【FC東京 vs 仙台】 ウォーミングアップコラム:吉本が思い描いた夢の形「背番号4を背負い、味スタで勝利する」

2017年3月14日(火)


今季からその背中には、愛着のある『4』が入った。FC東京のDF吉本一謙(写真)はアカデミー時代、その背番号を背に最終ラインからチームを鼓舞し続けてきた。

吉本には、その当時から思い描いてきた姿があった。

「4番を背負って味スタでプレーする姿を昔から想像してきた。その決意を今年試合で見せたい。そう思って29番にも愛着はあったが、4に背番号を変えた」

まもなく29歳となるが、彼が東京のトップチームに帯同し始めたのは、まだあどけなさの残る17歳のころ。高校生離れしたフィジカルを誇り、同世代で最も将来を嘱望されてきたDFの一人だった。

だが、その後の彼のサッカー人生は、決して平たんなものではなかった。J2での武者修行や、度重なるけがを乗り越え、現在に至る。その間、短い言葉では書き綴れないほど、感情は乱高下し、一時は引退の文字がちらついたことさえあった。

それでも、彼はこのチームで生き残り続けてきた。

「このチームでは待っているだけでは何も手にすることなんてできない。手に入れようと思えば、奪わないといけない。そうしなければ生き残っていけない。それは、過去の先輩たちに気付かされたことだった」

生存競争を勝ち抜くことができたのは、歯を食いしばって全力プレーを続けてきたからにほかならない。〝全消し〟と呼ばれる、体を張ったシュートブロック。味方を奮い立たせる声。 魂を揺さぶるプレーは見る人を熱くし、そしてチームメートに勇気を与えてきた。

「東京が何かを成し遂げる時は、ピッチに立っていたい。中高から想像してきたことをかなえられる年にしたい」

そして、今季初めてユニホームに袖を通すチャンスが訪れようとしている。J1リーグG大阪戦から中3日となる15日のYBCコルヴァンカップグループステージ初戦の仙台戦。篠田善之監督は試合前日、「今年初めて試合に出場する選手も何人かいる。自分の良さを出してほしいし、やってやろうという気持ちでトレーニングしてくれていた。固くならず、思い切ってプレーしてほしい」と、数人のメンバー変更を示唆した。

吉本は「もし出場すれば」と前置きした上で、こう吐き出した。

「夢がかなう瞬間がくるかもしれない。でも、思い描いたのは、味スタで4番を背負って勝つ姿を想像してきた。だからこそ、出れば、それをかなえたい。今年、4番のユニホームを買ってくれている人もいる。その人たちの思いに、期待に応えるプレーを見せたい」

その口からこぼれた言葉には特別な感情がにじんだ。あるべき姿に。吉本が積年の思いをかなえる試合の笛が鳴ろうとしている。

文:馬場康平(FC東京担当)


JリーグYBCルヴァンカップ 第1節
3月15日(水)19:00KO 味スタ
FC東京 vs ベガルタ仙台
味の素スタジアム(FC東京)
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