鹿島 3 - 1 清水 (15:02/カシマ/12,361人)
得点者:'19 マルキーニョス(清水)、'41 田代有三(鹿島)、'68 新井場徹(鹿島)、'89 深井正樹(鹿島)
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■特J!プレイヤー: 田代 有三選手(鹿島)
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「今日はしたたかさを持って相手に一瞬のスキも与えず戦おうと選手たちに話したが、逆に隙を突かれてしまった」と清水エスパルスの長谷川健太監督は悔しさをにじませた。
いい形で試合に入り、マルキーニョスが豪快なミドルシュートを決めて先制したのだから、そのままのリズムを維持できれば勝ち点3を確保できるはずだった。しかし昨年末にサンパウロFCを世界クラブ王者に導き、今季は鹿島アントラーズで指揮を執る知将・アウトゥオリ監督の采配は一味違っていた。前半のうちに切り札・田代有三を投入。そのジョーカーが瞬く間に同点弾を叩き込む。後半にも退場者を出しながら2点を追加。終わってみれば華麗な逆転劇で勝ち点を16に伸ばし暫定3位に躍り出た。清水はポイントを重ねられず順位を7位に下げてしまった。
カシマスタジアムで行われたJ1第8節・鹿島対清水戦。この日の鹿嶋地方は快晴だったが強い北風が吹き荒れ、キックオフ時の気温は10.4度。4月とは思えない寒さとなった。この悪条件下に関係なく両者は勝ち点3を取りに来た。鹿島は12日のナビスコカップ・川崎F戦で主力を温存せず、そのままのメンバーでこの試合に挑んだ。唯一の変更点は川崎F戦でFWを務めた野沢拓也とMFを務めた本山雅志のポジションを入れ替えたこと。中盤に野沢を置いた方がよりボールが回ると指揮官は考えたのだろう。対する清水はナビスコカップ・広島戦で休ませたチョ・ジェジンらを先発に戻してきた。負傷の青山直晃は欠場したものの、売り出し中の藤本淳吾もスタメンだ。
前半はこのコンディションの差が如実に現れた。「何となく体が重くて動かなかった」と岩政大樹が話すように、序盤の鹿島はいつものキレが見られなかった。清水に主導権を握られ、ボールを回される。高木和道や斉藤俊秀らが統率する最終ラインも非常に強固で、アレックス・ミネイロら鹿島攻撃陣にスペースを与えない。完全に清水が握った清水は19分、幸先のいい先制点を奪う。高木が相手と競って落としたボールを中盤で拾ったマルキーニョスがいきなり30m近い距離からシュート。これがクロスバーに当たってそのままゴールネットを揺らしたのだ。
この後も清水の勢いは止まらなかった。34分には右に開いたマルキーニョスからの折り返しをファーサイドのチョ・ジェジンが絶妙のタイミングでヘッド。これがクロスバーを叩き、跳ね返ったところにフリーで藤本が飛び込んだ。これが入れば勝負が決まっていたかもしれなかったが、彼はシュートをふかしてしまう。沢登正朗の後継者といわれる背番号10もやはりルーキー。プレッシャーのかかるところで決め切れなかった。
この決定機が勝負の明暗を分けたといっても過言ではない。鹿島・アウトゥオリ監督も動く。動きの悪かった青木剛を37分に下げ、ジョーカーの田代有三を迷わずピッチに送り出したのだ。早い時間の交代だったがこれがズバリ的中する。41分、新井場徹のクロスに反応した田代は滞空時間の長いヘッドでいきなりゴール。登場からわずか4分で同点弾を叩き込むという大仕事をやってのけた。「前半は点が入る気がしなかった分、有三のゴールは大きかった」と新井場も力を込めた。
これで本来の冷静さと試合巧者ぶりを取り戻した鹿島は後半に入ると確実に主導権を握った。清水はチョ・ジェジンやマルキーニョスがたびたびゴール前に詰め寄るものの鹿島守備陣を完全に崩しきれない。
だが鹿島に想定外のアクシデントが起きる。後半17分、兵働昭弘の突破を後ろから倒した増田誓志が2枚目のイエローカードを受け退場を余儀なくされたのだ。これで試合のリズムは再び清水に傾くかと思われた。
けれどもアウトゥオリ監督はここでも名将ぶりを見せつける。増田の退場後すぐにベンチに置いていたフェルナンドを投入。守備のバランスの乱れを修正したのだ。右ひざ痛が再発し、川崎F戦は完全休養となったフェルナンドだが、指揮官はイザという時のためにベンチに置いていたのだ。頼れる男はやや体が重そうだったが、最終ラインの前に張って相手の攻撃の芽を確実に摘んでみせた。
10人の劣勢を耐え忍び、試合を落ち着かせた鹿島は待望の2点目を挙げる。後半23分、中盤に下がっていた田代がドリブルで相手をひきつけて右へ展開。走りこんだ本山が中央へ折り返し、ここに飛び込んだ新井場が無人のゴールにボールを蹴りこんだ。「今年は優勝しか考えてない」と語気を強める左サイドバックの貴重な得点で清水を突き放した。
長谷川監督は流れを引き戻そうと山本真希や岡崎慎司を投入しゴールを狙うが、若手中心のチームは焦って攻め急いでしまう。「鹿島はカウンター狙いにシフトしたのに自分たちはロングボール一辺倒になってしまった」と兵働も反省するように、彼らは数的優位の状況を生かせずじまい。終了間際には速攻から途中出場の深井正樹に3点目奪われ万事休す。このまま1−3の逆転負けを喫した。
一方、G大阪、浦和の上位グループを追走した鹿島にとっては非常に大きな勝ち点3だった。指揮官の采配は的中。小笠原満男ら主力ばかりでなく、田代ら控え選手も勝利に貢献した。課題だった『流れの中からの得点』も生まれ、チームにとっても大きな自信につながる勝利だった。逆に清水は痛い敗戦だったが、内容はそう悪くなかった。アウトゥオリ監督も「ここまで当たったチームの中で一番すばらしかった」と最大級の賛辞を送った。先制しながら逃げ切れなかった失敗を次への教訓にすることが大切だ。
以上
2006.04.15 Reported by 元川悦子
次の対戦カード
第9節 京都 vs 鹿島 4月22日(土)西京極