【千葉 vs 横浜FC】 ウォーミングアップコラム:常に冷静な状況判断と最善のプレーを選択する下平匠

2018年9月22日(土)


第32節終了時点で28失点とJ2リーグ最少失点で堅固な守備を誇る福岡を相手に、前節(第33節)の千葉は船山貴之が82分の得点でハットトリックを達成。3-2とリードした状態で、3分と表示された後半のアディショナルタイムに入った。そして、アディショナルタイムが2分台に入ると、福岡は山瀬功治が千葉にとっての右サイドからクロスボールを入れた。ボールはニアサイドにいた鳥海晃司の頭に当たってコースが入り、それにいち早く反応した城後寿がヘディングシュート。千葉はGKの大野哲煥が両手でセーブに行ったが、ボールに触れた左手は弾かれ、ボールはゴールマウスへ。そこにカバーに入った下平匠(写真)がゴールライン上で必死に右足でクリアしようとしたが、ボールはクロスバーに当たったあとにピッチに落ちてゴールイン。下平はしゃがんだまま一度うつむいたあと、悔しがりながら立ち上がった。

「前(のポジションの選手)が点を取ってくれていたので、やっぱり勝たないといけないゲームだったと思います。もったいなかったかなと思います」

9月21日の練習後、前述の失点シーンについて下平はそう振り返った。今季、J2リーグ最多クラスの失点数という問題点もあって上位に浮上できない千葉は、試合の終盤の失点が目立つ。リードしている時にいかにうまく試合を終わらせるかが鍵となっている。

「別に、角(コーナー付近)でボールキープするだけが、時間の使い方じゃないですから。どこでボールを回すかだったり、どこにボールを運んで行くかだったりというところは、時間帯でもうちょっと考えないといけないかなと思います」

相手にボールを渡さず、マイボールにし続けるかというプレーを考えると、前節の90+1分の下平のプレーは印象深かった。ペナルティエリアの左サイドにいた下平は、逆サイドから上がってきたクロスボールが自分のところに来ると、それを胸でコントロールして自分の目の前にいた為田大貴へのパスにした。福岡に押し込まれている試合展開、後半のアディショナルタイムという時間帯を考えれば、シンプルにクリアすることを選択してもおかしくない。だが、自分と為田に福岡のプレッシャーがかかっていないことがわかっていた下平は為田へのパスを選択。ボールを失わないための1つのプレーだった。

「蹴ってクリアするというのが一番簡単ですけど、自分らがボールを持っていれば相手は攻めるチャンスがないので。ボールを大事にするというところと、シンプルにクリアするというところを考えて、もっとできればいいかなと思います」

今年の8月、出場機会を求めて横浜FMから期限付き移籍で加入した下平は、選手登録完了直後の第28節・町田戦でいきなりスタメン出場。第30節・東京V戦では移籍後初ゴールをマークしたが、千葉は第28節からの3試合は1分2敗。第31節・山口戦、第32節・岡山戦をいずれも無失点で連勝し、今季初の3連勝を目指して前節を迎えたのだが、土壇場の失点で引き分けに終わった。常々、「自分は千葉をJ1に上げるために来た」と口にする下平は、コンスタントに地力を発揮できない千葉をこう考えている。

「練習とかやっていても、個人の能力というのはJ1とそんなに変わらないレベルにあると思います。あとはそれをどうチームとして合わせていくのか。誰が、どこで、どういうパワーを使うのかとか、そういうほんの少しのところを改善すれば、もっとよくなるんじゃないかなと思います。どれだけ厳しくというか、言い合えるかというところも大事かなと思います」

前述の為田へのパスもそうだが、下平は周囲の状況をよく見て味方を助け、生かすようなプレーを選択している。福岡戦では89分に為田からパスを受けると、相手を背負いながら下がってボールを受けに来た船山へ正確にパスを出した。ガンガン前に上がってドリブルで仕掛けるタイプの左サイドバックではないが、的確にポジションをとって味方をサポートしながらクロスボールを上げたり、シュートを狙ったりしている。

「(試合に)出る選手によっても特徴は違いますし、もちろんどの選手でも得意なプレー、苦手なプレーもあると思うので。補い合うというか、うまく役割分担をしてやればいいんじゃないかなと思います」

前節に引き続き、今節もまたJ1自動昇格を視野に入れて戦うチームである横浜FCとの対戦。横浜FCにはイバやレアンドロ ドミンゲスといった個の能力の高い選手もいて、サイドの攻防を含めて激戦になることが予想される。だが、取材対応の際は大阪出身者へのイメージとして抱きがちなイケイケのノリのいい口調ではなく、冷静にゆっくりと話す下平は、横浜FC戦への意気込みをこんなふうに話した。

「(横浜FCは)3バックでくるか、4バックでくるかわからないですけど、まあ、勝てるように頑張ります」

マイペースな語り口で、ギラギラとした闘志を表に出すタイプではない。だが、闘志を内に秘めながら、常に冷静に判断して味方を助け、相手が嫌がる最善のプレーを選択して実践する。コンスタントに地力を発揮している強いチームには、好不調の波が大きくなく、安定したレベルのプレーをやり続けられる下平のような選手が必ずいるはずだ。

文:赤沼圭子(千葉担当)


明治安田生命J2リーグ 第34節
9月23日(日)15:00KO フクアリ
ジェフユナイテッド千葉 vs 横浜FC
フクダ電子アリーナ(ジェフユナイテッド千葉)
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