Football Tourism 〜アウェイ旅を楽しもう!〜
■11月6日(日)J2 第34節 鳥栖 vs 横浜FC(13:00KICK OFF/ベアスタ)

●1日で鳥栖を楽しむためのプランを考える
筆者が、Football Tourismとしてアウェイ旅を楽しむのは第9旅に次いで2回目。今回は鳥栖だ。
実は鳥栖を訪れるのは2回目で、前回は2006年に横浜FCがJ2優勝を決めた日。今年の横浜FCと鳥栖は完全に立場が逆転しているが、シーズンが押し迫ったこの時期に鳥栖を訪れることになるのは、何かの縁かもしれない。
今回の鳥栖での試合は日曜日の13時キックオフ。横浜から訪れるサポーターにとっては日帰りも可能で、アウェイ旅の計画を立てやすいかもしれない。しかし、もう日没の時間も早くなっており、試合以外の時間を使って「アウェイ旅を楽しもう」とするには難しいスケジュールだ。
筆者にとって、鳥栖とは「交通の要衝」であり、「工場がたくさん誘致されている」というイメージがあり、今はやりの工場の見学も盛んのようだが、日曜日にはほとんど行われていない。そこで、J's GOAL鳥栖担当のサカクラゲンさんやいろいろな知り合いに聞いて、インターネットでも情報を集め、「1日でも楽しめる鳥栖と佐賀」のプランニングをした。
その内容をご紹介すると…
(1)吉野ヶ里遺跡を見る
(2)今年開通した九州新幹線には乗る
(3)最近、鳥栖で静かな評判になっている「明太子のレストラン」を訪れる
(4)年に1度の佐賀の大イベント「佐賀バルーンフェスタ」を見に行く
(5)ご当地麺は「鳥栖駅のかしわうどん」、これしかない(by サカクラゲン)
13時スタートの試合と早い日没という条件の中で、すべてをクリアするのはかなり厳しい。しかし、できる限りトライすることにした。
●ミッション1&2:大雨の吉野ヶ里はアウェイの洗礼
さて、今回の「日帰り弾丸アウェイツアー」を満喫するためには、朝1番の飛行機に乗ることが大事。早朝5時30分に羽田空港に到着。早朝の羽田空港は人もまばらだったが、こんな早い時間に空港にいることもあまりない体験で、逆に特別な(というか弾丸アウェイツアーならではの)気分を味わった。
その後、6時20分発の飛行機で福岡空港へ。1時間半ほどのフライトは快適で、鳥取へ高速バスを使って敢行した前回の日帰りアウェイツアーを考えると、非常に楽なのは確かだ。
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休日はごった返す羽田空港だが、さすがに朝5時30分では人もまばら。
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いざ福岡空港へ。鳥栖は福岡空港からのアクセスが容易なので、アウェイ旅もプランニングしやすいはず。
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博多駅まで福岡市地下鉄で3駅。福岡空港は日本で最もアクセスに優れていると言える。

待ち望んでいた九州新幹線とご対面。さすがに真新しく、新鮮な感じがする。九州入りして、最初の観光は吉野ヶ里遺跡。福岡空港からは、1日1往復ながら直行バスがある。しかし、直行バスは午前9時発で、「日帰り弾丸アウェイツアー」であることを考えると時間のロスが多い。そこで、少しでも時間を節約するために、電車を乗り継いでいくことにする。
まずは、福岡空港から博多駅へ。博多駅からは、今年3月に開通した九州新幹線に乗る(これで2つ目のミッションもクリア!)。
新幹線の車窓から眺めると、…強い雨が降っている。思えば、飛行機内のアナウンスでも「福岡の天気は雨」と不吉なことを言っていた。博多駅から1つ目の新鳥栖駅で降り、長崎本線の電車を待っている間に雨はさらに強まる。吉野ヶ里遺跡でアウェイ旅を楽しむ…ような状況ではなく、写真撮影も到底無理な豪雨だ。しかし、行かねばならない。勇気を振り絞って、電車に乗り込んだ。
吉野ヶ里遺跡公園駅で下車。雨はちょっと小降りになった。駅から吉野ヶ里公園までは、徒歩で約10分。この日は、月の最初の土日ということで、駅から吉野ヶ里遺跡のまでの道路で「トラック市」と呼ばれる市場が開かれていた。食べ物だけではなく、いろいろな物品販売も行われている。
トラック市を抜けて、「吉野ヶ里歴史公園」に到着。ここで許された滞在時間は45分(!)。すぐにでも遺跡見学を…と思ったのだが、ここで再び雨が激しくなる。入り口から遺跡までは歩いて5分もかからない距離なのだが、豪雨の中では傘も役に立たず、びしょ濡れ。こんな状態で、「アウェイ旅を楽しむ」レポートになるわけがない!アウェイの洗礼か、なにかの罰ゲームか。でも「日帰り弾丸アウェイツアー」のミッションなのだから、進むしかないのだ。
