【名古屋 vs FC東京】 ウォーミングアップコラム:初の古巣対決にココロ複雑な丸山祐市。守備だけでなく、“飛び道具”としても期待は膨らむ。

2018年10月6日(土)


プロとして全力で勝利を目指すと心に決めていても、古巣との対戦というのはやはり複雑らしい。FC東京からシーズン途中に完全移籍で名古屋に加入した丸山祐市(写真)は、ついにやってきた古巣対決に「何かちょっと変な感じです」と率直な心境を口にする。「もちろん名古屋の選手として絶対に倒す、という気持ちはあるんですけど」と思い直しても、「本当にやるんだ、と」と自分でも心の動きが把握しきれない。それほどまでの存在であるFC東京を迎え撃つ今節は、“名古屋の丸山”になおのこと注目したくもなる。

心機一転で挑む戦いでもある。前週、C大阪戦への準備として風間八宏監督は4-3-3のフォーメーションを試し、その中盤アンカーのポジションに丸山を起用。対人の強さとフィードの正確性を買われての抜擢は試合が中止になり、今週になって再び4-4-2に布陣が戻されたために実現はしなかったが、1週間限りのコンバートに丸山自身は良い刺激を受けたという。

「チームがうまく回るようにとボランチやアンカーを風間さんがやらせてくれましたが、やっぱりやり慣れていないところがありました。それも時間が経てばやれるようになると思っていましたけど、逆にセンターバックに戻ったことで、ボランチがパスを出した後の自分のポジションであったり、パスの質であったりを理解することができました。これだけの期間ですが、それでちょっと気を使えるようにはなったと思います」

その言葉通り、古巣対決に向かう準備の中で丸山は躍動していた。対人の強さとカバーリングの迅速さ、FWのフォアチェックを受けても決して焦ることなくボールをつなぎ、逃がしていける技術の高さはもちろんのこと、そのプレーひとつひとつに伸びやかな軽やかさが感じられたものだ。アンカーという役割には意欲的に取り組んでいたが、初体験のポジションに思うようにいかないところはやはりあったようで、最近の練習後にはストレス発散の意味も込めて直接FKの練習もしていた。本職でプレーできる喜びと開放感も追い風に変えて、背番号17は名古屋のゴール前をくまなく見張り、守る。

かつての同僚たちを相手にすることにやりにくさはなく、「知っている分だけ」と謙遜するが、むしろやりやすいと感じている。「個々の特徴や能力はわかっているので対応はできる。チームにも上手く伝えたい」という言葉からは、ディフェンスリーダーの気概が滲み出た。相手が何をしたいかは承知の上だけに、その理解をどれだけチームに共有できるかは彼の腕の見せどころだ。「それができるような声掛けをしていって、少しでも勝率を上げていけたら」。連敗中で残留争いの最中にもあるチームを救いたい気持ちは、誰よりも強い。

ただし、見ている側としては単純に楽しみな試合である。名古屋でのプレーで改めてその能力の高さを証明している丸山が、特別な対戦相手を前に本気の本気を見せてくれそうだからだ。これまでがそうでなかったわけではなく、プラスアルファの力が時として出るのが古巣対決のようなスペシャルなシチュエーションである。ちなみにFKについては「FC東京だからというわけではないんですが」と前置きしつつ、「タマさん(玉田圭司)が交代した後とかに蹴れるかなと思って」と単なるガス抜きではないと明言している。練習で見せた軌道は飛び道具としての期待も十分に抱かせるもので、終盤のセットプレーでは丸山がどこにいるかにも注視しておきたい。

名古屋は連敗中、FC東京は8試合連続未勝利と勝点3に飢えるチーム同士の対戦は、否が応でも執念や気迫の勝負になってくる。いつも以上にゴールを守り、ゴールを奪う気概に満ち溢れる丸山祐市の存在は、その意味で名古屋にとってはこれ以上ない頼もしさを感じさせてくれるものだ。

文:今井雄一朗(名古屋担当)


明治安田生命J1リーグ 第29節
10月7日(日)16:00KO 豊田ス
名古屋グランパス vs FC東京

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