【京都 vs 東京V】 ウォーミングアップコラム:大黒将志と柳沢敦。偉大なFWから学ぶ意義

2017年11月10日(金)


早いもので今節は、西京極の今季最終戦となる。今節と次節の残り2節は、対戦相手が昇格プレーオフを目指していることもあり、真剣勝負は必至。白熱したゲームに期待が高まる。

今週水曜日のナイトゲームの愛媛戦で、相手を突き放す2点目を決めた大黒将志(写真)。その前の群馬戦でも終盤に同点ゴールを決めている、得点への嗅覚の鋭さは抜群である。だが、彼の場合は、「ゴールに対する感覚」と同様に「計算」、と言うか「確信」みたいなものが備わっている様に感じる。

第29節の大分戦(2-2@西京極)。後半アディショナルタイムで、ケヴィン オリスのFKがバーに当たり、その跳ね返りを大黒が決めて同点に持ち込んだ。試合後に大黒は「(オリスが)右足で蹴るので、こぼれるならあの辺りにくると思っていた」と明かしていた。言われてみれば実に理にかなった狙い方である。

他にも、2015年の最終節、中山博貴選手(当時)の引退試合にも、大黒はCKから頭で決めているが、その弾道がGKの上を超えてのループシュートだった。試合後のコメントで「ああいうシュートはこれまでにも決めたことがあって、ゴールの感覚はわかっていた」と残っている。

つまり、大黒の得点を観ていると、ゴール前がどんな状況で、どこに、どういう風にシュートを撃てば良いというイメージが具体的にある、という感じがするのだ。単に「ゴールへの嗅覚」だけでは語れない、「瞬時に、ゴール前の状況を把握する力」というものがある感じがするのだ。

こうした印象を与える選手は他にもいる。日本を代表する点取り屋の一人、佐藤寿人選手(名古屋)もそうだ。昔、テレビ番組での発言だったと思うが「自分のゴールに偶然はない」とコメントしていたのを聴いたことがある。ゴール前の状況と、次に何が起こるかの予測・準備、そしてシュート技術。それを総合して「偶然じゃない」と言いたいのではないかとこちらは思っている。

こうした選手をもう一人挙げるなら、かつて京都に在籍していた日本を代表するFW 柳沢敦(現・鹿島コーチ)が真っ先に挙がる。

柳沢敦(2008年-2010京都在籍)は、2008年シーズンにJ1で日本人最多の14ゴールを挙げた。そのシーズンの終わりごろだったと記憶しているが、柳沢についての原稿を依頼されたことがある。そのための資料を渡され、そこで「え?」と思ったのが、シュート決定率(枠内率だったかも……)の高さが群を抜いて高かったことだった(確か30%に近い数字だったと思う)。シュート数自体は外国人FWに比べると低かったが、シュートを決めることに関しては突出したものがあったのだとデータで知ったことを覚えている。

柳沢は「なかなかシュートを打たないFW」ということで周りから批判されたこともある。だがそれは、裏を返せば「自分のシュートが決まるかどうかを確実に見極めていた」ということでもある。DFがシュートブロックに飛び込んでくるとか、或いは、GKが適切なポジションを取っているとか等々……、ゴール前の状況を瞬時に把握し、シュートを打つべきか否かを判断する、こうした能力に長けていたのでないか。

柳沢敦、大黒将志、佐藤寿人と、三人とも個性は全く違う。だが、ゴール前での状況判断の速さと的確さ、そしてシュートの技術―、これら、「ゴールを量産する要素」で共通するものがある様な気がするのだ。

大事なのは、大黒や佐藤がどうと批評するよりも、「点を獲るためにどういうことが必要か」と観察、考察することだと思う。

そこから学ぶことが出来れば、大野燿平や沼大希(鳥取に期限付移籍中)らにもプラスになるのではないか。京都は技術のある選手が揃っている。そこから学び取ることも若い選手は心掛けて欲しいと思う。

文:武田賢宗(京都担当)


明治安田生命J2リーグ 第41節
11月11日(土)14:00KO 西京極
京都サンガF.C. vs 東京ヴェルディ