【山口 vs 横浜FC】 ウォーミングアップコラム:信頼厚きサイドアタッカー。前貴之、ゴールへの直線路を描き出す。

2017年7月28日(金)


5月から山口を率いているカルロス マジョール監督はサイドを使った攻撃に重点を置く。守備からゲームに入ったとしても、攻撃に転じれば山口のポゼッション能力を活かすとともに、ピッチの左右を広く使ってゴールに近づいていく。この戦術でキーになっているのが前貴之(写真)をはじめとする両サイドの選手たちだ。

「運動量が求められるポジション。攻守に存在感を出せればと思う」と話す前は今季、マジョール戦術の要となるウイングバックやサイドバックで出場。効果的なパス、厳しいチェックなど任せられたポジションの仕事を実践し、なおかつ90分間クオリティを高く保っている。時間帯や相手にとらわれない均質のプレーは、現代アートに似た独特の様式美を帯びていると言ってもいいかもしれない。特に攻撃時のパフォーマンスは美しく、力強い。マジョール監督も「サイドを使ったり、サイドチェンジをしたりしてフィールドを広く使って攻めていきたい。その面では運動量が必要で体力的には厳しいと思うが、とても期待している」とサイドを張るプレーヤーに信頼を寄せる。

持ち味はサイドでの攻防以外にも表れる。「ブレ球は得意なので、チャンスがあれば打つつもりだった」―。2節前の讃岐戦、フリーキックの流れからブレながら落ちていく鋭いミドルシュートを突き刺した。シュートに至るプロセスで絡むことが多い前だが、巡ってきたチャンスは逃さない。「最近の勝てた試合はセットプレーでも点が取れている。そこで取れると夏場は楽になるし、相手にとってはダメージが大きい」とセットプレーやフィニッシュシーンにも自信を見せる。

山口は今節、2試合ぶりの白星を目指す。前は「(前節の)岡山戦はライン設定を含めいろいろな問題があってセカンドボールを取れなかった。横浜FC戦ではイバのところを抑えてセカンドボールを拾えれば、自分たちのペースになる」と強調。ボールロストが少なく、コンビネーションを活かせる前だからこそ、「ボールを持てる時間が増えれば押し込めるシーンも増えていく」とポゼッションへの意気込みは人一倍だ。

目に見えない敵といえば夏の暑さ。札幌でプレーしてきた前にとっては初体験の山口盆地の猛暑。「だいぶ慣れてきたが、維新が一番暑いんじゃないかな…。かなり蒸し暑いです」とこぼすが、戦い方次第では状況は逆手に取れる。「それこそセカンドを拾って自分たちがボールを持てる時間があれば、相手もきつくなる。その時間を長くしなければと思う」とやはりセカンドボールへの意識を重要視した。

山口の美しい攻撃は前の起筆を待っている。計算された素描をなぞるように、前はサイドから相手を切り崩し、シュートまで運んでいけるのだから。「自分たちのペースでサッカーをしたい」。ボールを追い、サイドを駆け、シュートをも放つオレンジ色の絵筆。維新公園のカンバスに鮮やかに、勝利の軌跡を描き出す。


文:上田真之介(山口担当)


明治安田生命J2リーグ 第25節
7月29日(土)19:00KO 維新公園
レノファ山口FC vs 横浜FC