福岡 2 - 0 湘南 (13:03/博多球/8,112人)
得点者:'32 リンコン(福岡)、'51 リンコン(福岡)
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「最終ラインからのビルドアップのプロセスが大事。しかし、それはある意味では危険なプレーでもある。徳島戦ではハーフウェイラインまでは楽に運べたが、ゴールから20〜25メートルのところでプレスを掛けてくるのが湘南。ここで奪われるとシュートを打たれる。注意しなければいけない」。湘南戦を控えてリトバルスキー監督(福岡)が口にした言葉だ。同様に、選手たちも湘南の高い位置からのブレスと激しく囲い込んでくる守備を警戒していた。
そんな福岡にとって、この日の湘南のスタイルは意外性を伴ったものだった。システムは4−5−1。1トップの石原直樹を残して全員が自陣に引いて福岡が入ってくるのを待ち構える。その狙いを菅野将晃監督(湘南)は言う。「福岡は割と低い位置で4バックでボールを回し、そこからの前線へのボール、大きなサイドチェンジを使った攻撃をしてくる。あまり高い位置で行かないことにして、逆に入ってきたところを行こうという意図」。
立ち上がり、湘南は狙い通りに前に出てくる福岡を捕まえると右サイドへ展開。鈴木将太がスピードを生かした縦への突破を起点にして福岡ゴールへと迫った。湘南の戦術変更は当たったかに見えた。しかし、その勢いも10分辺りまでだった。「相手の出方、流れを見て、どの時間帯、どのタイミングで自分たちのスタイルを出すかを考えながらやらなければいけない」。試合前日に布部陽功が語っていたように、湘南の動きを見た福岡は縦へ急ぐ攻撃を自重してボールをゆっくりと回し始めた。
田村雄三がアレックスをマンマークする湘南は、中盤に大きなスペースが空く。そこへ入り込んだ布部を中継点にして福岡はボールを左右に動かしながらチャンスをうかがう。もちろん、湘南にとってはこれも想定の範囲内だった。福岡にボールを持たせておいて、前半を無失点で折り返すことが次のゲームプランだったからだ。カウンターは仕掛けられなくなったが、網を張るように仕掛けた守備網は福岡に決定的なチャンスを与えない。
しかし、この流れは福岡にとっても悪いものではなかった。福岡のパスサッカーは、トリッキーなパス交換から相手を翻弄するものではない。丁寧に前後左右にボールを回し、いくつもの伏線を張り、相手の守備網にジワジワと穴をあけ、その隙をついて一気に仕掛けるというもの。26分、久藤がゴール前中央にできた隙に素早く入り込んで決定的なシュートを放ったシーンこそ福岡の真骨頂。攻めあぐねているように見えて、アンテナを張り巡らして隙ができるのを狙っていた。
そして32分にリンコンが先制ゴールを決めると、福岡のポゼッションサッカーがリズムを刻む。足が止まり、ボールを後追いする湘南は、リードされていながら前にも出ることができずに時間を費やした。
そんな湘南に絶好の機会が訪れたのは48分。4-4-2のシステムに戻し、意識的に裏へボールを送り込んで、原、石原を飛び出させる戦術に変えてから掴んだチャンスだった。縦1本のパスで裏へ抜けだした石原がGKと1対1に。だが、これはGK神山竜一がスーパーセーブ。
そしてその直後の51分、リンコンとアレックスが華麗なパス交換で中央を突破。最後はリンコンがゴールネットを揺らす。事実上の勝負が決まった瞬間だった。
ここからは、守備に重点を置きながらカウンターを狙う福岡と、積極的に仕掛ける湘南という図式に。しかし、攻め手に欠く湘南はフィニィッシュに結び付けられず。アジエルが個人技をいかして中盤を切り裂いても、アジエルと連動できる選手がおらず、最後は福岡の最終ラインにつぶされた。結局、高い守備意識を保つ福岡が湘南を完封。福岡にとっては難しいと予想された試合も、終わってみれば福岡の完勝だった。
この日の勝利で福岡は得失点差で首位の座に立った。しかし、まだ36試合も残す段階では、それも大きなアドバンテージではない。求められるのは変わらぬ姿勢でチームの完成度を上げ続けていくことだ。それは湘南にとっても同じこと。この日の試合も、何かがひとつ変われば違っていた結果になっていたかもしれず、勝者と敗者の差は見た目ほど大きくはない。その勝敗を分けるディテールの部分を確実に抑えられるかどうか。それが昇格の鍵になる。その鍵を求める戦いはまだまだ続く。
以上
2007.05.03 Reported by 中倉一志
次の対戦カード
第15節 福岡 vs 京都 5月13日(日)博多球
第14節 湘南 vs 草津 5月6日(日)平塚