【山口 vs 金沢】 ウォーミングアップコラム:結果を導く小野瀬康介。ハート熱く、チームプレーに粋。

2017年10月28日(土)


誰よりも結果にこだわり、ゴールやアシスト数を指折り数える。しかし、ひとたびピッチに立てば決してわがままなプレーは見せない。守備に走り、あるいはゲームメーカーの小塚和季をサポートし、もちろんFWにすっとラストパスを通す。3試合ぶりにスタメンで出場した前節、小野瀬康介(写真)は華を捨て、チームのために泥臭く走った。得たのは勝点3。いなせな男は、久しぶりの白星をチームにもたらした。

ここ数試合は不本意な起用が続いていた。36節名古屋戦は途中からゲームに入り、4本の鋭いシュートを連発。縦に仕掛けてのミドルシュートは鮮やかにネットを揺らし、苦戦にも一矢報いた。それは申し分のないアピールになったが、翌節も先発を射止めることはできずベンチスタート。隠忍自重し次なる機会を待たねばならなかった。

水戸を迎えた前節。小野瀬はようやく先発のチャンスを掴み、右ウイングバックでフル出場を果たす。「無理をしてバランスを崩すわけにはいかない」と前半は相手を厳しくマークし、ディフェンスに重心を置いてチームプレーを徹底。「自分の同サイドはやられたくない。しっかり守備をやりながらチャンスがあったら攻撃に行く」と戦況を見つめ、DFやボランチに声を掛けて陣形の間延びを防ぎ、攻撃のタイミングをうかがった。

後半に入ると山口はサイド攻撃の回数を意図的に増やす。54分、小野瀬は満を持して右サイドを切り崩し、ペナルティエリア方向に供給。ボールを引き出した岸田和人のパスからレオナルド・ラモスが決勝点を挙げた。「右サイドで(他の選手との)違いを作りながら、守備も意識してプレーした。結果的に自分のサイドからゴールが決まったので、仕事はできたのかなと思う」。もっとも1勝だけで満足はしていられない。今週も「残留できるように残りの試合をやらないといけない。次は本当に大事なゲーム。そこを理解しながらトレーニングしていきたい」と話し、気持ちを前面に押し出した。

創出したゴールシーンが示すように、小野瀬のストロングは勇猛に前に進んでいくところにある。だが、献身的なディフェンスも特色として列挙せねばならない。リスク察知能力の高さに裏付けられたディフェンスは「遅れ」がなく、ボールのみを奪い取る。37試合の出場でイエローカード0枚という数字はディフェンスを怠ったからではなく、ファールで止めるような状況に至る前に、的確にアプローチしたという証左だ。
攻守に際立った水戸戦を振り返り、カルロス マジョール監督は「1対1で仕掛けて勝つことができるし、そこからチャンスを作ることもできる。それにプラスして、小野瀬のポジションで必要とされるディフェンスでもいい働きをした」と話した。小野瀬を見る指揮官からの評価にもはっきりと変化が出てきている。

小野瀬にとっては悩める一年となったが、いちプロサッカー選手として、このチームを落とすわけにはいかない。金沢戦に勝てば自力残留の可能性がもう一度見えてくる。小野瀬は「まずは失点しないでやることだ。あとはもっと攻撃していきたい。相手のサイドハーフとサイドバックの間で受けられればチャンスになる。水戸戦の後半のようなゲームができればいい」と力を込め、さらにこう説いた。「バランスを取る分、ゴールからは遠くなるのは嫌だが、数は少なくてもチャンスはある。そこで決め切れれば、自分としても一段階成長できる」――。

チームバランスと己の結果を希求する言葉は火照る。チームの勝利は成長の糧。今節も仲間と同じオレンジ色のユニフォームで維新公園のピッチをひた走る。粋な小野瀬の見せ場がやってくる。

文:上田真之介(山口担当)


明治安田生命J2リーグ 第39節
10月29日(日)15:00KO 維新公園
レノファ山口FC vs ツエーゲン金沢

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