【名古屋 vs 横浜FC】 ウォーミングアップコラム:J2最強の矛・名古屋を支える仕事人。小林裕紀に注目するのが、今の名古屋の通な見方。

2017年8月25日(金)


ここ3試合でチームが挙げた12得点すべてに絡んでいるガブリエル シャビエル、現在クラブタイ記録の5試合連続得点中の青木亮太、13得点でチームトップスコアラーのシモビッチ、そして復調の兆しを見せる佐藤寿人。その後列には26節の愛媛戦でハットトリックを記録した田口泰士までいる。チーム総得点57はもちろダントツでリーグ1位の数字を誇る名古屋の攻撃陣は、間違いなくJ2最強と表現できる破壊力を備えるに至った。7月30日の25節から続く5連勝の中で挙げた得点は実に20。5試合の平均4得点という桁外れの得点力は、横浜FCを迎え撃つ今節においても彼らの一番の注目点と言って差し支えない。

しかし、ここであえてスポットライトを当てたいのが、ボランチの小林裕紀(写真)だ。彼のきめ細かなサポートなくして、この5連勝はなかったといっても過言ではないからである。一時期はセンターバックとして起用され、「ナラさんがフィールドやるくらい不安ですよ」と緊張の日々を過ごしていたセントラルMFは、最後列の責任感に神経をすり減らしつつも、攻撃に移った際のチームの動きを再認識したようだ。連勝が始まった熊本戦から本職のボランチに戻ると、以前にボランチを務めていた頃とはまったく違う“速さ”を伴ったプレーで力強く中盤を牽引。新加入の新井一耀は小林と田口のコンビに「絶対的な存在」と全幅の信頼を置くが、今の彼らはまさにチームの勝利に対して不可欠の存在となっている。

小林の仕事は多岐にわたる。攻撃時には後方からのビルドアップをサポートし、堅実にパスをつないでは動き直し、常に味方にセーフティーなパスコースを用意し続ける。縦パスのセンスは言わずもがな、時に相手DFラインの裏にまで飛び出していく田口とのバランス感覚も抜群で、パスの中継地点としてのポジション取りは自陣だけには留まらない。前後左右に広範囲に動き回るその走行距離は、トラッキングデータを出せば間違いなくチームトップの数字を叩き出すはずだ。その機動力は守備面でも大いに生かされ、相手陣の対面ボランチへのフォアチェックをしたかと思えば、ワイドの選手のフォローに回り、最終ライン前のフィルター役としても身体を張る。センターバック起用に応えるべく日々特訓を繰り返した空中戦も以前よりパワフルさが増しており、ボランチとしては大柄な部類のサイズもより際立つようになった。セントラルMFを評する言葉に“ボックス・トゥ・ボックス”というものがあるが、彼はまさに両ペナルティボックス間のエリアを仕事場とするスケールの大きさを見せつけるに至っている。

報道陣の前ではなかなかにシャイな男で、何かを聞こうとしても「僕はいいっす」の一点張り。最近絶好調だねと話しかけても、「いやいや全然っす」と謙遜に謙遜を重ねるばかりだ。それでいてピッチにひとたび足を踏み入れれば口もプレーも雄弁で、楢崎正剛をイジり、若手にアドバイスを送り、佐藤寿人とプレー面での問題点を話し込む。特別指定選手の秋山陽介は「僕が自由に動いても裕紀さんが気を遣ってスペースを埋めてくれる」と手厚いサポートに感謝するが、思えば秋山がこの夏に合流した際、その初日にポジショニングなどの丁寧なレクチャーを買って出たのが小林だった。この面倒見の良さは、この半年で事あるごとに見かけてきた彼の美徳だ。

また、前節の福岡戦では1-1で迎えた後半最初のプレーでいの一番に敵陣へとボール奪取に飛び出し、受け身になりがちなチームの立ち上がりを自らのプレーで鼓舞してみせた。その前の町田戦では3-1で折り返した後半の入りで失敗し、一度は3-3に追いつかれている。小林のスプリントはその二の舞をすまいという、チームへのメッセージだったに違いない。チームの心臓であり、潤滑油であり、精神的支柱でもある。決して目立ちはしないが、小林裕紀の存在は現在の連勝、好調を語る上で決して欠くことができない。攻めダルマと化した名古屋を通な視点で見るならば、背番号17の動向を追いかけてみるといい。

文・写真:今井雄一朗(名古屋担当)


明治安田生命J2リーグ 第30節
8月26日(土)18:00KO 豊田ス
名古屋グランパス vs 横浜FC
豊田スタジアム(名古屋グランパス)
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