【ニューカマー・レコメンド】「献身的」という言葉を体現できる職人:吉井孝輔(熊本→鹿児島)

2016年2月22日(月)

2016シーズン開幕!ニューカマー・レコメンド
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「薩摩隼人」とはこういう人のことを指すのだろう。多くは語らないが周囲には細やかに目を配り、分をわきまえ、人のために汗を流し、義を重んじて犠牲を厭わず、率先して身を挺する覚悟がある。

彼自身のなかにはおそらく、一度決めた事をくつがえすことについての葛藤もあったはずだ。しかし一方で、火種はまだ消えることなく静かに燃え続け、その時を待っていた。2014年のシーズン終了後に引退を決意したのも、決して思うようなプレーができなくなったからではない。実際に、「30歳過ぎまでは現役でやりたかった」と心情を明かしてくれてもいた。だからこそ、今回の現役復帰には期するものがあるに違いない。一旦はユニフォームを脱いで指導の道に足を踏み入れた男が、故郷のクラブのために再び立つ。吉井孝輔らしい、尊く、そして勇気ある決断に拍手を送りたい。

熊本の一員となったのは19歳の時だ。運動量は当時から特徴だったがまだ線は細く、ゲームのツボを抑えたプレーをするには至っていなかった。そんな吉井に期待をかけてパスを出し続け、鍛え、時に叱咤しながら成長を見守ってきたのが、現在、カマタマーレ讃岐でコーチを務める上村健一である。

2006年のJFLで5位となりJ2入りを逃した時には、「サッカーを辞めて鹿児島に帰ろう」と考えた事もあったというが、父の言葉に思いとどまり、翌年J2入りを達成。上村からかけられた「ボランチは孝輔で間違いないね」という言葉も自信になった。

持ち味は、執拗に相手の出どころを潰し、ボールを奪ってから前へ出て行く推進力。熊本で挙げたゴールは数こそ少ないものの、いずれも記憶に残るものばかりで、献身的なプレーを続けていたからこそ与えられる報償のようなものだったのではないかとさえ思う。

2年続けて主将を務めたが、2013年にはチームの成績が振るわないなかで選手達の思いを1つにまとめることに腐心し、2014年は自身の怪我もあって、どう振る舞うかにも苦悩する日々を送った。だがそうして積み重ねた時間はきっと、人間としての厚みを増すことにもつながっている。

故郷に帰って臨む新たなチャレンジに、熊本での経験は必ず役に立つだろう。ベテランとして、チームに様々な効果をもたらす事も期待されているかもしれない。ただ願わくは、周りの事は少し他の選手に任せて、思う存分、自分のためにプレーして欲しい。

以上

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明治安田生命J3リーグ 第1節
2016年3月13日(日)13:00キックオフ/鹿児島県立鴨池陸上競技場
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2016.02.22 Reported by 井芹貴志