【広島 vs 柏】 ウォーミングアップコラム:才能の塊・野上結貴がチームを鼓舞 チャレンジャーの魂を持って強力な柏攻撃陣を迎え撃つ

2018年10月5日(金)


2位に落ちた。第2節以来のことである。そこまでずっと首位を走ってきた広島が勝点同点ながら得失点差で川崎Fの後塵を拝した。広島を除くJリーグのサポーターは「面白くなってきた」と感じているかもしれない。

ただ、昨年15位のチームがすでにJ1残留を決めている。しかも歴史的な混戦となった今季のJ1において、だ。3試合で勝点1。しかし、34試合制以降史上最多勝点で年間1位となった2015年でも2試合連続完封負けを記録しているし、3試合勝点1も経験している。2試合で勝点5差をひっくり返して優勝した2013年には3連敗を含む5試合勝点2という厳しさにもさらされた。独走で勝つなんて、今のJ1では難しい。

重要なのは、自分たちの中から崩れないことだ。2013年も2015年の時も、チームの意志は固かった。間違いなく優勝という目標に向けて一つになっていた。だからこそ、最終的には崩れはしなかった。

今季はどうか。G大阪戦で敗戦した直後、青山敏弘や柏好文らが大きなジェスチャーでチームを鼓舞していたが、もう1人、大きな声と拍手でチームメイトを励ましていた男がいた。野上結貴(写真)だった。

高さ・強さ・スピードと身体能力に恵まれ、足下の技術も確かでフィードも正確。日本代表に選出されないのが不思議なくらいな才能を持ち、今季の戦いの中でCBとして必要な経験も積み重ねてきた。ただ、これまでの彼は、若い選手にありがちな「自分が」という気持ちが前面に出がちのキャラクターだった。もちろんチームの勝利が最優先。だけど、そこに関わるためには、自分のプレーをまず最優先させ、チーム全体の雰囲気を盛り上げるとか、そういうことは周りに任せがち。そういう個性を持っていた。

だが、G大阪戦の後は違った。ものすごい形相で激しく声をはりあげ、手を叩き、「ここからだっ」と想いを選手たちに示した。決して言葉の数が多い方ではない。普段から「やろうぜっ」と周りを引っ張るタイプでもない。だが、危機に陥ったその瞬間、野上は声をあげた。

「気持ちが入った」

才能の塊である2番は、そう語る。もちろん、試合を通して彼の気持ちは感じ取ることができた。試合終盤、アデミウソンの決定的なクロスに身体を投げ出して足を出し、絶望的な2点目を防いだシーンは戦術的なプレーというよりも「やらせるかっ」という気持ち以外にない。そういう想いを足に込めたからこそ、クリアボールがポストに当たった後、渡邉千真ではなく林卓人の方に跳ね返った。論理的ではないが、そう捉えるのがスポーツの視点である。

ただ彼が「気持ちが入った」と語ったのは、試合が終わってからの時間も含めて、ということ。2200人もの紫のサポーターが詰めかけたアウェイのスタジアムで、紫の勇士たちは全力で戦った。その素晴らしい雰囲気の中で結果だけが繋がらなかった。だけど野上は、その雰囲気を次に繋げたいと考えた。青山や林卓人、柏のようなベテランだけでなく、その次の世代がチーム全体に影響力を与え始めたことはまぎれもなくチームとしての成長である。

「いい守備からいい攻撃はできている。ただフィニッシュにつながっていないだけ。新しいことをやるというよりも、プレー強度をさらにあげていく。去年よりも全くポジティブだし、自分たちはチャレンジャーだから」

柏レイソルは残留争いに巻き込まれているが、ここ5試合で11得点を記録しているほど強力な攻撃陣を誇る。しかし野上結貴はひるまない。破壊的な肉体と冷静な頭脳、そして熱い魂を持ってエディオンスタジアム広島に立つ。

文:中野和也(広島担当)


明治安田生命J1リーグ 第29節
10月6日(土)14:00KO Eスタ
サンフレッチェ広島 vs 柏レイソル
エディオンスタジアム広島(サンフレッチェ広島)
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