【柏 vs 札幌】 ウォーミングアップコラム:中川寛斗の季節がやってきた

2018年4月13日(金)


「いやー、俺はいいでしょ」。
鳥栖戦の2日前だった。中川寛斗に話を聞こうとして彼を呼び止めると、笑顔でそう言いながら、言葉とは正反対に真摯な態度で取材に応えてくれた。
 
鳥栖戦を迎えるまで、中川のリーグ戦出場機会はわずか2試合。いずれも途中出場で、合わせても13分間の出場時間しかなかった。AFCチャンピオンズリーグでは第3戦の傑志戦でスタメン出場こそしたものの、56分に退き、自分と代わった伊東純也が決勝点を決めた。さぞかし悔しい思いをしたことだろう。
 
だが、中川は日頃からこうも言っている。
「苦しいときこそ人は本質が問われる。苦しいときだからこそ一番成長できる」
今季の開幕以降は出場機会には恵まれなかったが、中川は自分自身がかつて口にした言葉どおりにサッカーと向き合い、直向きにトレーニングを続けていた。
 
「試合に出られなくなって、普通の選手なら落ち込むことはあると思いますけど、僕はまず前提としてこの身長、この体でやれていることにありがたみというか、普通じゃないというのは自分で理解しています。毎回毎回コンスタントに出られるとは思っていません。僕としては試合に出られない状況からのスタートは毎年の流れです。そこは良い意味で焦りはありません」
 
自分が試合に出たらどうプレーすべきか。メンバー外になったときはスタンドから漠然と試合を眺めるのではなく、自分がピッチに入ったことを想定してシミュレーションをしていた。
そして冒頭の話につながる。前節の鳥栖戦の2日前に話を聞いた中川は「いま、パッと試合に入っても、やるべきことは整理できています。それを体現するだけ」と意気込みを述べた。
 
今季初スタメンを飾った鳥栖戦ではその言葉どおり、潤滑油としてパスワークにリズムをもたらした。守備でも持ち前の運動量を生かし、チームのプレスを促すスイッチの役割を果たした。さらに37分には、亀川諒史のシュート性のボールにスライディングで合わせ、チームを勝利に導く決勝弾をあげている。まさしく有言実行だ。
「GKが弾いたところも狙っていましたし、誰がシュートを打つ、誰がクロスを上げるときでもこぼれ球や泥臭いところを狙っています。出ていない時期に真摯に練習に取り組んでいたことが今日のゴールにつながりました」
 
勝っても浮かれず、むしろ課題を見つけてそれを改善することで、さらなる成長へつなげようとする。鳥栖戦直後から、中川は「今日は勝ちましたけど課題の多い試合だった。次の札幌戦でああいうことになったら高さに強いチームなのでやられてしまうと思う。そういうところに目を向けて慢心せずに自分たちの足もとを見つめてやっていく」と言って、彼の視線は早くも札幌戦へと切り替わっていた。
 
昨年も一昨年も、柏はスタートで躓いている。過去2年、その流れを変えたのは粛々と準備を続けていた中川であり、彼がスタメンに定着してから柏の連勝が始まっている。
 
2018年も、中川寛斗の季節がやってきた。

文:鈴木潤(柏担当)


明治安田生命J1リーグ 第8節
4月14日(土)14:00KO 三協F柏
柏レイソル vs 北海道コンサドーレ札幌

三協フロンテア柏スタジアム(柏レイソル)
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