【横浜FC vs 岡山】 ウォーミングアップコラム:田所諒。岡山で叩き込まれたアグレッシブさと、チームへの献身

2017年11月11日(土)



いよいよホーム最終節を迎える横浜FC。順位は8位で、J1昇格プレーオフ圏の6位とは勝点2差。勝てばプレーオフ圏に入れるかもしれず、引き分け以下ならプレーオフ進出が消える可能性もある。この岡山戦、しびれる試合になりそうだ。

「できれば岡山にもプレーオフの可能性がある状況でやりたかった」というのは田所諒(写真)。セレッソの下部組織で育ち、大阪体育大を経て2009年に岡山でプロ入りした。以後7年にわたり、豊富な運動量とスピードで左サイドから岡山のアグレッシブさを支え続け、サポーターからは「隊長」と呼ばれ親しまれた。
それだけに、横浜FCに移籍してきた昨年、横浜FCはプレーオフに届かなかったものの、岡山のプレーオフ進出を心から喜び、決勝での敗退を悲しんだ。そして今季の序盤、横浜FCは好調なスタートを切って上位を走ったが、一方で岡山は下位に低迷した。「大丈夫か?と心配になった時期もあった」という。しかしその後、中盤戦で岡山は13戦無敗と立て直し、一時は7位まで上昇した。「中心選手が抜けた中でも、岡山らしいサッカーは変わっていない。あのチームでやっていたことを誇らしく思うし、僕たちはプレーオフをかけて、その岡山と全力で戦いたい」と田所は思っている。

今季の田所は開幕からスタメンを飾り、怪我で欠場した第30節と31節を除きスタメン出場。前節は70分で交代したが、それまではフル出場を続けてきた。マンオブザマッチに選ばれるような派手な活躍こそ少ないが、低調なパフォーマンスを見せることもほとんどなく、ここまで警告も1枚のみと、実に計算の立つ、頼りになる選手だ。
かといって無難なプレーに終始する選手ではない。その逆で、運動量を頼みにガンガン上がっていくひたすらなアグレッシブさが身上だ。「ボールを取られたら根性で戻ればいいんで(笑)」と、さらりと言ってのけるが、決して能天気に攻撃参加しているわけではない。
「上がるより戻る方がキツいんですよ。僕は、上がるときより、戻るときこそ全力で走らなきゃいけないと思っている」
その覚悟と自らの走力への自信が、田所のスタイルを支えている。そして根底にあるのは、チームへの献身だ。前々節の京都戦、同点の場面でイバがペナルティエリア外正面でボールを受けたとき、左サイドからものすごい勢いで走り込む青いユニフォームがあった。記者席で見ながら、「よし、出せ!」と思った瞬間にイバが左足を振り抜き、結果的にスーパーミドルが決まったのだが、長い距離を駆け上がって相手守備を牽制した田所も讃えられるべきだ。
「最終的に使ってもらえなくてもいいんですよ。僕が上がることで前線の選択肢が増える。それよりも、どうせパスが来ないかもとか思って、行けるのに行かないことの方が、僕の中では許せないから」

岡山で叩き込まれた、アグレッシブさとチームへの献身。31歳になった今でも、全体練習終了後は若手に混じって、黙々とオーバーラップからのクロスの居残り練習に取り組んでいる。彼のそうした姿勢に最も影響を与えたという加地 亮は、おそらく岡山のベンチには入ってくるだろうか。加地が出場すれば、J通算500試合の記録達成となる。前回アウェイで対戦した際は、横浜FCは3バックで田所はストッパーのポジションだったため、念願の「加地さんと同サイドで走りあい」は実現しなかった。横浜FCにとっての大一番に、大記録を達成する「師匠」とのマッチアップを制してチームを勝利に導くことができれば、この試合が田所の今季のハイライトとなるだろう。

文:芥川和久(横浜FC担当)


明治安田生命J2リーグ 第41節
11月12日(日)13:00KO ニッパツ
横浜FC vs ファジアーノ岡山