【名古屋 vs 清水】チームを鼓舞し、助け、そして自らは得点も。金崎夢生は名古屋を最前線から牽引する

2020年9月25日(金)


チームはなかなか波に乗りきれない戦いが続く中、ひとり調子を上げ続けているのが金崎夢生だ。現在リーグ4得点は前田直輝に次ぐチーム2番目の成績で、ここ2試合連続で計3得点を挙げている。鳥栖からの期限付き移籍で4月に合流し、6月に新型コロナウイルス感染症に罹患、十分な回復期間をおいてリーグ再開後に無事デビューを果たすことができたストライカーは、もはや名古屋の攻撃に欠かせぬ人材となった。
 
期限付き移籍ながら“復帰”と報じられることが多いほど、名古屋のカラーが染み付いている。合流初日も馴染みの顔には「久しぶりですねえ」と柔和な笑顔を見せ、赤い練習着とユニフォームに何ら違和感がなかった。そして前回の在籍時とはまったく違うプレースタイルになっていても、名古屋というチームにすんなり適応した。鳥栖時代にも経験のあるフィッカデンティ監督が指揮官だったとはいえ、ここまでスムーズに馴染んでしまうとは、思いがけないほどだった。
 
金崎が請け負う重要なチームタスクが、前線で時間を作ることだ。ドリブラーとしては大柄だった180cmという長身を今は攻撃時のターゲットとして生かし、見た目以上に頑強なフィジカルコンタクトをもって敵陣深くに橋頭保を築く。ペナルティエリア内でのポストプレーも得意科目の一つで、相手DFからすればこれほど厄介な選手もいない。前節のG大阪戦でもエリア内中央という危険な場所で相手を背負ってボールを受け、チャンスメイクにつなげている。興味深いのが前節のDAZN中継で示された「ボールを持ってのスプリント数」で、金崎は前半だけで9本のスプリントをドリブルで記録していた。ポストプレーヤーとしての特徴を前面に押し出す31歳の金崎だが、20代前半のゴリゴリ系ドリブラーとしての特徴もまた捨てたわけではないのである。
 
そして得点力だ。コロナウイルスの影響でフィジカルコンディションを作り直すはめになり、金崎は再開初戦の清水戦から試合に出ながらの調整を余儀なくされていた。数試合経って徐々に整い始め、今はフルコンディションからの回復と調整の毎日となっているが、戦術的な交代と鳥栖との契約条項以外ではここまでほぼフルタイムで出場している。前線で削られ、倒され、吹っ飛ばされと重労働のポジションとしてはかなりのタフガイである。その中で川崎F戦の決勝点、神戸戦でのPK2発、そしてG大阪戦での先制点と重要な得点を決めてきた。それ以外の決定機もそれぞれの試合には何度もあり、ここ2試合ではその感性、集中力、勘などが特に研ぎ澄まされたことだろう。神戸戦でのPK2本をともに蹴ったことについて問われた金崎はこう答えている。「やっぱりストライカーなので、誰が蹴っても良いと思いますが、自分が蹴りたいと思った」。貪欲な姿勢はチームにも影響を与える。
 
「年齢が上の選手があれだけ闘ってくれて、あれだけ走ってくれれば、後ろの僕たちも走らないわけにはいかない」。米本拓司の言葉である。金崎は多くの言葉も発するが、何よりその執念があふれるプレーが仲間たちを発奮させる。闘志とは何か、気迫とは何か、勝利への気持ちとは何か。それは奇しくも「サッカーでメシを食っていくとはどういうことか」を説いた指揮官にも重なるところがある。技術や戦術だけではサッカーは成り立たない。闘ってこそ勝利をつかめるのだと、「44」をつける背中は雄弁に語っているのだ。
 
ホームで迎える清水は金崎の“名古屋再デビュー”の相手である。あの時は28分間の顔見せ程度の出場であり、清水はまだ本物の金崎を知らない。仲間を鼓舞し、チームを助け、そして得点を生み出すストライカーが、同一チームからのシーズン3勝目を演出する。


文:今井雄一朗(名古屋担当)


明治安田生命J1リーグ 第19節
9月26日(土)14:00KO 豊田ス
名古屋グランパス vs 清水エスパルス
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