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水戸は苦しい戦いが続いた。東京Vと福岡という上位との連戦。そこで一泡吹かせたいところだったが、小椋をはじめ、2試合とも主力3人が出場停止。さらに東京V戦ではわずか9分でディフェンスリーダー吉本が負傷退場し、福岡戦も欠場。水戸にとって満身創痍の連戦であった。そこで前田監督が採った戦術は相手のエースにマンマークをつけ、そして守備的に戦って勝機を見出すということ。ともに前半で先制点を挙げるなどプラン通りの展開に持ち込んだものの、東京V戦ではジャッジに泣き、福岡戦では相手のシステム変更に対応しきれずに逆転負け。チーム全体の経験不足を露呈し、健闘空しく連敗を喫することとなってしまった。
しかし、今節は鈴木良こそ出場停止だが、小椋、村松、吉本が戻ってくることでチームは変わるはず。普段着のアクションサッカーで仙台に立ち向かうこととなる。「この2戦はやむを得ず、マンマークをつけ、守備的に戦ったけど、それは我々の目指すことではない。これまでやってきたのはアクションサッカー。だから、ロペスにマンマークをつけることもしない。ガチンコでぶつかりたい」と前田監督はアクションサッカーを誓った。
やはり小椋がいるとチームは違う。紅白戦では中盤で積極的にプレスをかけ、高い位置で相手ボールを奪取し、そこから速攻を仕掛けるシーンが何度も見られた。「小椋は潰しにかかるのが早い。あそこで取れれば攻撃面で大きい。そこが違うとゲーム展開も違ってくる」と前田監督は小椋の復帰を手放しで喜ぶ。2試合の休養を挟んだだけに小椋自身も気迫十分。「休んでいる2試合の間は長く感じた。でも、自分としては外から試合を見ることで細かいポジションなど忘れかけていたことを再確認できたのでそれを出していきたい」と今節への意気込みを語った。自身のJリーグ100試合出場となる試合に花を添えることができるかにも注目したい。
ただ、敗れたとはいえ、この2戦が無駄だったのかというと、そうではない。この間に出場機会を得た選手たちは十分に力を出し、自信をつかんだことはチームにとってプラスである。特に2試合連続フル出場を果たした中村は、前節には豪快なミドルシュートでプロ初ゴールを叩き出し、存在をおおいにアピールした。「積極的な気持ちが大事だということが分かった。毎回感じたことを修正して、それを確かめながらやっている。パフォーマンスも上がってきていると思うし、やれるという感じはある」と充実の表情で語った中村は今節も先発起用が濃厚。連敗中で最下位に低迷するチームだが、中村ら若い選手の台頭により、雰囲気は活気付いている。「練習からみんな声も出ているし、若い選手もいいプレーをしている。練習でできていないと試合でできないので、それを試合で出せれば結果もついてくる」と吉本もチーム状況は上向きだと話す。「仙台戦はいい試合ができると期待している」と話す前田監督の自信に満ちた表情がチームの現状を物語っている。最下位の水戸が4位仙台から勝ち点3を奪っても、なんら不思議ではなさそうだ。
しかし、昇格争い真っ只中の仙台も必死の覚悟で試合に臨んでくることは間違いない。第40節では首位札幌に勝利するなどチーム状況は上向いていたものの、草津、愛媛と下位との連戦で1敗1分。特に前節、ホームで1人退場者を出した愛媛を攻めきれずに敗れたことのショックは計り知れないようだ。順位も4位に落ち、今節敗れるようだと昇格争いに黄信号が灯ることとなるだけに絶対に負けられない一戦である。
今季の仙台はリスクを冒してでも攻撃を仕掛けるサッカーを繰り広げている。しかし、その反面、守備的な相手を崩しきれないもどかしさも残している。ここ2戦の戦いはまさに今季の負の象徴と言える戦いだろう。今季は水戸に2勝1分だが、内容は五分に近く、勝負も紙一重の展開。決してやりやすい相手ではないはず。水戸の守備をいかに攻略できるか。今節の勝利のポイントはその一点だろう。しかし、それは今季のサッカーで昇格を果たすためには絶対に乗り越えないといけない壁。仙台にとって今後の命運を左右する大一番となりそうだ。
「失うものはない」。最下位に低迷する水戸を評する時によく聞かれる言葉である。しかし、「失うもの」があることを選手たちには忘れないでほしい。まずは「サポーターからの信頼」だ。今まで最下位に低迷しながらも、サポーターたちは守備的なサッカーからアクションサッカーへの変革を信じ、そしてそれが昇格への礎となることを願って、一度たりとも声援を絶やしたことはなかった。そんなサポーターに対してここまで培ってきたすべてを出し切った姿を見せなくてはいけない。信頼は得るのは難しいが、失うのは簡単。一瞬たりとも気を抜いたプレーを見せてはいけない。そして、少々生臭い話になるが、シーズン終盤、クラブはすでに来季の運営に向けての動きを始めており、スポンサーからも厳しい目が向けられていることを忘れてはいけない。果たして水戸ホーリーホックは支援するに値するクラブなのか。その答えを選手たちはピッチの上で出さないといけないのだ。チームの現状を汲んだ吉本はこう語った。「今の時期の1試合1試合はいろんな意味で大事。とにかく気持ちを見せないといけない」。
仙台は目の前に迫る昇格のために、水戸は将来の昇格を果たすための基盤を築くために、この試合での勝ち点3が是が非でも必要なのだ。4位の仙台と最下位の水戸。順位の差はあれども、勝ち点3の価値は変わらない。ここでの1勝が両チームの未来を左右することとなる。そんな一戦、死闘にならないはずがない。かつてサッカーの町として名を馳せた日立市に、再びサッカーで熱く燃え上がる日がやってくる。
以上
2007.09.29 Reported by 佐藤拓也