【横浜FC vs 讃岐】 ウォーミングアップコラム:シャイで無口なバットマン(期間限定)。20年ぶりに“古巣”へ復帰した田代真一

2018年8月17日(金)


前節の熊本戦、田代真一(写真)が横浜FCで初出場を果たした。3バックの中央に陣取り、黒いフェイスガード越しにも分かるイケメンぶりは、2002年日韓ワールドカップの宮本恒靖(現G大阪監督)を彷彿させた。チームはイバのハットトリックを含む5得点で快勝したが、守備では3失点。「今回は勝ったけど、隙をなくしていかないとシーズン終盤にかけて厳しくなる」と、最終ラインのバットマンに笑顔はなかった。

DAZNマネーが流入した今夏、J1の各チームが激しく補強に動き、それに伴ってJ2にもJ1から人材が供給された。横浜FCが田代を長崎から期限付き移籍での獲得を発表したのは7月6日。後方からのビルドアップに難のあったチームにとって、願ってもない補強。しかも昨年は長崎で副キャプテンを務め、J1昇格を経験している。さらには小学4年生で横浜フリューゲルスの下部組織に入り、その後チーム合併に伴い横浜FMで育ってプロになった縁もある。フリューゲルス消滅から20年、それを経験した者がJ1昇格のために戻ってきたというできすぎなストーリーに、本人も「やりがいがある。横浜FCが僕を必要としてくれた。恩返しというか、しっかりと仕事をしたい」と意気込んでいる。

ただチームに合流してわずが2日後、練習中の接触で眼科底と頬骨を骨折してしまった。「何のために来たのか分からない」と自嘲したが、フェイスガード着用で出られる状態になれば即出場したところに、チームからの期待の大きさが表れている。タヴァレス監督は「まだこれから試合勘、コンディションを戻していく作業が必要」としながらも、「彼のストロングポイントは技術、ビルドアップ。良いパスを持っている」と絶大な信頼を寄せる。

もともと横浜FCにとってビルドアップはここ数年の泣きどころだった。今年も序盤は後ろからつなぐことを指揮官は目指したが、つなぎでのミスを狙われてホームで新潟、金沢に大敗して以降は、3バックと3ボランチで後ろに人数をかけてのカウンターサッカーに舵を切った経緯がある。現状、アンカーの佐藤謙介が最終ラインに下りてビルドアップをスタートさせているが、「僕がそんなに下がらなくて済むし、下がったときには2人でゲームを作れる」と、佐藤は田代が最終ラインに加わったことを歓迎する。

2015年に千葉で田代と同僚だった北爪健吾も、「シンプルに飛ばせるフィードを持っている。今は同サイドのディフェンダーから受けるパスが多いけど、真ん中から一本で飛ばしてもらえれば相手もスライドが間に合わないし、攻撃のバリエーションも出しやすい」という。また、サイドで詰まった際にも、最終ラインに田代がいれば、一度下げて作り直す際にそのパスセンスを発揮できる。「よりゲームを優位に運べるんじゃないですか」と、絶好調の右ウイングバックはニヤリと笑った。

性格は非常にシャイで、口数も少ない。横浜FMの下部組織でともに育った武田英二郎も、「昔からそう。ボソボソしてて、明るい感じじゃないですね(笑)」というが、ペ スンジンが「ピッチの中ではコミュニケーションをすごく取るのでやりやすい」と言うように、チームにはなじんでいる。多少塩っ気のあるファンサービスも、そこが良いのかイケメン補正か、横浜FMや町田、千葉時代からの女性ファンも練習場に訪れている。「去年長崎でJ1に昇格して、喜び、達成感と同時に、厳しさや難しさも感じた。いろいろ犠牲にしながらやっていかないと成し遂げられない。もう一度その目標に向かってやっていきたい」と、寡黙な仕事人は決意とともに語る。

ただ、今は暑さもあって「とにかくこれを早く外してプレーしたい」と、フェイスガードをぶらぶらさせつつ苦笑い。「もういいと思うんですけど、ドクターから『まだ付けなさい』と言われてるんで」と口をとがらせた。イケメンのバットマン姿ももうすぐ見納め。フェイスガードが外れれば、本来の広い視野が確保され、惚れ惚れするようなフィードが飛び出すことだろう。

文:芥川和久(横浜FC担当)


明治安田生命J2リーグ 第29節
8月18日(土)18:00KO ニッパツ
横浜FC vs カマタマーレ讃岐
ニッパツ三ツ沢球技場(横浜FC)
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