【Eスタで見よう!】野生児、故郷に帰る~渡大生(サンフレッチェ広島)~

2018年2月21日(水)

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2018シーズン開幕!スタジアムにこの新戦力を観に行こう!

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広島出身のストライカーが、サンフレッチェ広島のエースに君臨したことは、かつてない。広島皆実高から明治大を経て加入した梅田直哉(現広島スカウト)は久保竜彦、ジュニアからずっと広島の育成組織で育った平繁龍一は佐藤寿人。それぞれ、日本のストライカー史に残る名FWが壁となり、サンフレッチェでは成果を上げることができなかった。

だがついに、広島出身のFWがサンフレッチェ広島で大輪の花を咲かせるかもしれない。そんな期待感が、渡大生というフットボーラーを包む。

森重真人や川辺駿らを生んだ名門・高陽FCから広島皆実高に進み、北九州時代には130試合出場24得点。2年間在籍した徳島では83試合出場35得点。昨年は23得点でJ2日本人得点王に輝くなど、結果をしっかりと残して注目を集めた。

だが記者会見での彼は、あらゆる意味で予定調和を破壊した。多くのオファーの中から広島を選んだのは「故郷だからどうこうはない。タイトルに近いチームだと思ったから選んだ」とクールに発言。熱い広島愛を期待した在広メディアの思惑を裏切った。同じ徳島から移籍した馬渡和彰から「(扱いが)難しい選手です」と笑顔でいじられても、ピクリとも反応しない。記念撮影の時に「笑顔を下さい」と言っても、笑わない。誰にも媚びることもなく、J1だからと気負うことなく、自分のペースで戦いを乗り切った。

個性の違うFWたちとのコンビネーションを問われても、「僕は誰とでも合わせられる」と強調。そういうものなのかと思ってトレーニングを見ると、彼の言葉の意味がわかった。相手に対して噛みつくような姿勢で絡みつく前線からの守備。危険なスペースだと見るや、そこに一直線に走り出す躍動感。相手DFがいようがいまいが、ゴールポイントに向かって身体ごと飛びこむアグレッシブ性。かつて広島の攻撃を支配した久保竜彦のような香りを持つ野性味は、自ら誰かに合わせるのではなく、自らに周りを合わせることを求めるタイプなのである。

宮崎キャンプでは工藤壮人にスルーパスを出してアシストするシーンもあったが、あれはむしろ工藤がいいポジションをとることで渡のアイディアを喚起した場面。基本的には、かつて在籍した大エースたちと同様、「俺に合わせてくれ」のタイプ。自らが動いてボールを引き出し、一直線にゴールを狙う。キャプテン翼でいえば間違いなく日向小次郎であり、大空翼や岬太郎ではない。

今の広島には絶対的なFWがいない。工藤壮人、ティーラシン、パトリック。個性は多様だが、完全なるエースがいないのが実情だ。それはかつて、J2で20得点を記録して広島に移籍した時(2005年)の佐藤寿人と状況が似ている。当時、広島にはガウボンや茂木弘人、前田俊介といった能力の高いFWがいて、寿人自身もエースの座を約束されていなかった。キャンプのトレーニングマッチでもゴールを生むことなく、移籍初得点は第9節の新潟戦まで待たないといけなかった。しかし、その年が終わってみれば、彼は18得点をあげてベストイレブンに輝き、日本代表にも初選出されることになる。久保竜彦のような野性味と佐藤寿人のような状況設定。さらにいえば、彼が背負った20番はかつて森崎和幸や大木勉が背負った、広島での出世番号の一つでもある。

かつて広島のサッカー界で暴れ回っていた野生児が、大きく成長して故郷に帰ってきた。地元ッ子がエースに育っていく姿をぜひ、エディオンスタジアム広島で見守ってほしい。もう一つ付け加えるならば、渡大生はただの広島っ子ではない。他に類を見ないほどのアグレッシブかつ躍動感に満ちたストライカーであり、未来は洋々と開けているタレントなのである。

文:中野和也(広島担当)

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エディオンスタジアム広島(サンフレッチェ広島)

★サンフレッチェ広島ホーム開幕戦★
明治安田生命J1リーグ 第1節
2月24日(土)14:00KO Eスタ
サンフレッチェ広島 vs 北海道コンサドーレ札幌

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