【YS横浜 vs 藤枝】 ウォーミングアップコラム:辻正男は、何度でも立ち上がる

2018年10月19日(金)


「ようやくこの瞬間が訪れた。このためにサッカーをやっているんだよなぁ…って」

前節・長野戦、試合終了のホイッスルがピッチに響いた瞬間、今季初のフル出場を果たした辻正男(写真)は久しく味わう心地いい疲れと勝利をいつも以上に噛み締めていた。

「優勝を目指す」と大きなチャレンジを掲げてスタートを切った辻の今季。その矢先に待っていたのは地獄のような日々だった。2月、練習試合中にアキレス腱断裂の重症を負ったことでまさかの長期離脱。ここからコンディションを最高の状態上げていくという段階で、キャリア3度目となる手術をしなければいけない事態に。何度もメスを入れているからこそ、もうあの激痛は耐えることに自信がなかった。それにアキレス腱断裂は瞬発系、スピード系の選手には致命的。どうしてもオペをすることに前向きになることはできなかった。

そんな胸中でも田原穣トレーナーや樋口靖洋監督などの支えから、まずは普段の生活に戻るために手術を決意。しかし、入院生活やリハビリ中は、ひたすらどん底の生活。「自分も長期の離脱がどれだけマイナスかは分かっている。それを何度も繰り返しているからマイナスが大きい」と、もうピッチに戻ることさえも半ば諦め、心は折れていた。

その傍らで離脱中にチームは一時3位にまで躍進。スタンドで見つめる試合結果に対して、素直に喜ぶことが難しかった。それでも田原トレーナーは「優しくしてくれた(笑)」。サッカーのことを考えたくないときも、「もうできない」とわがままを言ったとしても常に寄り添い、徐々にメンタル面は回復し「もう一度」という思いが蘇ってくる。こうして、ようやく9月末に全体練習に復帰。ガムシャラにボールを追いかけ、ドリブルで果敢に仕掛けていく姿は、ルーキーかのような清々しさを感じられた。

「まだ成長できると思っている。そこまでやらないと自分の中ではイヤ。今後も生きていくうえでも、絶対にやらないといけない。いまは勝負したいし、年齢は関係ない。ここからもう一回、まだまだと、自分の気持ちが盛り上がってきたので、目の前のことを最大限にやっていきたい」

食事の改善や、股関節の柔軟性などを重点に取り組むことで体はシャープになり、昨季よりもキレが向上。第21節・鹿児島戦から時間制限付きで復帰して2得点を挙げるなど本当に怪我していたのか疑ってしまうほどのパフォーマンスを披露している。

いま、このように辻がピッチで走ることができているのは、田原トレーナー、家族の支えがあったからこそ。そして今季限りで退任する樋口監督の存在も大きかった。負傷もあり、年間を通してともに戦えたのは2年目のみ。だからこそ「この3年間を考えるともっともっと役に立ちたかった」と悔しさが滲み出るが、「いま、できることで残り7試合、絶対に貢献したい。監督の力になりたい」と言葉に力を込める。

その『いまできること』は勝利につながる得点を奪うこと。プロサッカーキャリアで何度も直面した負傷にも負けず、再び走り出している辻。指揮官のためにも、チームのためにも求められる役割を果たしたい。

文:髙澤真輝(YS横浜担当)


明治安田生命J3リーグ 第28節
10月20日(土)13:00KO ニッパツ
Y.S.C.C.横浜 vs 藤枝MYFC
ニッパツ三ツ沢球技場(Y.S.C.C.横浜)
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イベント充実 (2.7)
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