【福岡 vs 神戸】 ウォーミングアップコラム:覚醒する才能。Jリーグ屈指の攻撃陣と対峙する冨安健洋のプレーから目が離せない。

2016年9月24日(土)

「ウォーミングアップコラム」は、試合に向けてのワクワク感を高める新企画。ホームクラブの担当ライターが、いろんな視点から、いろんなテイストでみなさんに情報をお届けします!
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勝ち続けることでJ1残留を目指す福岡は、残留争いのライバルとの直接対決となった前節・湘南戦を2-0で勝利。残留圏内である15位との差を8に詰めた。トップ下でプレーする三門雄大が、高い位置からのプレスのスイッチャー役を担うとともに、高い位置でボールを引き出して攻撃のリズムを作り出し、湘南がリズムをつかみだすと、三門を頂点としたトライアングルを形成し、そこでボールを落ち着かせてゲームの流れを切った。その一角にいたのが若干17歳の冨安健洋(写真)だった。

Jリーグデビューは2ndステージ第3節のFC東京戦。以降、オリンピック代表のトレーニングパートナーとしてリオに遠征していた期間を除いて、すべての試合に出場。帰国直後の大宮戦こそ途中出場だったが、それ以外の試合では先発フル出場を続けている。いまや冨安は、将来を嘱望される若い選手ではなく、中心選手という立場でチームを支えている。

初めてトップチームの練習にやってきたのは中学校3年生の最後の冬休み、宮崎キャンプでのことだった。中学校1年生の冬に、日本選抜とも言えるJFAエリートプログラムのメンバーに選ばれて以降、カテゴリー別の代表として活動する冨安のプレーは当時から秀でていたが、その世代は、身体的な成長の違いが顕著に現れる世代で、彼がどこまで成長するのかは、まだ未知数だった。しかし、その後も順調に実力を伸ばし続け、「純粋な戦力としてチームに必要と判断」(井原監督)されて、昨年の春に2種登録選手となり、夏にはトレーニングの場所を、アビスパU-18から完全にトップチームに移行。そして昨年の12月に、今シーズンから高校生ながらプロ選手となることが発表された。その実力は、J1の舞台で実証済み。リオ五輪のトレーニングパートナーに選ばれたのも、4年後に迫る東京オリンピックの中心選手となることの期待の表れだ。

そして迎える神戸戦。福岡は、前節の湘南戦に勝利したとは言え、「負ければ終わり。勝てば残留の可能性がつながる」(井原監督)というチーム状況には変わりはなく、勝利だけを目指してレベルファイブスタジアムのピッチに立つ。対戦相手の神戸はリーグ戦では4連勝を含む5戦負けなし。2ndステージでは首位と勝点5差の5位に付けて優勝争いを演じている。レアンドロ(16得点)、ペドロ・ジュニオール(10得点)、渡辺千真(10得点)を擁する攻撃陣が最大のストロングポイント。福岡がJ1残留の可能性を広げるためには、この3人を抑えることが前提条件になる。

冨安の主戦場は、ボランチ、あるいは最終ラインの一角。實藤友紀の出場停止もあり、福岡が、どのようなシステムで臨むのかは不確定だが、いずれにせよ、神戸の攻撃陣を抑えるための重要な役割を担うことは間違いない。年齢とJリーグでの経験年数だけで言えば、将来を嘱望される若い選手が、J1トップレベルの攻撃陣にチャレンジするということになるのだろうが、おそらく、本人にはチャレンジという意識はないだろう。同じ舞台に立つJリーガーとして、真正面からやり合う。そんな気持ちで対戦を待っているはずだ。

井原監督は、「若い選手のチームの重圧やプレッシャーを背負わせるのは、本人にとってはいいことではない」と話す一方で、「試合に出ること、そこで結果を出すこと、そして彼のプレーを他の選手が見ることによって、他の選手の冨安に対する見方が少しずつ変わってきている。それが力を付けている証拠」と冨安を高く評価する。その冨安が、どのように神戸の強烈な攻撃陣と対峙するのか。彼のプレーから目が離せない。

文:中倉一志(福岡担当)


明治安田生命J1リーグ 2nd 第13節
9月25日(日)14:00KO レベスタ
アビスパ福岡 vs ヴィッセル神戸
レベルファイブスタジアム(アビスパ福岡)
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