昨年、史上初となる「J1昇格初年度のACL出場権獲得」という快挙を成し遂げた広島だが、その歓喜の熱とは逆に、今のチームは厳しい状況に追い込まれている。
まず厳しいのは、負傷離脱者が多数存在すること。昨年、膝の半月板を手術した青山敏弘とグロインペイン症候群の手術を行ったミキッチは開幕に間に合わず、トルコキャンプ中に負傷した山崎雅人のコンディションも微妙だ。長期離脱の影響で、復帰したもののコンディションの回復が遅れているストヤノフや森崎浩司、森脇良太らの状態も気になる。さらに桑田慎一朗や大崎淳矢、石川大徳なども負傷を抱えており、チームはギリギリの状態でACL・J1の開幕を迎えることになる。
さらに厳しいのは、3月〜4月にかけての日程だ。3月6日に広島でJ開幕戦(対清水)を戦った後、チームは即座に韓国へと移動し、中3日で浦項戦。そこからはほぼ週2回ペースで試合が続き、中には10時間を超える移動時間を要するオーストラリア遠征も待っている。リーグ中断となる5月16日の対大宮戦まで、2ヶ月半で16試合というハードスケジュール。しかもそのうち、10試合がアウエイでのゲームという厳しさだ。レギュラーとして計算している選手たちを多数欠いた状態で迎えるハードスケジュールを、いかに戦うか。
シーズン開幕していきなり、広島は正念場を迎えることになる。
「ここを全員が一丸となって乗り切って、5月の中断期間にチームを立て直したい」とペトロヴィッチ監督は言う。リーグ中断から7月14日の再開まで、チームには丸々2ヶ月の休息が与えられる(日本代表選手を除く)。その間に選手たちの心身をリフレッシュし、集中したトレーニングを行うことによってチーム全体を再構築することが可能になる。青山やミキッチらもこの時期には復帰しているはずで、その時こそ本当の「サンフレッチェ広島2010バージョン」が誕生するはずだ。
とにかく、我慢。これはペトロヴィッチ監督の口癖ではあるが、今季前半の広島ほど、その言葉を噛み締めるべきチームはないだろう。
【注目の新戦力】----------
●GK 21 西川周作

複数のオファーがあった中で「やっているサッカーに魅力を感じたから」と広島を選択。クラブ史上初(J開幕以降)となる現役日本代表の移籍加入となった。抜群のシュートストップ能力に加え、足下の技術の高さは日本屈指。練習試合でも、まだコンビネーションが確立されていないにも関わらず、正確なパスを次々と前線に供給してみせた。GKのパスが攻撃の起点となることを要求される広島にとって、まさに待望の人材と言っていい。
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●FW 33 山崎雅人

柔軟なプレースタイルと前への推進力もさることながら、山崎雅人の最大の特徴はそのクレバーさ。習得に時間がかかる広島の戦術もあっという間に習得し、さらにその中で自分の特徴を表現、ディナモ・ザグレブ戦では見事なゴールを決めた。特に高萩洋次郎とのコンビは、当人同士が「もっとも合う」と認めるほどに秀逸。キャンプ途中で右第五趾基節骨を骨折し戦線を離脱したが、現在はJ開幕に間に合わせるべくリハビリに専念中だ。
【開幕時の予想布陣】----------
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注目はやはり山崎の復帰の可否だろう。3月6日のJ開幕を目指して現在リハビリを行っている彼が復帰できなければ、このポジションで起用する人材は不透明化する。
本来であれば森崎浩司だが「彼は昨年1年間、戦列から離れていた。状態が戻るまで時間がかかるのは当然。私は彼と共に、この長い闘いに立ち向かう」とペトロヴィッチ監督は言う。宮崎一次キャンプでの負傷離脱も響き、まだフィジカルコンディションがあがっていない状況では、彼の先発起用は難しい。李忠成や高柳一誠がキャンプ中に試されていたが、彼らのプレーにも一長一短があり決定打がない。
ミキッチ不在となった右サイドは山岸智が確定。森崎和とのコンビを確立するなど、広島のサッカーへの順応も早い。他にもサイドには森脇良太や石川大徳らの実力者も控えているものの、選手層は決して厚くない。青山がいないボランチも、森崎和幸という大黒柱に経験のある中島浩司が健在ではあるが、続く選手は森崎浩司や高柳一誠など、トップ下の候補として考えられている人材。青山の復帰は4月頃ではないかという展望で、そこまでは何とかやりくりしていくしかない。
ただ、昨年は佐藤寿人が全試合出場を果たしたFWには、李忠成・山崎雅人という実績のある選手の存在に加え、森崎浩司の復帰・高萩洋次郎の成長によって、J2時代に試した「0トップ」という選択肢も視野に入る。また、守備陣の人材も豊富だ。3バックは先発候補の3人の他、森脇・中島・横竹翔というセットが控えており、リベロは森崎和もやれる。またGK陣も昨年実績を積んだ中林洋次に加え、膝のケガから復帰した下田崇の実績も確かだ。日本代表の西川とはいえ、決してポジションは安泰ではない。
いずれにしても、広島の本来のポテンシャルが発揮できるのは、負傷者が戻ってくるリーグ中断期間以降。その時には、開幕時とはまったく違うチームになってサポーターの前に登場する可能性が高い。
以上
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| 2009成績 | |
| リーグ戦 | J1 4位 |
| ヤマザキナビスコカップ | グループリーグ敗退 |
| 天皇杯 | 3回戦敗退 |
| 広島 移籍情報 | |
2010.02.22 Reported by 中野和也
