【名古屋 vs 湘南】 ウォーミングアップコラム:シャビエル、超本気モード突入。勝ちにこだわったファンタジスタが名古屋を残留へ導く。

2018年11月30日(金)


サッカーの王国から来た司令塔は、現状を最も正確に把握する一人だ。指揮官が「90分間を大きくする必要はない」と平常心での戦いを強調し、2年前の悪夢を知る和泉竜司も「しっかり今のチームで湘南に勝てばいい」と特別感を出さずに試合に臨むなか、ガブリエル シャビエル(写真)は何を聞いても「勝つことが第一優先だ」と連呼した。他会場の結果次第では引き分けでも残留が決まるが、名古屋の背番号10はあくまで自力での危機回避を望む。

昨季のJ2を席巻した華麗さだけでなく、タフさや力強さも誇示してきたシーズンだった。2列目のゲームメイカー的な役割を得意とするが、今季はジョーとのツートップも多く、身体を張ったポストプレーで味方に時間を提供する仕事も請け負った。170cmの体格はお世辞にも筋骨隆々とは言えないが、重心の低い身のこなしとフットサル仕込みの優雅なタッチで巧みにボールを隠し、相手DFとのバトルに打ち勝ってきた。9月1日の磐田戦では試合終了間際に利き足の左ひざを痛め、1ヵ月ほどで戻るも完治はしていない。代名詞の一つであるセットプレーを玉田圭司やネットに譲る回数が一向に減らないことが、患部の状態を物語る。「こんなに大きなクラブに所属していて、あらゆるサポートをクラブがしてくれている。モチベーションは高いよ」。太ももから膝下までを覆う黒く大きなサポーターは、シャビエルの根性の証なのである。

まさに必死のプレーを続けるシャビエルは、風間八宏監督率いる名古屋のプレースタイルを具現化するキープレーヤーの一人。彼が絡めば攻撃は多彩にも華やかにも、そしてスピーディーにも展開していく。「すべては自分たち次第」が口癖のチームにとって、シャビエルの左足はさながら魔法使いの杖のようでもある。しかし今この時において、魔法使いは戦士へとその姿を変えたようだ。何を聞いても「勝つことが優先だ」と繰り返し、いつもは最重要視する試合内容について聞いても、現実的な見方しか示さない。

「もちろん試合でいつも自分がやっている仕事はあるけど、試合展開によっては、より求められる部分と求められない部分が出てくる。ウチにはディフェンスがしっかりできる選手も、アジリティーに優れる選手も、ドリブルが得意な選手もいる。しっかりゴールを決められる選手もいる。いろんな選手がいる中で、その試合の中で自分に求められる仕事をしたいと思う。彼ら素晴らしい選手と力を合わせて、この大事な試合を戦っていきたいね」

後半の45分を守備的に戦った前節の広島戦も、「勝つことをまず意識して、相手チームよりも走って、努力して、より自分たちを犠牲にしなければいけなかった。ああいう展開も今の状況では必要だよ」と割り切っている。シャビエルの守備での貢献度は昨季の比ではない。実はリーグ屈指の俊足である彼が、懸命なプレスバックで相手のカウンターを止めた場面を今季何度見たことか。ポストプレーで身を削り、息を切らしてボールを奪い返す姿を見て、ガブリエル シャビエルという選手の認識を改めた人は多いはずだ。彼がジョーと並ぶ名古屋の攻撃の中心人物であることに変わりはない。しかしそれ以上に“闘える”選手として、シャビエルの存在はチームにとって大きい。

「この試合がホーム最終戦ということも大きな力になると思う。そしていかに自分たちが日々こなしている練習の成果を発揮するか。それができれば試合のペースも握れると思うし、そこから自分たちの集中力を持続させ、1点でも2点も決めれば勝つこともできる。そういう、自分たちがしなければいけないことをして、勝ちたいと思う」

貪欲なファンタジスタはチケット完売のホームの大歓声もプラスアルファの力に変えるつもりだ。そして自力残留を文字通り勝ち取り、この最終節を今季最終戦にする。上手くて速くてしかも強い、名古屋のエースはジョーだけにあらず。10番を背負う小さな巨人は大一番へ向け、本気中の本気モードに突入している。

文:今井雄一朗(名古屋担当)


明治安田生命J1リーグ 第34節
12月1日(土)14:00KO パロ瑞穂
名古屋グランパス vs 湘南ベルマーレ
パロマ瑞穂スタジアム(名古屋グランパス)
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