【町田 vs 岡山】 ウォーミングアップコラム:「プロサッカー選手になったのは奇跡に近い」。自由人・吉濱遼平の歩んできた道。

2017年3月11日(土)


【写真】前節・讃岐戦でも途中出場の吉濱遼平、今節で今季初スタメンとなるか

Googleの検索窓に「吉濱遼平」と打ち込んでみて欲しい。「天才」という予測変換の候補が追加されて出てくるはずだ。24歳の彼はオン・ザ・ボールの細かい技巧に限れば、FC町田ゼルビアでおそらくもっとも上手い。狭いスペースでもボールをキープし、ドリブルでボールを運び、左足の一振りで局面を打開する――。そういう爽快なアタッカーだ。

ザスパクサツ群馬から町田に加入してきた彼は、開幕から2試合連続で途中出場を果たした。ただ彼の狙っていた右MFのポジションは取れず、FWのサブに甘んじている。彼はこう言う。

「僕は足元で受けたがるタイプですけれど、今は背後に抜けろと言われることが多い。抜けた中でボールをどう扱うかということに慣れていない。あまりプレーしたことないスタイルなので、少し戸惑いはある」

開幕の千葉戦では1点ビハインドで迎えた87分に絶好機を迎えたものの、痛恨のシュートミス。ただ彼が「その場」にいたことは、脱皮の証明かもしれない。吉濱も「今までのサッカー人生ではあの場面にいなかった。あれはやっちゃいけないミスですけど、得点が近いなというのはあった」と振り返る。プレイヤーとして「+ONE」の兆しが見えてきているのではないだろうか?

実は吉濱と最初に会うまで、その経歴とプレースタイルから「気難しい人なのかも」という先入観を持っていた。しかし実際の彼は人当たりが良くて当意即妙の受け答えができる「コミュ力高め」の青年だ。彼は良くも悪くも色んな経験を積んで、J2のステージに立っている。オフ・ザ・ピッチの経験値に関して言えば、彼は年齢離れしている。

「プロサッカー選手になったのは奇跡に近い。なったのも、やれているのもラッキーだと思っている」(吉濱)

彼は川崎フロンターレのU-18でプレーしていた時期に、サッカーを辞めてる。ブランクを経て県立大師高のサッカー部に移ったが「高校の練習も週2とか週3で、僕を入れて11人。悪い奴が多かったし、整列2分前に黒染スプレーをバーッとやって試合に出るとかそんな感じ」というチームだったという。彼も居酒屋などのバイトに精を出す生活で、到底プロを目指すサッカー少年の生活ではなかった。

サッカーを続ける気持ちが無かった彼だが、高校の先生の強い勧めで松蔭大学に進む。バイトは当然続けていて、居酒屋・磯丸水産の店員として町田店に来たこともあるという。見る人が見れば、その才能はやはり明らかだったのだろう。神奈川県1部リーグという日の当たらない環境ながらすぐ湘南ベルマーレの目に止まり、大学を2年で中退してプロに進んだ。

第3節で対戦する岡山には、湘南時代にチームメイトだった大竹洋平がいる。どちらも左利きのアタッカーだが、吉濱は大竹の視野の広さ、パスセンスを絶賛する。

「洋平くんはサッカーをやっていて一番衝撃を受けた人。『こういう人を天才っていうのか』と思いました。僕も技術は負けないと思っていたし、パスを出すところが見えている自信はあったんですけれど……。洋平くんに会ってからは『口に裂けてもそんなことを言えない』ってなった。気が抜けちゃうというか『ヤバッ』となっちゃったんで、その時点でポジション争いは負けたのかなと思う」(吉濱)

ただ吉濱も群馬で試合経験を積み、別の武器を磨いた。「ドリブルで前に運んで、ミドルでパンチのあるシュートを打つことなら、負けていないと思っている」と彼は言う。

「自分が楽しむというスタイルは崩したくない」という吉濱は、人間としても、サッカー選手としても、自由人の風がある。そういうタイプがJリーグで生き抜いていくことは、おそらく容易でない。しかしあの技術と、如才なく人に打ち解けるキャラクターがあるからこそ、ここまで彼の道は開けてきた。

町田においてはデイフェンスの背後を突く動きを求められる中で、ちょっとした壁に直面している。しかしそれはプレーの幅を広げるチャレンジでもある。ここを乗り越えれば彼と町田の道はさらに開けるはずだ。

文:大島和人(町田担当)


明治安田生命J2リーグ 第3節
3月12日(日)14:00KO 町田
FC町田ゼルビア vs ファジアーノ岡山
町田GIONスタジアム(FC町田ゼルビア)
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