ニューヒーロー賞:山岸智選手インタビュー

山岸智選手インタビュー

現日本代表監督のイビチャ・オシム氏は、豊富な経験に基づいた的確な指導で、千葉(2004年まで市原)の選手を大きく成長させた。そのひとりが、決定機での勝負強さを誇る山岸智だ。市原ジュニアユース時代はセンターフォワードとして活躍し、市原ユース以降は複数のポジションを経験してプレーの幅を広げた。しかし、トップ昇格後は「自分の『武器』は何なのか」と悩み、目指すプレースタイルに迷いが生じた。オシム監督はそんな山岸の攻撃力を高く評価し、彼をウイングバックで起用。両足で同じようにボールを蹴ることができる山岸は、現在、両サイドのウイングバックとして活躍している。今シーズンは精度の高いラストパスでアシストするだけでなく、リーグ戦は第16節終了時で4得点、ヤマザキナビスコカップは準々決勝第2戦までで4得点と、シュート決定力の高さも発揮。スペースをうまく突く飛び出しで得点機を演出する山岸は、今や千葉の攻撃に欠かせない存在だ。

ボールがまわってくれば何かできるんじゃないかと思えるようになった。 

Q:今シーズン、ここまでの自分のプレーを振り返ってみていかがですか?
山岸智選手インタビュー風景「去年よりも点が取れていますし、アシストもけっこうできているので、個人的な結果としては今の段階では満足しています」
Q:では、チームの戦いぶりについてはどうですか?
「ヤマザキナビスコカップでは4強に入っているし、リーグ戦では去年みたいに試合の最後のほうで相手に点を入れられたことも何回かありましたけど、5位以内(取材はリーグ戦第15節終了時)にはちゃんと入っている。優勝の可能性もまだある位置にいるし、これからいくらでもよくなると思うから、チームとしてもいいんじゃないでしょうか」
Q:ヤマザキナビスコカップの予選リーグでは、3連勝のあとに清水に負けて、続く新潟戦ではスコアレスドローと、決勝トーナメント進出決定まで少し足踏みしました。
「そうですね。2004年にはあと1試合引き分ければ決勝トーナメントに進出できるような時に、浦和に2敗してしまってダメだったので。そういう意味では、今年はちょっとつまずくこともありましたけど、決勝トーナメントに勝ち上がれたというのは、前と比べたら成長している部分なのかなぁと思います」
Q:C大阪に先制された準々決勝の第1戦では、山岸選手の得点などもあって5−2の逆転勝利。オシム前監督は第2戦も勝って連勝しようと、選手に話していたそうですね。
「はい。いつもと違うプレーをしてしまったら、(その後にワールドカップ開催による中断期間に入ったが)次のリーグ戦の試合にも影響してしまうので。そういうこともオシム前監督はすごく大事にしていました。第1戦では大勝したけど、第2戦も気を抜かないでやろうという僕らの考えは監督とも一緒だったので、第2戦での3−2という結果につながりましたね」
Q:振り返れば、準々決勝第2戦はオシム前監督が千葉で指揮を執った最後の試合になりました。選手の皆さんには思い出深いものがあるのかなと思いますが。
「あの段階ではまだ、僕たちは日本代表監督就任の話なんて全然知らなかったので、特別な気持ちはなかったですけどね。最後の試合になってしまったっていうのはもう結果論でしかないので。オシム前監督には3年半ずっと見てもらって、学んだことはしっかり僕たちに植えつけられている。監督はアマルさんに代わりましたけど、やることはそんなに大きく変わるということもないですから」
Q:それにしても、今年の山岸選手はよく点を取っていますね。
「昨年の中盤から怪我をするまではずっとスタメンで使ってもらえて、出場時間がすごく増えて、そこでいろいろな経験ができました。今はその経験が生かされているし、開幕前のキャンプからずっと怪我をしないでこられているのがいちばん大きいですね」
Q:以前よりもゴール前で思い切って勝負するシーンが増えたと思いますが。
「僕はホントに攻撃の選手なので。守備力を買われて試合に出ているわけじゃないと思うから、そこは今のところしっかりアピールができているかなぁっていう気持ちがあります。点を取るにしろアシストするにしろ、何かがうまくなったというよりも、自信がついてきているから相手に仕掛けていけるんだと思います。今まであんまり仕掛けていけなかったところで、『いけるんじゃないか』って思うようになって、どんどんいい形で自分のイメージが出てくるようになったのが、結果につながっているんじゃないかと思います」
Q:自信がついた、いちばんの要因は何でしょうか?
「試合でこうやって相手の裏のスペースに飛び出せたとか、そういう細かいところも含めて自分ができたことを試合後にビデオを見たりして振り返って、随時、自分で感じたことをしっかり思い出しながらやってきているから、そういうことがどんどん積み重なって、自信を持ったプレーができるようになったんだと思います。今は自分のところにボールがまわってくれば何かできるんじゃないかとか、そういうふうに思えるようになりましたから」

