【神戸 vs 川崎F】 ウォーミングアップコラム:神戸はポルディだけではなく、三田啓貴のチームでもある

2018年4月27日(金)


仰向けになり、空に突き上げた2つの拳を小刻みに震わせた。ゴール後のセレブレーションパフォーマンスというよりは、内から湧き出る“何か”を抑えられないようだった。
明治安田生命J1リーグ第10節のアウェイ鹿島戦。三田啓貴(写真)は34分にヘディングで先制点を奪い、ピッチに倒れ込んで喜びを噛みしめていた。
 
三田が仙台から神戸にやってきたのは今季から。プロのキャリアをスタートさせたFC東京へ戻るという選択肢もあった中で、彼は神戸を選んだ。「神戸の関係者から絶対に後悔させないと言われて…」。この口説き文句に心が動いた。
当然、神戸でもボランチとして起用されると思っていた。が、開幕・鳥栖戦では右サイドハーフに。「監督から“サイドで行くから”って言われて(笑)。3日前までボランチやっていたはずなんすけど…」(三田)。予想外の起用に少し戸惑った。“後悔させない”という台詞の末尾に“?”という余計な疑問符が付いたのかもしれない。
古巣との対戦となった第3節の仙台戦で、やっとボランチで先発出場した。ビルドアップの要としてチョン ウヨンが本職のボランチからセンターバックにコンバートされた影響もあるかもしれない。
だが、その仙台戦でのパフォーマンスは本来の三田ではなく、吉田孝行監督は「(古巣対決に)ちょっと気持ちが入り過ぎていた部分はあるかなぁ」と評した。ボランチとしてアピールしなくてはいけないという気持ちも多少はあったのかもしれない。
とはいえ、この仙台戦をきっかけに、三田は神戸の新しい“心臓”へと階段を上っていく。パスを捌いては味方をフォローできる位置に素早く動き、またパスを受けて捌きながらボールを相手陣内へと運んでいく。そして決定的なラストパスを出したかと思えば、自らもゴール前へ飛び込んでいく。まるで、スペイン代表のダビド シルバ(英・マンチェスター・シティ)のようなプレースタイル。今季の神戸はルーカス ポドルスキのチームと言われるが、今や三田のチームになりつつある。
 
冒頭の鹿島戦の描写で、内から湧き出る“何か”を抑えられないようだった、と表現した。その何かとは、自分が選んだ道は正しかったという確信かもしれない。言い換えれば、“後悔させない”の後にこびりついた疑問符がやっと外れた瞬間だった。
前半は右サイドハーフ、後半はボランチでプレーした鹿島戦の後、三田はこう言い残している。
「チームが苦しい時間帯にもっと時間を作ってあげたかった。中2日ですぐに試合があるので、もう一度みんなと話し合って勝点3を取りに行きたい」。
自分のポジションがどうとか、後悔がどうとか、そんな邪念はすでに消えている。あるのはチームを勝利へ導けるかどうかの想いだけ。三田の神戸加入は、プレー以外の部分でも予想以上に大きい。

文:白井邦彦(神戸担当)


明治安田生命J1リーグ 第11節
4月28日(土)16:00KO ノエスタ
ヴィッセル神戸 vs 川崎フロンターレ

ノエビアスタジアム神戸(ヴィッセル神戸)
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