【町田 vs 水戸】 ウォーミングアップコラム:それでもFC町田ゼルビアには戦う理由がある。

2016年7月23日(土)

「ウォーミングアップコラム」は、試合に向けてのワクワク感を高める新企画。ホームクラブの担当ライターが、いろんな視点から、いろんなテイストでみなさんに情報をお届けします!
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FC町田ゼルビアは前節・セレッソ大阪戦(3○1)の勝利で6位に浮上。勝点も「39」まで伸ばした。

昨年のJ2を振り返ると20位・FC岐阜は勝点「43」、21位・大分が勝点「38」で、それぞれシーズンを終えている。町田はまず残留、そしてJ2への定着を目標として今季のスタートを切ったクラブ。まだ18試合を残していることを考えても、一応の“ライン”に届いたのかなという安堵感を私は持ちかけていた。

しかし相馬直樹監督の考えは違う。そもそも彼は開幕前から勝点、順位の目標を一度も口にしていない。「数字の話をしたくない」というのは、指揮官のかなり強いこだわりだ。決して“揚げ足を取られたくない”という逃げの発想でもない。

後半戦に入ったから、相手が変わったからといって試合の臨む姿勢を変えない。そして変わらない。それが相馬監督であり、FC町田ゼルビアだ。

「単純に勝利のため、目の前の相手に勝つために、勝ちたいという気持ちを持ってやれるかどうか。本当にそこだけです。それを突き詰めていけるか?というところが無いと、見ている人たちの『ゼルビアを応援しよう。もっと上に行っていいんじゃないか』という思いにつながらないと思う。そしてそう思ってもらわないと、色んなものが動かない」(相馬監督)

まだ最終的な結論は出ていないが、町田が2017年度のJ1ライセンスを取得するために条件を整える期限はもう過ぎてしまっている。越えられなかったハードルがスタジアムと練習施設の問題だった。スタジアムについていえばバックスタンドの増設で一応は対応可能だし、そのための敷地もある。ただグラウンドとクラブハウスについては、まず用地の検討が必要だ。

天然芝の練習グラウンドはJ1ライセンス取得の必要条件だが、チーム強化の面からもそれは必須条件だろう。人工芝のグラウンドは当然ながら硬く、足腰や膝に負担がかかる。加えて夏場の昼間は熱を帯びて、選手の足裏には水ぶくれができるという過酷な環境だ。夕方、夜は同じグラウンドを育成組織の選手たちが使うため練習時間を移すこともできない。

日本のスポーツ環境が他の“先進国”と言われる国々に比べれば比較にならないほど貧困だ。だからそういう悩みは町田市に限ったことで無いのかもしれない。加えてゼルビアは東京都4部から積み上げた市民クラブ。親会社と呼べる大きな支えを持たず、また施設面で日本が豊かだった時代の“遺産”に期待できない。そんなクラブが首都圏という環境で基盤を作っていくことは、確かに難しいチャレンジだ。

しかし環境を変えなければJ2に定着する、J1を目指すという体制は整わない。それを整えるためには、市民の気持ちを動かさなければならない――。

町田市は自治体としてスポーツの振興に力を入れており、2019年のラグビーワールドカップ、20年の東京オリンピックのキャンプ地として代表チームの誘致活動も始めている。他の市町村に比べると、町田はスポーツに対して行政の理解がある。ただ土地やお金というシビアな問題を動かすためには“もう一押し”が必要だ。

「その1試合……。たまたま、初めて誰かに連れられてきた人に『何だ、こんなもんか?』って思われてしまいたくない。勝ち負けは勝負事ですから、相手も必死に戦うし、自分たちの良いところがもしかしたら消されてしまうこともあるのかもしれない。でもプロである以上、そこ(勝ちたいという気持ち)を持って戦わなければいけないと思っている。だからこそ1試合に集中できるか?」(相馬監督)

残留がほぼ決まったから、J1昇格の可能性が消えたからと言って、戦う理由まで消えたわけではない。

今季の24試合を振り返れば、当然負けた試合もあるし、逆転負けを喫した第23節・ジェフ千葉戦(2●3)のような悔しい展開もあった。ただ町田の7敗はすべて1点差。気持ちが折れた、相手に膝を屈したという試合は一度もない。

今季の町田は4季ぶりのJ2で、22番目のチームとしてスタートしながらも、4倍、5倍の予算規模を持つ相手に対しても“その1試合”にこだわって戦えている。サポーターにも結果は別にしても“やれる”という手応えと、最後までどちらに転ぶか分からないというワクワク感を持ち帰ってもらえている。そんな姿勢を残り18試合でも貫きつつ、更に磨き上げていければ、クラブの価値はこの街全体に認められるはずだ。

文:大島和人(町田担当)


明治安田生命J2リーグ 第25節
7月24日(日)19:00KO 町田
FC町田ゼルビア vs 水戸ホーリーホック
町田市立陸上競技場(FC町田ゼルビア)
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