【名古屋 vs C大阪】 ウォーミングアップコラム:もがきながらも成長を続ける17歳。菅原由勢の驚くべきプロフェッショナリズム。

2018年5月1日(火)


24年ぶりのリーグ8連敗中の名古屋グランパスが、クラブワーストの9連敗に並ぶのを阻止する。そんじょそこらの高校3年生が抱える悩みではない。プロの舞台でしかもここ2ヵ月は連戦に次ぐ連戦で疲労とダメージの蓄積はピークを迎えてもいるだろう。だが、菅原由勢(写真)は「ピッチに立っている以上は当然、自分も責任を感じなければいけない」と毅然として語る。17歳にしてプロフェッショナリズムを感じさせる男の顔は、気づけば精悍さを増していた。

リーグ11試合に出場し、交代は前節の一度のみ。ルヴァンカップでも直近の2試合にフル出場しており、よくよく数えてみると今季の出場時間はチーム最多である。菅原は「疲れはあるんでしょうけど、あるとは思わないようにしています」と、“大人”たちと闘うためのコンディショニングに懸命だ。最近は練習場から帰るのも後ろから数えた方が速い。

午後練習の日は学校からクラブハウスへ通い、平日開催の試合翌日にはリカバリーに参加せずに通学する日々はそれだけでも多忙だが、「生活を通して100%のコンディションにできるよう気を付けています」とあくまで前向きだ。ちなみに勉学の方はというと、苦手な科目は古文のみ(「何書いてあるかわからないんですよ…」)。英語は代表での遠征経験も豊富で自主的にも勉強を続けてきたが、「ミッチ(ランゲラック)とは…本場スゲー!って感じです」とコミュニケーションはまだまだこれからの模様。ただし持ち前の明るいキャラクターも、このところの連敗でやや曇りがちではある。

しかしその意味では前節の途中交代が、彼にとって良い転機になる可能性はある。「めちゃくちゃ悔しかったですよ」と交代を告げられた瞬間を振り返る菅原だが、一方で「代えられても仕方がないプレーをしていた」と自分を冷静に見つめる目も持っている。「連戦が重なってきて、良い意味ではなく悪い意味での慣れが多少、自分の中に出てきたんじゃないか」。
心に引っかかっていたことが実際に途中交代という形に表れたことで、菅原は良い心機一転のきっかけをつかんだようだ。「もう一度、プレシーズンのキャンプの時のような『何か残したい』『何かやってやるぞ』という気持ちでやらないと」。全てを前向きの力に変えることができるのは、彼の持つ稀有な才能の一つである。

次戦は日本代表選手ひしめくC大阪ということも、菅原の心を刺激している。「自分の方が下手くそなのはわかっているので」とは何とも素直で好感度の高いセリフだ。これまでも代表クラスのFWとマッチアップするたびにむき出しの闘争心で向かっていった菅原だが、杉本健勇や柿谷曜一朗などを相手にどこまでブラッシュアップした自分を見せられるかは一つ見ものである。「素晴らしい選手であればあるほど僕はやる気になる。怯まずにチャレンジャー精神でやりたいですね。100%でぶつかっていけば、自分に何ができるかもわかる」。風間八宏監督はよく「選手は試合の中でも変化していく」と語るが、まさに菅原は試合の中でも成長し、チームの主力としての場所を築き上げてきたのだといえるだろう。

もちろん実力不足はまだまだ感じることの方が多い。初めて経験する“大型連敗”には「もうこの先にはこんな経験しないだろう」と思うほど、どん底の感覚がある。頼もしいのはそこから「変に前向きになるのも良くない」と言ってみせるところだ。
「結局は自分たちが点を取っていけば、勝って終われば何ともない話で終わるもの。そこは他人ではなく、自分に指先を向けるのが大事だと思います」とは、いったい何年のキャリアがある選手の言葉かとビックリしてしまう。

大器・菅原由勢は今この瞬間も成長している。ピッチ上ではまだ苦戦が続くが、チームもそこで進化する彼への期待を起用法からも示している。彼がすべきことはプレーし続けることだ。ワースト連敗ストップがかかるC大阪戦にはどうしてもDF陣への負担も大きくなるが、背番号41は逃げることを良しとしない。立ち向かい、もがき、身体を張る17歳の姿に、チームの大人たちも何とか応えてほしいところだ。

文:今井雄一朗(名古屋担当)


明治安田生命J1リーグ 第12節
5月2日(水)19:00KO パロ瑞穂
名古屋グランパス vs セレッソ大阪

パロマ瑞穂スタジアム(名古屋グランパス)
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