また優勝できるように、まずは準決勝でしっかり勝ちたい。 

Q:実は、今回はヤマザキナビスコカップのニューヒーロー賞候補ということでの取材です。ニューヒーロー賞は昨年同じ千葉の阿部選手が受賞していますが、いかがですか?
山岸智選手インタビュー風景

「選手の僕らは試合の中では全力でやるだけですから。ニューヒーロー賞とかそういう個人賞はその結果というか…そういう賞っていうのはやっぱり最後についてくるものだと思うので、特別そんなに意識はしていません」

Q:千葉は、今年のヤマザキナビスコカップでは連覇を目指す立場ですよね?
「もちろん連覇できればいいと思いますけど、そう簡単にいくものでもないので(笑)、そんなに強気に言えないんですけど…。また優勝できるように、まずは準決勝でしっかり勝ちたいです。対戦相手の川崎Fはすごくいいチームだし、リーグ戦でもすごく調子がいい。準決勝で川崎Fに勝てば勢いに乗れると思うので、まずはその前にリーグ戦で自分たちのいいサッカーをして、チームプレーの調子をどんどん上げていきたいです。準決勝では、いい状態で自信を持って戦えば、川崎Fに勝つ可能性は十分あると思います」
Q:準決勝のドローイングでは、対戦相手は川崎Fがよかったという発言がありましたが。
「僕としては4バックシステムの鹿島や横浜FMはちょっとやりづらい相手なので。川崎Fはシステムが3−5−2で、うちのシステムとうまくマッチアップするから、マンツーマンになって攻めるにしろ守るにしろ迷うことがそんなにないと思うんです。一対一のガチンコ勝負みたいな感じになるから、それを制すれば絶対に得点にもつながってくると思いますし。システムだけを見てということかもしれないけど、川崎Fは苦手意識がない相手かなと思います」
Q:準決勝第1戦の直前のリーグ戦第21節でも川崎Fと対戦しますが、リーグ戦第6節の対戦では千葉が2度追いついて2−2の引き分け。攻め勝ちたいという気持ちですか?
「どちらも攻撃のチームだから、ドローイングの時は『打ち合いになる』とか言っちゃったんですけど(笑)、今はまずどれだけ相手を抑えられるかが勝負につながってくるんじゃないかとみています。自陣に引いちゃうと相手の攻撃をどんどん受けちゃうわけだから、自分たちのプレーをしながら、どれだけ相手のプレーを抑えられるかが大事になってくると思います。川崎Fの真ん中(3バック)の守備は強いから、サイドがカギになる。サイドから崩せばチャンスを多く作れると思うので、仕掛けて得点やアシストをしたいですね」
Q:では、最後に千葉のサポーターへのメッセージをお願いします。
「準決勝第1戦でしっかり点を取って勝つということが、すごく大事になってくると思います。サポーターの声援は毎試合、僕たちの力になっています。ぜひ、また決勝戦の国立競技場のスタンドが千葉のチームカラーのイエローに染まるように、僕たちも決勝の舞台に立てるように頑張りたいです。まずは準決勝第1戦に皆さんが応援に来てくれれば、すごく力になると思います。連覇に向けて頑張るので、応援をよろしくお願いします!」
以上

取材:赤沼圭子
取材協力:ジェフユナイテッド千葉


山岸智選手バストアップ
■山岸智プロフィール
  • Satoru YAMAGISHI
  • 生年月日:1983年5月3日
  • 身長・体重:181cm・77kg
  • 出身地:千葉県