【神戸 vs 大分】 ウォーミングアップコラム:“お手本”イニエスタとの共演は、まだ6分。安井拓也の複雑な心境。

2019年4月9日(火)


昨年6月初旬のよく晴れた夏日。安井拓也(写真)はアンドレス イニエスタの来日を心待ちにしていた。無理もない。安井にとってイニエスタは昔から“お手本”にしていた選手。動画ではなく、生でイニエスタのプレーを見てみたいというサッカー小僧の血が騒いでいた。

「イニエスタのプレーをテレビで見てサッカーって簡単なんやなぁと思ったことがある。自分も同じようにプレーしようと思って次の日とかに練習でやってみたら、うわ、むずっ!(笑)。イニエスタみたいにいつか“サッカーって簡単なんやなぁ”と思わせられるような選手になりたいと思っている」

FIFAワールドカップロシア大会後にイニエスタが神戸にやってきた後も、安井にとって彼が“お手本”であるのは変わらない。変わったのは、チームメイトになってから呼び方が“アンドレス”に変わったくらい。今も、盗めるプレーはとことん盗んで、自分の成長につなげている。

お手本が身近にいる今の環境は、安井にとってメリットは多い。テクニックだけではなく、プロとしての姿勢、ゲームに向かうまでのコンディション作り、メンタル面など、どれをとってもイニエスタは世界の一級品。一緒のチームにいるだけでプロのあり方を学ぶことができる。

ただ、難点もある。フアン マヌエル リージョ監督の頭の中では、イニエスタと安井の適正ポジションがどうやら同じ左インサイドハーフである点。つまり、イニエスタと一緒にプレーしたいという安井の願いは、同じポジションゆえになかなか実現しないのである。

実際、2人が公式戦で同じピッチに立ったのは、イニエスタのJリーグデビュー戦となった昨シーズン第17節の湘南戦だけ。しかも、わずか6分のみ。偉大なイニエスタのバックアップ扱いは光栄だが、少し複雑な心境でもある。

とはいえ、何事もポジティブに捉えられるのが安井のいいところ。ルヴァンカップ第2節のC大阪戦の後、イニエスタと同じポジションでの出場だったが、何か参考にしたのかを聞くと、安井はこう答えてくれた。

「今日(C大阪戦)はペナルティエリアの角で起点を作って、そこからスルーパスを出したり、ワンツーで裏に抜けたり、ゴールに向かうプレーを心がけた。アンドレスと同じポジションだったので、ボールの持ち方とか色々と参考にした部分もある。その上で自分の色を出せるように意識しました」

かつてはイニエスタの真似をしていたサッカー少年は、プロになった今は真似ではなく“参考”にするようになった。ここに安井の成長があり、プロとして生きるための覚悟が感じられる。“共演6分”というプレータイムを伸ばせるかどうかは自分次第。同時に、安井にとってのルヴァンカップは、イニエスタという大きな壁への挑戦でもある。

文:白井邦彦(神戸担当)


JリーグYBCルヴァンカップ 第3節
4月10日(水)19:00KO 神戸ユ
ヴィッセル神戸 vs 大分トリニータ

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