【名古屋 vs 広島】 ウォーミングアップコラム:イジられキャラ定着?でチームへの順応も上々。名古屋の新戦力、丸山祐市がいよいよ実戦の場へ

2018年7月21日(土)


「優しくしてやってください」と言われていたのだが、まったくその心配はなかった。いきなり何を言い出すのかといえば、この中断期間にFC東京から移籍してきた丸山祐市(写真)について、元名古屋の永井謙佑からそう言われていたのだ。7年も在籍したチームから初の移籍はシーズン途中という難しいタイミングのもので、ただでさえリスクを伴う移籍という選択肢の中では難易度は高い方。同い年のチームメイトを思いやる気持ちがやはりあったのだろう。自分も移籍では苦労したタイプであるからなおさらだ。だが、丸山の名古屋生活は順調に進んでいるように見える。

岐阜県・飛騨古川での短期キャンプ後に合流し、初の公式戦である今節までの準備期間は約2週間。6月に合流し1か月ほどが経過している中谷進之介や、キャンプからチームに加わったエドゥアルド ネットに比べると順応するために与えられた時間はやはり少ない(19日合流の前田直輝よりはだいぶあるが)。しかも合流前はFC東京の練習日程の都合上、身体を動かせていなかったといい、ややサッカーから離れた状態で名古屋にやってきていた。丸山はそこから酷暑の名古屋で居残りでのフィジカルトレーニングを積み重ね、風間八宏監督のスタイルへの適応も同時進行で着手。報道陣に指摘されて「言われてみれば僕がDFラインで最年長ですね…。今から自覚していきたいと思います」と天然ボケもかましつつ、瞬く間にその存在感をチーム内で大きなものにしていった。

彼が入ったことで名古屋はある種の“保険”を手にしたように思える。後方からパスをつないで前進し、敵陣内でのボール保持力を高めていきたいチームにとって、ビルドアップの精度と安定感は生命線であり命綱。相手からすればそこにハイプレスをかけるか、引いて守ってしまうというのが対名古屋の定石ともなっていた。そこにビルドアップ力はもとより左足のロングパスを得意とする丸山が入ったことで、チームの攻撃の多彩さは格段に増した。もちろんそれは中盤のコンダクターであるネットの加入によっても増幅されているのだが、最終ラインからいつでも一発の“キラーフィード”が送り込めるのは大きい。ややもすればショートパスばかりの単調なサッカーになりがちだった攻撃にダイナミズムが加わり、ハイプレスというそれまでの“弱点”をむしろ逆手に取れるようになったからだ。名古屋でのデビュー戦の相手は首位独走中の広島とこちらも難易度は高めだが、丸山はたぎる情熱をDFとしての冷静さの中に秘めて立ち向かう。

「すごく厳しい戦いになると思います。気持ち的な熱さも大事ですが、そこは冷静に、まず失点ゼロで行けば勝機というのはもちろん見えてくると思うので。シン(中谷)、僕、ネットというのが目立ちがちな試合かもしれませんが、チーム全員がハードワークをして、良い攻撃をして良い守備をしたい。3人入ったところですべてができるかっていえば、やってみないとわからないところがあるわけで。でも、戦えるかなとは思っています。僕たちに勝機がないかといえばそうではないし。ほんと我慢の続く試合になるかもしれないですけど、僕たちはひたむきにやっていきたいです」

ちなみにチームへの溶け込み具合もかなり順調で、なぜか若手たちにはよくイジられるキャラというのが定着しつつある。チーム最年少の菅原由勢には何かおねだりされた後に「じゃあ俺も今度の試合出られたら何か買ってくれよ」と言い、「何ですかそれ意味わかんないですよ」と反論されて苦笑い。試合2日前の取材時には、話を聞いている最中に近くを通り過ぎていく櫛引一紀や宮原和也に尻を触られ、「なめられてるんですよ」と笑顔。その後通りがかった梶山幹太には我々報道陣に「お疲れ様です」とだけ言われて「おい、オレに『お疲れ様でした』は?」と自らネタ振りに走るなどノリノリだった。梶山が通り過ぎる際、これはまた尻を触られるなとしばし黙って身構えていたので、3度目のちょっかいを期待していたであろうこともここにご報告しておく。率直に言って、オフザピッチでも楽しそうな日々を送っているように見える。

だから心配はいらないのである。あとは肝心要のピッチ内でのプレーとチームの結果だが、これは丸山の言葉を借りずともやってみなければわからない。だが、トレーニングを見る限り期待はしていて良さそうだ。「メンタル的にも僕はすごく良い状況でこれている。コンディションもすごく良いし、ほんと楽しみです」。予断を許さない状況が続く名古屋は新戦力がデビューし始める今節に、仕切り直しの好機を見る。その中心人物の一人として、背番号17を背負う丸山祐市のパフォーマンスにも注目である。

文:今井雄一朗(名古屋担当)


明治安田生命J1リーグ 第17節
7月22日(日)18:00KO 豊田ス
名古屋グランパス vs サンフレッチェ広島

スタジアムナビ