【千葉 vs 岡山】 ウォーミングアップコラム:クレバーな田坂祐介は気の利いたポジショニングとコーチングでチームを助ける

2019年4月13日(土)


今季、千葉に加入した選手の中で、J2でプレーすることが特に意外に思えたのが田坂祐介だった。2018年シーズン限りで川崎Fは契約満了になったとはいえ、ドイツのVfLボーフムでプレーした時期を挟み、強豪クラブへと成長していった川崎Fで主力としてプレーしてきた彼ならば、J1クラブへの移籍も可能だったと思われる。新体制発表会見後の囲み取材で「J2でのプレーは本当に挑戦だと思うが、その決断の背景や思いはどういったものなのか」と問うと、田坂はこう答えた。
「フロンターレを出るんだったら新しいことにチャレンジしたいという思いが強かったですし、そういう意味でJ2でやるというのは、自分にとってもまた新しい、全然違う環境でやるというチャレンジになるので、すごくおもしろいかなと思って決めました」

攻撃的なポジションから守備的なポジションまでこなせるユーティリティプレーヤーの田坂は、今季の千葉では当初、右サイドバックでのプレーがメインになりそうだった。しかし、中盤の選手の負傷が相次ぎ、第6節・福岡戦でダブルボランチの一角でスタメン出場の予定だった佐藤勇人が、試合前のウォーミングアップで負傷。急遽、田坂はボランチでスタメン出場した。実は、その福岡戦に向けた3月28日のトレーニングの紅白戦形式の戦術練習で、田坂はボランチに入ったこともあった。その日の練習後にその話をすると、田坂は「楽しいですよ、たくさんボールを触れて」と言って笑顔を見せた。

ボランチでプレーする田坂は、千葉の守備時は時にはゴールライン近くまで下がって味方をカバーし、攻撃時は「そこに誰かが入ってくれれば」と思うような千葉の選手と選手の間にポジションをとってパスワークを助けている。派手ではないが、味方をサポートする必要不可欠なプレーだし、彼はさらに効果的なパスを出すこともできる。
「ボランチで出た時は、自分たちの攻撃の時は間に顔を出すということはやっぱり常に意識していますし、守備の時も穴があったらそこを埋めなきゃいけないなと思っています。そういうのは意識してやっているところではあります」

筆者は青山学院大学時代の田坂のプレーを見たことがあり、試合後に話を聞いたこともあったが、プレーも発言もクレバーな印象だった。それは今でも変わらない。千葉の選手としてもチームの課題を的確に捉えて分析し、言葉で示してくれる。金沢と対戦した前節(第8節)は江尻篤彦新監督になって4試合目で、初の敗戦(スコアは0-1)となった。
「攻撃のところはやっぱり簡単なミスが多すぎたので。ボールを持った時に自分たちの時間が長く作れれば、もっと体力も温存できただろうし、攻撃に使える時間帯が必然的に増えてくる。守備一辺倒になるとやっぱり相手に走らされてという感じで、体力的にもけっこうきつくなってくるので、そこは試合の課題だったかなと思います。相手陣内でもっとサッカーをする時間が多かったら、あのままフィニッシュに行ける回数ももっと増えていたと思うし、守備に回る時間が少ないぶん、そのぶんの体力を攻撃に使えたと思います」

今節で対戦する岡山については金沢と少し似ているところがあると分析した。
「2トップに大きい選手がいて、ロングボールもけっこう多いし、前線が守備で2度追い、3度追いしてきてかなりアグレッシブなチームなので、そこに展開的に呑まれないように、しっかり自分たちがボールをキープしながらゲームをコントロールしていけたら、うちに分がある戦いになると思います」

今季は一時、最下位にまで沈んだ千葉だが、まずはJ1昇格プレーオフ進出圏内にまで浮上するには、今節は前節で敗れているだけに特に重要な一戦となる。
「上に行くためには連敗しないというのが非常に重要だと思います。ホームでは絶対勝っていくというのを続けていかないと、やっぱりJ1昇格とか上位進出というのは見えてこないと思うので、そこは特に意識してやっていきたいなと思います」

トレーニングで気になるところ、こうしたほうがいいのではないかと思うところがあれば、選手だけでなく江尻監督にも自ら意見を言って話し合う。3月28日の練習後の囲み取材で、田坂と話し合っていたことについて質問すると、江尻監督はこんなふうに答えた。
「田坂は賢いですからね。経験のある選手ですから。僕が提供するのは、簡単に言うと物差しというか基準。でも、ピッチに立ったら9割方は僕が示した以外のことだと思っている。その9割の中の部分を彼が質問してきたんだけど、それはすごく大事なことだよね。基準として示した中で、みんながダメだった時にやっぱり何もなかったのでは困るので、よりどころがあるというか、その中の基準をベースにして、選手が肉づけをしていくというふうな形に持っていければいいと思っている。それで、彼はその肉づけの話をしてくれました。それに対して僕はこういう考えだし、そこが重要だから選手でもっともっと考えて自主性を持って、自立してやってほしいという話はしました」

監督の指導方法の違いの影響もあるが、J2で低迷してきた千葉に不足していた部分で田坂は能力を発揮している。チームの攻守を支えるポジショニング、そして攻守をよりよく進めるコーチングで、田坂は勝利に貢献しつつ千葉を強くしていく。

文:赤沼圭子(千葉担当)


明治安田生命J2リーグ 第9節
4月14日(日)15:00KO フクアリ
ジェフユナイテッド千葉 vs ファジアーノ岡山
フクダ電子アリーナ(ジェフユナイテッド千葉)
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