【名古屋 vs G大阪】 ウォーミングアップコラム:「そうなることはわかっている」。暑苦しいほどの“漢”・中谷進之介が見せる魂のディフェンス

2018年8月4日(土)


これがDF冥利に尽きるのかどうかはわからないが、少なくとも覚悟は決めている。「そうなることはわかっているんで」。苦笑交じりに名古屋のゴールを守るという難題に挑むのは、今夏の移籍組で最年少の22歳、中谷進之介(写真)である。攻撃型に特化したつくりをしている名古屋のチーム戦術は、時としてDFに過度の負担を強いる。だが、そこに怯むことなく立ち向かう度量の大きさが彼には備わっているのだ。

そもそも名古屋に来たこと自体が「かなり決意しての移籍」だった。小学校4年生から在籍した柏を離れ、期限付きの選択肢もある中で完全移籍を選んだことからして相当である。「まず自分がやることは失点を減らすこと」と意気込み、新加入だからと憶することなく初日から大きな声を張り上げた。名古屋の強化スタッフはDFとしての能力だけでなく、そのリーダーシップも高く評価していたが、加入1か月半にして既にチームにはなくてはならないものとなった。いま、名古屋の練習では攻撃から守備に切り替わった瞬間に必ず中谷の声がする。「ここだぞ!しっかりやろう!」。リーグ再開後、新加入選手が出場できるようになってからのチーム失点は2試合で1つのみ。16試合で33失点を喫していた前半戦とは見違えるようで、もちろんそれが中谷一人の力ではないものの、守備意識の徹底、切り替えの速さに対する彼の貢献度は決して低くない。

そうした前提条件を整えたうえで、中谷は「そうなることはわかっている」とDFラインで待ち構える。攻撃的な選手の多い中盤を見れば、通常よりも多くクロスやシュートが飛んでくることは織り込み済みだ。前節は敵陣と自陣をボールが行ったり来たりするドタバタとした試合展開にもなったが、「広島戦で一度経験していたし、最後は自分たちで守りきるしかないと思っていたので、ある程度割り切ってやれました」と涼しい顔。自身も危ない場面で何度も身体を張った守備を見せ、ボールに必死に食らいついたが、それも想定の範囲内だったということか。ただし、その試合展開を良しとするわけではなく、改善はもちろん意識する。

「もう少しゲームコントロールとしてはできたかなと思います。こちらのカウンターについても行けると思った時には行くべきだと思いますけど、例えば中盤でボールを持つとしても、難しい縦パスを狙うのか、あるいは横パスで時間を作った方がいいのか。そこは横で良いんじゃないのかって思う場面も多々ありました。そこで引っ掛かって相手のカウンターになっている部分もあるので、そこは個人としてもチームとしても、責任感の部分だと思います」

今節の相手であるG大阪には今季の名古屋戦でリーグ、カップ合わせて6得点の天敵・長沢駿がいる。192cmの高さを生かした空中戦は中谷曰く「入り方が独特だから対策はしないと」と相手を出し抜くスキルも併せ持つ難敵だ。前節もクロスを多く上げられ、ゴール前で跳ね返す場面が多かった名古屋だけに、競り合いの局面とクロスを上げさせない守備の両構えで対策を練るべき一戦になる。クレバーな宮本恒靖監督も、そうした弱点は明確に突いてくるはずだ。中谷はここでも「広島戦をやってみてそうなることはわかっていたので」と苦笑い。そしてここでも一つの覚悟を決めている。

「しょうがないというか。あそこは中を固めてやるしかないという感じです。どうしてもシャビとかタマさん、サイドハーフは守備に戻ってこれないことが多いから、数的不利にはなる。そうなった時に中でどれだけ粘れるか。割り切れているので、逆にやることは明確になってきています」

それはまさしくDFとしての“責任感”であり、自分との闘いでもある。周囲に要求するだけのことを自分はしているか、守備の中心人物としてのプレーを自分はできているか、失点の責任を負う覚悟があるか。「しょうがない」という言葉に込められた意味は深く、それだけに中谷のプレーは迫力を増す。身体を投げ出してでもシュートを防ぎ、クロスを跳ね返す背番号20の姿には、底知れぬ執念すら感じ取れる。

熱い男なのである。暑苦しいと言い換えてもいい。酷暑が続く名古屋で、とある日の練習場でこんなやり取りがあった。「今日も暑いな。シン(中谷)の“ここ”と同じだな」。仲間が指さしたのは心臓の部分、つまりハートである。中谷はそれを見て食い気味に即答した。「間違いねえ」。ナイトゲームでも30度超えは確実視されるG大阪戦でも、その熱さは変わらないだろう。熱血漢DFの魂のディフェンスに、どうぞご注目を。

文:今井雄一朗(名古屋担当)


明治安田生命J1リーグ 第20節
8月5日(日)18:00KO 豊田ス
名古屋グランパス vs ガンバ大阪
豊田スタジアム(名古屋グランパス)
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