【山口 vs 岡山】 ウォーミングアップコラム:復活の三幸秀稔。もう一度、チームを立ち上がらせるために。

2017年6月10日(土)


アルゼンチン人のカルロス アルベルト マジョール監督が就任し、山口は新体制でのリスタートとなる。この難局にあって、チームのエンジンとなるのが復帰したばかりの三幸秀稔(写真)だ。

3月のウォーミングアップコラムでは、今季の軸となる選手として三幸を紹介した。しかし、第4節東京V戦で左足内側の側幅靱帯を負傷。手術一歩手前という重傷で、2カ月以上戦列から離脱。チームは上野展裕前監督の戦術をつぶさに理解しゲームを動かせるキーマンを喪失、ゲーム内容も戦績も低迷した。監督交代や最下位という緊急事態の中、三幸は満を持しての復帰。「100%の状態で戻ってきている。100%の力で勝点3を取ることを意識しなければならない」と決意を固める。

ピッチ外から眺めると、昨季ほどの効果的なパスワークができていなかった。三幸はチームのため復帰を急ごうとしたが、不完全復帰に待ったを掛けたのはコーチングスタッフのほうだった。「まだだめだと巌さん(山根巌コーチ)に言われた。試合でやりたいんだったら、もっと(トレーニングを)やりなさいと」。好きではなかったという素走りにも黙々と臨み体を回復。この間、福田智志フィジオセラピスト(理学療法士)などからは上半身の筋力や体幹などを鍛えられたほか、体作りや食事までチーム内外からの厚いサポートを受け、試合をこなしながら治すのではなく、「100%での復帰」に切り替えた。

第16節町田戦の試合途中で出場を果たすと、翌横浜FC戦では90分のフルワーク。山口はPKの失点が響いて負けたものの、鋭く入っていく三幸の縦パスが効き前線の選手たちが生き生きとプレー。主導権は山口が握っていた。三幸は「もっと高める必要があるが、ボールを触って動かすという仕事はできた」と胸を張り、パスを受けた小野瀬康介は「コンディションを合わせて出てきてくれたので頼もしかった。コヅ(小塚和季)とともに前にいいパスを出せる選手が戻ってきた」と話す。

2年前は所属先がなかった選手の本来持っていたストロングポイントを上野展裕前監督が引き出し、今季は副キャプテンに指名されるまでに至った。暫定的に監督を務めた猿澤真治アカデミーダイレクターも三幸を高質なパスを出せる選手として迷わず起用。新監督のマジョール氏は三幸をキーマンと一人とにらみ、練習中から何度となく話し込んで共通理解を深める。

「新監督の意図が分かってきた。レノファらしいパスサッカーをしつつ、ゴールへの迫力をもっと出していきたい」。ゲームメーカーとしての自信が垣間見える一方で、チームを見やる目には老練の貫禄さえ伺える。「ケガで出られない選手もいる。トリくん(鳥養祐矢)たちの分まで背負って戦わないと」。24歳らしからぬキャプテンシーと冴えた戦術理解で今節もゲームを動かす。

振り返ればチームがなかったり、ケガを負っていたり、逃げ出したくなるような荒波の中を三幸は流されることなくサッカーに向き合ってきた。試合に出られるからこそ噛みしめられる喜びや悔しさも、ともに戦う仲間を思う気持ちも、支えてくれる周囲への感謝も人一倍だ。「新しい戦術をみんなで理解していければ結果は出る。自分が調子がいいときは絶対に勝たないといけない」。--絶対に勝つ。その言葉に心底からの感情が乗り移る。試合に出てこその華。9試合ぶりの勝利を維新公園で掴み取る。

文:上田真之介(山口担当)


明治安田生命J2リーグ 第18節
6月11日(日)18:00KO 維新公園
レノファ山口FC vs ファジアーノ岡山