湘南 0 - 4 山形 (19:03/平塚/5,875人)
得点者:'21 北村知隆(山形)、'57 北村知隆(山形)、'68 石川竜也(山形)、'89 木藤健太(山形)
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上気した表情と興奮気味に連ねる言葉が、山形・樋口靖洋監督の充実感を物語っていた。
「しっかりとプレスをかけ、いいボールの奪い方をしようというゲームプランどおりに、選手たちが90分間を通してハードワークしてくれた。その結果、速い攻めからの得点に繋がったと思う。連戦という厳しい日程のなか、選手たちがやるべきことをやり遂げてくれた。非常にいいゲームができたと思う」
思えば昨年のいま時分、就任一年目の指揮官は序盤戦で躓き、気の早い一部のメディアからは進退問題を追及される憂き目にさえ遭ったものだ。しかしどうだろう。ここまでの闘いぶりとこの日の湘南戦で手にした4−0という大勝、首位と勝点3差の4位という現在の成績は、苦境にも折れることなく昨季から続けたチームづくりの賜物といえるのではないだろうか。試合はスコアどおり、山形の圧勝だった。
レオナルドと木村誠という最終ラインのふたりにくわえ、攻撃のリズムを生み出す財前宣之をも欠くアウェイチームは、序盤から2トップへ向けてロングボールを多用、相手陣内へ押し込む。前から主導権を握りたいホームチームの裏を突く格好だ。樋口監督の述懐どおり、中盤のプレスも素早い。また鷲田雅一がセンターバックに、園田拓也が右サイドバックに入ったことにより、右サイドハーフに戻った臼井幸平のドリブルも効いた。宮沢克行らが絡みシンプルに繋ぐ突破も敵を脅かす。立ち上がりからおよそ10分間は山形のペースだった。
対する湘南も、中盤で奪い返し反撃に転じる。アジエルや加藤望、左サイドバックの鈴木伸貴、あるいはボランチや2トップが絡み、パスを繋いでリズムを刻んでいく。ときにフィニッシュまで持ち込んだつぎの10分間は、湘南の手中にあった。
しかし悔やまれるのは、攻撃を終えたあとである。ボールを持つ山形DFに対しプレスを仕掛け、フィニッシュまで持ち込んだ直後のことだ。小原章吾からのロングパスが湘南に傾いていた流れを一変させる。「オフサイドにならなくてよかった」と胸を撫で下ろしたほどに絶妙なタイミングで、FW北村知隆は守備ラインの間隙を縫った。完全に裏を盗り、狙い済まして先制弾を沈めたのだった。
後半に生まれた山形の2点目もまた、同様のケースである。湘南のクロスをGK清水健太が阻んだ直後の57分、石川竜也が左サイドを突破して豊田陽平へ繋ぎ、最後はゴール前へ走りこんだ北村がきっちりと追加点を奪った。
のちに湘南の各選手が振り返っているが、今日は局面に応じて3ラインの意思統一にズレが生じていたようだ。一方、その背景には、相手の攻撃の多様性も影響していたように思われる。立ち上がりこそロングボールが目立っていた山形は、しかし先制してからはショートパスを繋ぐ本来のスタイルで、且つシンプルに回しサイドを崩しにかかっている。そしてときにサイドチェンジを含めたダイナミックな展開を織り交ぜ、湘南に奪いどころを特定させなかった。
2点ビハインドを背負った湘南は、最終ラインを3枚にして反撃を試みる。「前半から見ていて相手のポジショニングが早かったので、空いている選手を狙っていた」というDF松本昂聡からの前線への縦パスも、攻撃にアクセントをくわえた。だがアジエルや外池大亮が前半に見せたようなシュートシーンは訪れない。後半にシュートが撃てなかったのは、サイドを深く抉られることを簡単には許さない山形のディフェンスも影響していた。サイドで主導権を握るこのスタイルもまた、山形が昨季から積み重ねてきたものだ。自分たちのペースを崩さなかった彼らは、石川がフリーキックを、途中交代の木藤健太も流れから決め、快勝したのだった。
この日の4ゴールを合わせ、山形はこれまでの18得点を10人の選手で挙げている。無論、セットプレーも含まれるが、レアンドロの比重が高かった昨季に反し、あらゆる角度から点が取れることを感じさせる。開幕前から樋口監督が求めていた「出し手と受け手の呼吸」が、意図だけでなくタイミングも併せて磨かれている様子だ。「チャンスメイクがまだ足りない」と指揮官の要求は尽きないが、組織力が上がっていることを思わせた。
一方、敗れた湘南は、「ひとつひとつが相手よりも遅れていた」と菅野将晃監督が振り返ったように、後手を踏んだことは否めない。だが、この厳しい連戦のさなかにあって、山形の出足の鋭さは賞賛に値するものだった。次節に対峙する福岡も出足に長けている。ハイプレッシャーをいかにかいくぐり、フィニッシュまでどう展開するか。これはいずれのチームにも共通の命題といえるだろう。ここまで中盤でハードワークを続けてきた坂本紘司を累積警告で欠くが、ベースである守備を見直し、敗戦をつぎへ活かしてきた今季の姿勢を次節、博多の森で表現したい。
以上
2007.04.30 Reported by 隈元大吾
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第13節 山形 vs 鳥栖 5月3日(木)NDスタ