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【取材ノート:福岡】福岡を蘇らせた岩崎悠人のアグレッシブさ。次なるターゲットは移籍後初ゴール

2024年3月18日(月)


明治安田J1リーグ第4節のFC東京戦は前半を終えて0‐2。スコアも内容も苦しい展開。長谷部茂利監督は福岡本来のアグレッシブさを取り戻すために後半開始から交代カードを切る。先陣を任されたのは岩崎悠人だった。


「基本的に相手がボールを持っている、ゴールキーパーであろうとセンターバックであろうと、自分たちはプレッシャーをかけたい。そのためにファーストディフェンスは誰なんだというところを我々は気にしています。それが今日は定まらずにハーフラインを越えられてというところで言うと、うまくいっていなかった。それを少し解決するために」長谷部監督はシステムを4-4-2に変更。2トップの一角に岩崎を配置した。相手のボール保持に対し、前線から猛然とプレス。ボールを奪えば、相手のSBの背後のスペースを狙って何度も何度もスプリントを繰り返し、攻撃の起点を作る。

「最初、2トップでどんどん(相手の)背後を狙っていけという感じだったので、後半の頭から起点を作るという仕事はしっかりできたんじゃないかなと思いますし、前半は外(ベンチ)から見ていて押し込まれてそこから攻撃をするのはしんどそうだなというふうに思っていました。自分が前で起点を作れればというイメージだったので、そこはすごい良かったなと思います。途中から入ったら攻撃に重きを置ける。(この試合は)点差も劣勢だったので攻めなきゃいけないというところでもあったと思うんですけど、スタートからだと結構守備のことも考えてやらなきゃいけないという中で、今日はいかに(攻撃の)起点を作れるかという自分の良さを出すことに集中できたので良かったと思います」

57分に追加点を失っても、59分に左SHにポジションが変わっても岩崎の躍動感あるプレーが変わることはなかった。新加入のFWシャハブ ザヘディやボランチの松岡大起ら次々と投入される途中出場の選手たちと共に前への圧力を強める中で、福岡にとって希望のゴールが生まれる。82分、紺野和也の右サイドからのクロスを岩崎が頭で中央に折り返すと、シャハブが懸命につなぎ、最後は松岡が押し込んだ。「本当に逆転までイメージしていたので、そういった思いでああいう感情になった」。松岡が得点直後に見せた大きな雄叫びは福岡のファインティングポーズを示すものだった。

「試合に出たくて、出たくて、気持ちがいろんな意味で高まっていたと思うので、それも期待しましたし、いい仕事をしたと思います。これからもたくさん試合がありますから、長いシーズンで力を発揮してもらいたい、貢献してもらいたいと思います」

長谷部監督は途中出場の3人が絡んで生まれたゴールをそう評した。チーム全体で積極的にボールを奪いに行き、常にゴールに向かってプレーする。例え、上手くいかない試合があろうとも攻守両面でチーム全員がハードワークを怠らず、選手各々の特長を最大限に発揮するチーム作りをしているのが福岡。その中でこの4試合、攻守にスピード感あふれるプレーでアグレッシブな姿勢を見せ続ける岩崎の存在感は大きくなっている。開幕から3節で毎試合、走行距離とスプリント回数はチームナンバーワン。今節は45分のプレーだったが、チーム3位の14回のスプリントを記録した(©JSTATS)。誰よりも走り、前向きに戦い続ける快速FWはいつも見る人の心を揺さぶり、期待感を抱かせてくれる。それは本人も強く自覚している。

「本当に勢いのあるプレーが好きなサポーターが多いと思うので、そこは自分の特長でもあるし、自分がより多くのプレーに関わればスタジアム全体が盛り上がると思うので、そういうのを大事により仕掛けられるような選手になりたいと思います。(長谷部監督は自分の)良さを出させてくれる監督なのでその期待にやっぱり応えなければいけないですし、ちょっとずつチームメイトとも感覚が合ってきているので、あとはアシストだったり、ゴールという結果を残せればいいなと思います」

今シーズン新加入ながらすでに福岡に関わる人々の心を鷲掴みにしている背番号18。次はアシスト、そしてゴールという結果でサポーターを沸かせる番だ。「頑張ります」。力強い表情でそう言葉を残してミックスゾーンを去った。

Reported by 武丸善章