ようやく遺跡の櫓のようなものを発見。登れば屋根があり、雨に濡れずに落ち着いて遺跡を見渡せるようだ。急いで櫓に登る。やっと吉野ヶ里遺跡全体の景色を見ながら、写真撮影を行うことができた。
吉野ヶ里遺跡は、1982年から発掘が始まり、1989年に大規模な集落跡が発見されると邪馬台国の発見かと大きく話題になった。邪馬台国であるかどうかは、いまだに諸説あるため確定したものはないが、紀元前3世紀から紀元後3世紀という弥生時代の建物が見事に再現されている。そう思って見ると、豪雨で大きな水たまりができているのも、太古の昔を再現したこの風景を、より趣のあるものにしているような…。
櫓には、公園ガイドの方がいらっしゃった。横浜からサッカー観戦で来たことを伝えると、ガイドの方もサガン鳥栖の躍進で佐賀が盛り上がっていること、2週間前のF東京戦に引き分けたことの感動を熱く語ってくれた。サガン鳥栖が鳥栖、そして佐賀に深く定着していることを感じさせた。
もう少しゆっくり見学したいのだが、ここで許された45分の観光タイムはあっという間に過ぎ去り、吉野ヶ里公園駅に戻る。電車が予想外に混雑しているのは、私も行く予定にしていた「佐賀バルーンフェスタ」が悪天候のために午前中の競技が中止になったためかもしれない。
鳥栖駅で、次のミッションである「明太子のレストラン」に行くために電車を乗り換えた。この旅では、何度も鳥栖で電車を乗り降りすることになる。鳥栖はやはり、九州の交通の要衝なのだ。
●ミッション3:絶賛ブレイク中! 絶品の明太子メニューに出会う
次にクリアすべきミッションは、知り合いから聞いた「最近、ひそかに人気を集めている」という明太子料理レストラン。もとは明太子を販売している専門店なのだが、レストランも併設されているとのこと。サカクラゲンさんも「鳥栖の練習場付近でも話題になっている」と言っていた。
そのお店は鳥栖駅から鹿児島本線で2駅の弥生が丘駅から徒歩10分ほど。「蔵出しめんたい本舗 弥生が丘店」。古民家を移築したという店内は、1階が明太子を中心とした販売スペース。2階が喫茶スペースで、いろいろとアレンジされた明太子料理を楽しむことができる。

「蔵出しめんたい本舗 弥生が丘店」。古民家を移築した趣のある建物だ。「日帰り弾丸アウェイツアー」の真っただ中で時間が気になるが、ランチタイムの始まる11時30分を待つようにして「めんたいランチ・蔵(600円)」を注文した。
切れ子の明太子、十穀米、サラダなど、ランチとしては十分のメニュー。そして、この明太子が絶品! 1口目からパンチが効いているのだが、あとを引くような辛さがあって、これまで食べた明太子の中で最高の味だった。ランチメニューにはほかに、鮭めんたい膳(700円)、めんたいドリア(700円)、めんたいパスタ(800円)などがある。
明太子のおいしさに完全にやられてしまった筆者は、1階で早速お土産用の明太子を購入。鳥栖駅から20分ほどのアクセスだけに、時間があればぜひ立ち寄ってほしい店だ。
◆蔵出しめんたい本舗 弥生ケ丘店![]()
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1階は、明太子を中心とした販売スペース。量り売りをしていることもある。
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2階では、落ち着いた空間でゆったりと明太子料理を堪能することができる。
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今回堪能した「めんたいランチ[蔵]」。明太子が絶品、これで600円は信じられない安さ。
●いよいよベアスタへ。ここでも アウェイの洗礼が…
絶品の明太子を堪能したあとは急いでスタジアムへ。鳥栖駅に到着したのは、12時20分頃。ベストアメニティスタジアム(ベアスタ)は鳥栖駅の目の前にあるが、改札口はスタジアムの反対側。線路をまたぐ歩道橋を渡って、一度反対側に出る必要がある。
5年ぶりに来たベアスタは相変わらず非常に立派で、ヨーロッパ1部リーグの標準的スタジアムと同じような構造をしている。横浜FCのホームスタジアム・ニッパツ三ツ沢球技場も球技専用スタジアムで臨場感ではどこにも負けない自信があるが、ベアスタのような迫力のあるスタジアムを使えるJクラブは少ない。正直、鳥栖がうらやましくなる。
駆け付けた横浜FCサポーターの数も少なくなかったが、結果は鳥栖が勢いを見せつける形で圧勝。時期的にも昇格をより確実にするような勝利だっただけに、いつも文章でも躍動感を感じさせるサカクラゲンさんの表情がさらに弾んでいるように見えた。これぞ、アウェイの洗礼。
●ミッション4&5:「日帰り弾丸アウェイツアー」ミッション完遂なるか?!
