【FC東京 vs 神戸】 ウォーミングアップコラム:FC東京に吹く新風 変わり始めた田邉草民という存在

2016年3月10日(木)

「ウォーミングアップコラム」は、試合に向けてのワクワク感を高める新企画。ホームクラブの担当ライターが、いろんな視点から、いろんなテイストでみなさんに情報をお届けします!
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「一個ずつ。一歩ずつ」

FC東京のMF田邉草民は、そう言って日々と向き合っている。昨季シーズン途中に期限付き移籍していたスペイン2部のCEサバデルから古巣に復帰した。だが、すでに出来上がっていたチームに入り込む余地はなく、公式戦の出場はゼロに終わった。「(マッシモ フィッカデンティ監督の)戦術を理解するには時間がない」と、苦い顔で毎日を過ごしてきた。
それでも現実を直視し、できることを必死に探した。自らフィジカルトレーニングのメニューを考え、地道な努力も続けた。

そうした姿勢は、順風に帆を上げたわけではない欧州で学んだことでもあった。自分と向き合うには十分過ぎる時間があった。試合に出場するために考え、行動に移す。求められれば本職でないサイドバックで出場したこともあった。そうしたベンチを温めた時間も、一人で過ごした日々も、全てが日本では得られない貴重な体験だったという。
「スペインへの移籍は、自分を見つめ返すきっかけとなった。考える時間も十分にあったし、だから試合に出られない時は、いかにコンディションを保つのかを考えて実践していた」。
遠回りも近道もない。与えられた時間は等しく、それをいかに使うのか。それに気付いた2シーズンだった。だからこそ、「一個ずつ。一歩ずつ」というフレーズにつながるのだろう。

今季は、自身がプロ1年目から1シーズン半、指導を受けた城福浩監督が再任した。その恩師は、今季始動と共に選手たちにこう伝えた。
「今までの自分では優勝はできない。何か一つでいい。それは個人、個人で違っていい。何か一つを変えられるシーズンにしよう。それが必ず我々の目標へとつながっていくはずだから」。
その言葉に呼応するかのように、スマートなプレーが信条だった田邉は、泥くさく球際でバチバチと体をぶつけ合う姿を見せている。ただし、「それはスペインで身につけたこと。目の前のボールを争うことは、向こうでやってきたので」と言って首を振って続けた。
「僕が本当に変わるべきところは最後の部分。やっぱり点を取りたい。それが評価につながることも向こうで知ったことだから」

田邉は、11日の神戸戦でAFCチャンピオンズリーグ第2戦のビン・ズオン戦、J1第2節仙台戦に続き、公式戦3試合スタメン出場が濃厚となっている。
「得点を狙いたい。まずはそこから。いつ外されてもおかしくない立場に変わりないので」

スペインの空気を吸い、田邉草民は少しだけ変わった。だが、本当の自己改革はまだ始まったばかり。彼の“一個ずつ、一歩ずつ”変わっていく姿は今年、見ることができるかもしれない。まずは神戸戦。ゴールを積極的に狙う田邉が味スタにはいるはずだ。

文:馬場康平(FC東京担当)


明治安田生命J1リーグ 1st 第3節
3月11日(金)19:00KO 味スタ
FC東京 vs ヴィッセル神戸

味の素スタジアム(FC東京)
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