【新潟 vs 柏】 ウォーミングアップコラム:富澤清太郎のプレーが味わい深い理由

2017年4月29日(土)



サッカーを、足下に転がっているボールをひょいと持ち上げ、ぐるり360度すべてのアングルから自由にながめることができる。そんな選手だな――。前節、FC東京戦のミックスゾーンで富澤清太郎(写真)の話を聞きながら、そんなことを考えた。

FC東京戦は、その前の甲府戦にようやく今シーズンの公式戦初勝利を挙げ、“ここから!”とチームも、ホーム、ビッグスワンに駆けつけたサポーターも意気込んだ試合だった。試合の入りも実際よく、FC東京を押し込む時間が続く。

ところが28分、太田宏介にスーパーなFKをたたき込まれて先制を許してしまう。前半45分間に打たれたシュートは、この1本。端的に試合の流れを物語る数字ではあったが、69分にあっけないほどあっさり追加点を入れられると意気消沈し、さらに3点目も失う完敗に終わった。

「90分、ずっとアラートな状態でやり続けるのは簡単ではない。試合がふと落ち着き、相手ボールになったときこそ気を引き締め、何事もなかったかのようにその時間を過ごさないと。自分たちが攻めているとき、そういうことが起こりやすい。そのイメージ通りになってしまって、とても残念」

今季、千葉から加入したプロ16年目のベテランCBは、心底悔しそうだった。

開幕から2試合連続で先発したが、左ふくらはぎを痛めてしばらく離脱。その間、チームは勝点を重ねられずに苦しんでいたが、「可能性のある試合をやれているのだから、悲観することはない」と、自身が復帰することに集中した。

復帰戦となった6節、アウェイの鳥栖戦は、守備の連係が乱れたカバーに入ってビクトル イバルボを倒し、先制のPKを与えてしまう。この試合もチャンスをいくつも作りながら物にできず、一つの失点で崩れて0-3と大敗した。

だが富澤に限っていえば、PKを決められた後も、それこそ“何事もなかったかのように”プレーし続けていた。人一倍の責任感と闘争心を秘める男だ。内心は自分自身に対して、はらわたが煮えくり返る思いだったに違いない。

そこには、1本の野太いサッカー哲学が貫かれている。「割り切ること、気にしないこと、起こってしまったことを受け入れ、やり過ごすこと。相手が良い状況で自分たちが苦しいときほど、相手に隙が生まれるから、そこを狙ってやろうと考えること。その逆も起こり得るのを、常に頭に入れておくこと。そうすれば、いつも心を“真ん中”に置いておくことができます」。

両手にかざすボールは、サッカーの地球儀なのかもしれない。現象を一面的に見るだけでは分からないが、その裏側には豊饒な世界が広がり得る。チームが直面する難しい状況を打ち破るルートも、そこに記されている。

文:大中祐二(新潟担当)


明治安田生命J1リーグ 第9節
4月30日(日)14:00KO デンカS
アルビレックス新潟 vs 柏レイソル
デンカビッグスワンスタジアム(アルビレックス新潟)
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