試合後に、問題は起こった…。敗戦もあってか、横浜FCの選手たちがロッカールームからなかなか出てこないのだ。
試合終了1時間後にスタジアムを出発できれば、「佐賀バルーンフェスタ」の最終競技に間に合うはずだった。しかし、取材が終わったのは16時30分…残念。
ミッション4の「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」は年に一度、この時期に佐賀市の嘉瀬川河川敷でおこなわれる。国内外から100機以上の熱気球が佐賀の青い空を彩る、アジア最大級の競技大会。ユニークな形の熱気球が見られたりするほかに、コンサートなどの様々なイベントもあって、100万人以上が訪れるという。
本来であれば、筆者も「佐賀バルーンフェスタ」を30分ほど楽しみ、その後再び鳥栖駅でミッション5の「かしわうどん」を食べてから福岡空港に戻る予定だったが、予定変更。余裕をもって鳥栖駅のミッション5にトライすることになった。
鳥栖駅には、各ホームに「かしわうどん」を食べられるスタンドがある。しかし、なぜかサポーターの間では、「6番線のかしわうどんを食べるべし」という伝承があるらしい。なぜなら、定かではないが「6番線のかしわうどんが一番おいしい」から。そこで、筆者も6番線で「かしわうどん(320円)」を食べた。非常にシンプルだが、食べ飽きない絶妙な味。前回に来た時には食べなかったのがもったいない。そして、ここでは「かしわなし」を頼まない以外、どのうどん・そばにも、「かしわ(鶏肉)」が入ることも知った。
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6番線のホームには、1896年製造のレールで柱が作られていることを示すプレートがあった。
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「6番線のかしわうどん」スタンド。
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あっさりしているが、鶏肉のだしが非常に効いている。人気があるのもうなずける味。
●「日帰り弾丸アウェイツアー」を終えて
かしわうどんを食べ、すこし遠回りになるが再び新鳥栖駅から九州新幹線で博多駅まで行った。そして地下鉄で福岡空港へと戻り、羽田空港への飛行機に間に合った。朝6時過ぎに羽田空港を出て、再び羽田空港に戻ったのは夜9時30分。わずか15時間30分の「日帰り弾丸アウェイツアー」だったが、大雨の中で太古の日本に思いを馳せ、絶品の明太子料理を味わい、シーズン終盤ならではの熱いサッカーを堪能し、地元で長く愛されるうどんで体を温める。
鳥栖はいわゆる「観光都市」ではないので、サッカー以外に「アウェイ旅を楽しむ」いう要素を見つけにくいと思われるかもしれないが、探してみれば試合の合間を縫って興味深い体験をすることは可能だ。来年は初めて鳥栖を訪れるサポーターが増えるかもしれない。その時には、筆者とは別の角度で鳥栖の魅力を探し出していただければ幸いだ。
文・松尾真一郎

〜松尾真一郎choice〜
吉野ヶ里歴史公園
●吉野ヶ里歴史公園
◎DATA
住所:佐賀県神埼郡吉野ヶ里町田手1843
TEL:0952-53-9333
開園時間:4月〜5月・9月〜3月 9:00〜17:00、6月〜8月 9:00〜18:00
入場料金:大人400円、小中学生80円、シルバー200円











