【名古屋 vs 浦和】 ウォーミングアップコラム:名古屋の“必殺仕事人”となった金井貢史。驚異の得点率と職人的守備にぜひ注目を

2018年8月25日(土)


超攻撃的サイドバック、というよりは、一撃必殺の仕事人という方がしっくりくる。夏の移籍で名古屋にやってきた金井貢史(写真中央)はここまで5試合出場ですでに3得点をマーク。しかも最初の2試合ではシュートを放っておらず、後ろ3試合でも2本、1本、1本とほとんどシュートは打っていない。そして決めたのは鹿島戦の2本と鳥栖戦の1本で計3得点。シュートに対する得点率は75%のハイアベレージという“ストライカー”ぶりは、本人ですら想定外の事態だという。「いやまあ…取りすぎているとは思いますが、まだまだ行きますよ」。待望の本職サイドバックとして迎え入れられた男は、攻撃面でもチームの快進撃を支えるキーマンの一人である。

前所属の横浜FM時代から“意外性の男”として鳴らしてきた実績はあった。「なんでそこにいるの?とはよく言われていました」。今季の横浜FMではセンターバックでの起用もありつつ、やはり6試合で2得点を挙げている。守備で見せる巧みなポジショニングは攻撃参加にも生かされ、風間八宏監督も「ボールを持つことを恐れない」と評価するテクニックで、名古屋に特有のペナルティエリアの攻略にもすぐさま順応してみせた。そもそもがグアルディオラ監督が好きでマンチェスター・シティがここ数年のフェイバリットチーム。“偽サイドバック”と呼ばれる動きを横浜FMのポステコグルー監督が導入する以前から実践していたとあって、攻撃の自由なポジショニングを推奨する風間監督のサッカーとも親和性が高かったようだが、それにしてもこのハマりっぷりは驚異的だ。

もちろん本業は守備の人であり、名古屋での3得点目を挙げた前節の鳥栖戦はまず無失点で終えたことに手応えを語る。得点を量産する一方で失点にも絡み続けてきたこともあり、当然のことながら「次も無失点で抑えられるように、まずは守備から頑張りたい」と意気込むあたりはやはりDFである。サイドに攻撃的な選手を置くことの多い布陣の中では、数的不利のマッチアップを強いられる場面が多いが、「そこを自分がうまく守れれば攻撃に人数をかけられる」と意にも介さず黙々と仕事をこなす。どれだけ攻撃的な結果を残そうとも、金井の特徴が守備にあることに疑いの余地はない。

だが金井が攻撃にも強いこだわりを持つ選手であることもまた、事実である。そしてそのこだわりこそが、名古屋のスタイルの中で彼を得点者たらしめている理由にもなっているのだ。

「1試合にチャンスは1回か2回は来るもので、それを自分にとっての少ないチャンスと捉えて決めきろうと意識しています。それはチーム全体で厚みのある攻撃ができている証拠でもある。まさかこんなに取れるとは思ってなかったですけどね(笑)。ただ毎回、ずっと、サッカー選手をやっている中では少ないチャンスを決めることにはこだわってやってきたところではあったので、それが今はこうやってゴールという形で結果につながってきているだけでもあります」

そして「でも、得点のことを期待されても…」と苦笑いをひとつ。得点への集中力は常に高めているが、貪欲に狙っているわけではない。その無欲さが彼に決定機を呼び込むのかもしれないが、かといってシュートに込める気持ちが希薄なわけではない。まだ小さい息子たちに「幼稚園とかでパパがサッカー選手であると胸を張って言ってもらえるように」と思うならば、なおさらにゴールという結果はわかりやすく自慢の種にもなるだろうからだ。

若いチームの中では経験も豊富な年長者としての振る舞いや気遣いも光る。特別指定の大学生たちに気軽に声をかけ、ウォーミングアップなどでも率先して雰囲気を明るくするような行動をとる。今節は水曜日の天皇杯で退場し、中谷進之介が出場停止となってしまったのだが、「代わりに出る選手の力が入りすぎないようにうまくサポートはしておきたい。うまく勝って、シンが退場したことを笑って話せるようにしたいなとは思います」と、彼らしい表現で後輩たちを思いやった。それぞれにかなり個性の強い新加入選手たちの中で、金井は良き兄貴分としてのポジションからチームの潤滑油となっていることも感じる。

浦和は強い相手と認識するが、臆するところはみじんもない。「いつも通り攻守一体となってやっていければ点は絶対取れるし。身体を張れば絶対にゼロに抑えられると思う」。1点を守ることも、1点を奪うことも、どちらにも強いかかわりを持つ金井の働きはチームの好調のバロメータにもなる。背番号31がどこにいて、どんなプレーを選択しているか。絶好調の名古屋の面白さは、左サイドバックの動きに色濃く表れてくる。

文:今井雄一朗(名古屋担当)


明治安田生命J1リーグ 第24節
8月26日(日)18:00KO 豊田ス
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