【千葉 vs 岡山】 ウォーミングアップコラム:求められた役割をしっかり務める矢田旭がピッチでやりたいもう1つのこと

2018年5月2日(水)


明治安田J2リーグ戦の約4分の1となる第11節を終えた時点で、千葉は3勝1分6敗の19位と、J1昇格どころかJ2残留が目標になりかねないほど低迷していた。1年でのJ1昇格を目指しながらも第11節終了時点で17位と苦しんでいる甲府と対戦した前節だったが、千葉は試合開始早々の5分に失点。ボールが持てないわけではなく、ゴール前まで迫る場面もあったが、前半のシュートは0本と効果的な攻撃ができていなかった。DAZNの解説者から『各駅停車』と言われてしまうのも納得してしまいそうな、単調なリズムのパス回しの時間が長かったが、その攻撃のリズムに変化をもたらしたのは、69分に交代出場した矢田旭(写真)だった。

前節の千葉は複数失点が続く守備の修正を図るため、今季初めて3ボランチを採用。矢田はその3ボランチの左サイドに入ったのだが、ボールを持つと長所であるボールロストの少ないプレーを見せ、機を見てドリブルで攻め上がり、ボールをより高い位置に運んだ。

「(ピッチに)入る時にもうドリブルっていうことは(フアン エスナイデル)監督からも言われていたし、チームはなかなかうまくシュートまで行けていなかったので。もちろんボールは持っている時間帯はあったんですけども、それは効果的に動かしているだけじゃ(甲府の守備は)なかなか崩れていなかったので。それはベンチから見ていて、どこかでドリブルで出て行って(相手のマークを)1枚剥がしたらっていうふうには考えていたので、入ってからはそのプレーを意識してやりました。負けていた中だったので、3ボランチとしての守備がどうこうよりもどっちかといえば攻撃に意識を置いて入ったので、そんなに守備では考えなかったです。攻撃でアクセントを加えようと思って、そっちのほうに集中していました」

矢田の狙いどおりに千葉の攻撃にはアクセントが加わった千葉は、80分に為田大貴が交代出場で左ウイングバックに入ると、彼ら2人の左サイドからの仕掛けでより甲府ゴールに迫ることができるようになった。90+5分、パワープレーとして監督の指示によって前線に上がっていたセンターバックの近藤直也の劇的な同点ゴールが生まれたプレーに、矢田と為田が直接関わることはなかったが、試合の流れを変えたことは間違いなかった。

矢田の持ち味の1つは前述したボールロストの少なさに表われる正確な状況判断と技術で、その他にも戦術や求められた役割でやるべきことを早く理解し、実践できる能力だろう。
「名古屋のU-18チームの朴才絃監督は戦術面をしっかりやる監督だったので、そこで自分の戦術に対する能力の基礎は作ってもらったのかなと思っているんです」
U-18チームから名古屋のトップチームには昇格できず、進学した明治大学では上川明彦監督(当時)から、特にメンタル面の重要さを教えられたという。

「僕はポーカーフェイスのほうなんですけど、大学時代はそのメンタル的な部分、監督は気持ちを前面に押し出した泥臭いプレーが大好きなので。今もそうかもしれないですけど、僕はいかに貪欲にガムシャラにできるかっていう部分が、大学に入ってやっていた中で成長もできたけど、一番苦労した部分でもあるんです。そこでなかなか監督に認めてもらえなくて試合に出られない時期もあったので。でも、おかげでメンタルの部分の大事さは気づくことができました」

自分に求められた役割を高いレベルでしっかりと務め、表情はどんな時でも実に冷静に見えるが、プレーとしてはガツンと行くべきところは行ける強さと闘争心を持つ。前節の3ボランチの左サイドだけでなく、矢田は昨季の千葉加入後はインサイドハーフ、ダブルボランチの一角、2シャドーの左サイドといった、さまざまなポジションを務めてきた。それでも、フアン エスナイデル監督は試合直前の選手のコンディションや試合で使いたいシステムを重視してスタメンを選出するため、常にスタメンとして固定される選手はごくわずかで、矢田も厳しいスタメン争いの渦中にいる。

しかし、今節はぜひともピッチに立ちたい、いつもとは違う理由がある。4月23日に第一子(長男)が誕生し、4月30日にクラブから発表されたのだ。5月1日の練習後、ゆりかごダンスのパフォーマンスについて記者に言われると、矢田は笑顔になって答えた。「やりたいですね」

千葉の直近2試合のシュート数はいずれも2本と少ないうえに、ミドルシュートを打てそうに見える場面でも打っていない。もちろんどんなシュートでのゴールでもいいのだが、矢田の得意なプレーの1つともいえるミドルシュートでのゴールでパフォーマンスができれば最高ではないだろうか。
「そうですね。そうなるように頑張ります」

今節でスタメンかどうかはわからないが、ピッチに立った時の矢田がどんなプレーを見せるのか。そして、ゆりかごダンスのパフォーマンスが見られるのか注目だ。

文:赤沼圭子(千葉担当)


明治安田生命J2リーグ 第12節
5月3日(木)13:00KO フクアリ
ジェフユナイテッド千葉 vs ファジアーノ岡山

フクダ電子アリーナ(ジェフユナイテッド千葉)
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