【横浜FC vs 鹿児島】最終ラインの破壊者にしてアーティスト、カルフィン ヨン ア ピン

2019年8月23日(金)


約2カ月前の第19節から7連勝を含む10戦負けなしの横浜FC。第18節終了時点では14位だった順位も、J1自動昇格圏の2位とは勝点4差の4位に浮上した。その躍進を支えているのは、ここまでリーグ最多の45得点を挙げている攻撃陣の好調もあるが、無失点試合こそ少ないもののほとんど複数失点を許さない守備陣の奮闘も忘れるわけにはいかない。

その守備陣を牽引しているのが、今季で横浜FCに来て3年目を迎えるキャラことカルフィン ヨン ア ピン(写真)だ。5月半ばにタヴァレス前監督の後を継いで就任した下平隆宏監督は、組織的な4バックの守備を導入したが、頼りにしたのがキャラの特徴である広いエリアをカバーできる能力だった。「日本人は監督が言ったことを一所懸命に守ろうとして、『お前はこの範囲を守れ』と言われた以外のところに行こうとしない。そうじゃなくて、危険だと思ったらその場面で選択してやることが大事なんだ」とキャラは言う。清水時代から高く評価された「ビッグエリア・カバー」はまさにJ1級だ。

ただ、キャラ本人は「僕は屈強なディフェンダーだと思われてるけど、それだけじゃない」と、オランダ育ちならではのプライドを持っている。「オランダではディフェンスは守備だけすればいいのではなく、攻撃も求められる。そうして自分も育ってきた」。最終ラインからビルドアップを求める下平監督のサッカーへの適応もスムーズだった。「自分は良いタッチでコントロールできるし、戦術的にも優れていると思っている。緊急事態ではフィジカルも使うが、それ以外はインテリジェンスを使ってプレーしたい」と、キャラはさらなる進化を見せる。

第15節の甲府戦では、左サイドの高い位置に上がってクロスでイバのゴールを演出。これが横浜FCに来て初めてのアシストだった。そして第25節の山口戦では見事なインターセプトから前線に縦パスを入れ、ワンツーで斉藤光毅の3人抜きゴラッソの起点となった。

「僕は守備より攻撃のほうが好き(笑)」とキャラは言う。「攻撃は何かを生み出すことで、それは芸術だ。ディフェンスというのは、誰かが美しく描いた絵を壊しにいくことで、あまり良い仕事じゃない(笑)」。ただ、鋭い読みのインターセプト、危機を察知しての素早いカバー、屈強なフィジカルでクリーンにボールを奪い、最後は体を張ったスライディング……それらのプレーはディストラクティブかもしれないが、十二分に美しいだろう。「サッカーは芸術で、何かを生み出すというのは好きだ。チェスみたいにフィールドで選手を動かして、いつも4パス、5パス先を読んでいる」という、そのインテリジェンスが彼の美しい守備を支えている。さらにはチームとして描く攻撃という絵の起点となるべく、カルフィン ヨン ア ピンは今日もピッチに立つ。

文:芥川和久(横浜FC担当)


明治安田生命J2リーグ 第29節
8月24日(土)18:00KO ニッパツ
横浜FC vs 鹿児島ユナイテッドFC
ニッパツ三ツ沢球技場(横浜FC)
みんなの総合評価 (4.2)
臨場感 (4.7)
アクセス (3.6)
イベント充実 (3.4)
グルメ (3.2)
アウェイお楽しみ (3.0)

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