988年3月27日
  • 身長・体重:176cm・62kg
  • 出身地:静岡県