【名古屋 vs 浦和】鮮やかなる復活劇を期する太田宏介。“調子乗り世代”はまだまだ終わらない

2020年8月7日(金)


プロ15年目の33歳は年長者を自覚しつつもベテラン扱いを拒否する。「僕はまだまだフレッシュに、ルーキーのような気持ちでやっていますよ!」。笑顔は若々しいというより無邪気で、自信がそのまま言葉の強さに表れるような話しぶりはこの男の底抜けの明るさを象徴するかのようだ。プレシーズンキャンプで右脛骨の疲労骨折が判明し、ボルトを埋め込む手術を経て約半年。リハビリには想定外に時間がかかってしまったが、長期にわたるリーグ中断期間がそのまま治療期間に充てられたのはある意味で幸運だった。万全を期して戻ったJリーグYBCルヴァンカップ清水戦でのパフォーマンスを見れば、太田宏介の復帰が好調のチームにとって、追い風となるのは一目瞭然だ。
 
「名古屋のサイドバックは守備的な選手が多いので、僕はそこでも違った長所を持っている」。確かに吉田豊や宮原和也、最近もオ ジェソクが加入し、対人守備に特徴のある選手が多い名古屋のサイドバック陣では、太田や絶賛売り出し中の成瀬竣平など攻撃面での貢献度が見込める選手はそれだけで魅力がある。太田はさらに左利きのプレースキッカーとしても有能で、直接狙うのもヘッダーに合わせるのも得意科目。水曜日のカップ戦でもバー直撃のFKを見舞っており、その精度とパワーを改めて見せつけた。カウンターを含めた速い攻撃を得意とするチームスタイルが今季の名古屋だが、金崎夢生や山崎凌吾を生かしたクロスからの攻撃も増えていけば、試合の支配力はさらに増す。
 
現在のチームには負傷者が多く出ており、今節の浦和戦でも数名の離脱は確定的。その状況を鑑みても頼れる“ベテラン”が戻ってきたことは戦力的にも戦術バリエーション的にも朗報で、太田と吉田豊、成瀬らによる左右のサイドバック2枠争いの加速は良いアクセントにもなるはず。新型コロナウイルスの影響による自粛期間には、「調子乗り世代」と呼ばれた同期たちとの情報交換も多かったといい、もう一花も二花も咲かす気概をたぎらせて臨むシーズンにもなった。「エネルギッシュなヤツが多いんでね。僕たち“調子乗り世代”がまたJリーグとサッカー界を盛り上げていけるようにピッチで表現したい」。負傷の前より強くなって戻ってくる、というのはリハビリに挑む選手の常套句だが、太田からほとばしる躍動感はまさにそういった類のものだった。
 
真夏の連戦はここからが本番。しかし意外なほどに選手たちからはモチベーションの高さしか伝わってこない。体力的な不安要素がないわけではないが、サッカー選手にとって試合は何よりの楽しみであり、好調の名古屋にとってはなおのことサッカーが楽しく感じるところ。おまけに太田ときたら根っからのポジティブ人間である。つい先ごろまでチームを悩ませたコロナ禍の影響を問われても、練習以外の外出を控えていますとキッパリ。それはストレスでは?と聞かれての答えは傑作だった。
 
「僕、普段からまったくストレスを感じないハッピーな人間なんで(笑)。さらにサッカーを毎日できるようになったことで毎日が幸せなので。ストレスは感じていないです」
 
サッカーができる幸せを、ありったけ左サイドでのプレーに込めて。魂と喜びのクロスは名古屋の快進撃を明るく力強くアシストする。


文:今井雄一朗(名古屋担当)


明治安田生命J1リーグ 第9節
8月8日(土)18:00KO 豊田ス
名古屋グランパス vs 浦和レッズ
豊田スタジアム(名古屋グランパス)
みんなの総合評価 (4.5)
臨場感 (4.7)
アクセス (3.4)
イベント充実 (4.1)
グルメ (4.0)
アウェイお楽しみ (3.7)

みんなの口コミで作る「スタジアムナビ」
全スタジアムの新着投稿フォト

編集部オリジナル特集

移籍情報