【横浜FC vs 柏】評価急上昇中のユース出身2年目ボランチ、安永玲央。秘めた闘志をプレーに表し、『父親越え』を目指す。

2020年10月2日(金)


新型コロナウィルスの影響によるレギュレーション変更と試合日程の過密化に伴い、各チームで若手にチャンスが与えられ、そのチャンスをつかんでグッと伸びる選手が出てきている。横浜FCでその代表格が、ユース出身で2年目を迎えるボランチの安永玲央だ。今季、JリーグYBCルヴァンカップでは出場していたが、第14節・鳥栖戦で初めてリーグ戦でベンチ入りすると、続くFC東京戦で初スタメンを飾り、ターンオーバーした第18節・川崎F戦を除いてスタメン出場を続けている。

しかも、試合ごとに評価を上げている。中盤で激しくボールを奪い続け、攻撃につなげるパスを供給。下平隆宏監督は「守備で球際に激しく行き、ハードワークして戦える」ところを彼のストロングポイントとして挙げるが、「配球も良くなっているし、良いパフォーマンスを続けて成長している」とその活躍に目を細める。

横浜FMや清水でFWとして活躍した安永聡太郎氏の息子として生まれ、自然とサッカーを始めた。5人きょうだいのうち、男子は玲央ただ一人。父親の期待を一身に受けたことは想像に難くなく、下平監督によれば「小さいころから試合が終わるたびに聡太郎に怒られて、鍛えられたらしい」ということだ。ただ本人は父親絡みの質問が好きではなさそうで、「どこに行っても、お父さんの息子、息子、息子って言われてきた」と『息子』を3回も繰り返した辺り、有名人の息子にしか分からない複雑な感情があるのだろう。

「息子ではなく、安永玲央として認知してもらえるようにと思ってやってきた」という。 確かにサラブレッドではあるが、エリートでもない。川崎Fのジュニアユースで育ったが、ユースには上がれずテストを受けて横浜FCユースに入った。年代別代表に選ばれた経歴もなく、2種登録から昨季トップチームに昇格したが、7月末には育成型期限付き移籍でJ3富山に所属していた。その富山でも天皇杯の1試合でスタメン出場した以外は、リーグ戦では2回の途中出場にとどまっていた。

富山での彼はどうだったか。J's GOAL富山担当の赤壁逸朗氏によれば「天皇杯3回戦の仙台戦にスタメン出場したんですけど、J1を相手に善戦し、内容的にはこちらが圧倒していた試合で、移籍してきてすぐにボランチとしてスムーズにプレーしていたことに能力の高さを感じた」という。出場機会に恵まれなかったのは、「ボランチとしてチームの中心は花井聖で、実は仙台戦はターンオーバーして安永が代役を務めたんです。リーグ戦で夏以降はチームの調子が良かったこともあり、彼にはなかなか出番がなかった」ということだったようだ。

武者修行のはずが、彼には苦しい時間になってしまった。「初めて実家を離れて一人で生活する中で、同世代のいろんな選手の活躍を情報として聞いていた。自分とその活躍してる選手との差は何だろう?と考えていました」という。ただ、横浜FCユースの先輩で2018年から富山に期限付き移籍していた前嶋洋太(現在は水戸に期限付き移籍)が、「よく気にかけて面倒を見てあげていた」と赤壁氏は言う。安永は「こんなとき自分に何ができるのか考えて、しっかり体を作ろう」と思い、それを実践したが、かつて同じように横浜FCで試合に出られない中、レギュラーだった野村直輝(現大分)に誘われ『体幹部』を結成し、ひたすら体幹トレーニングに励んでいた前嶋の存在は、安永にとって幸いだったかもしれない。

「富山で考えたこと、体作りに取り組んだことが、今に生きている」と安永は言う。「去年までは軽いプレーがあったり、メンタル的に不安定なところがあった」と厳しい目で見てきた下平監督も、「今年が勝負、そういう思いでプレーしているのが伝わってきた」という。キャラクターとしては現代っ子らしく、素直でおとなしい部類に入るだろう。しかしピッチでは、「ゲーム形式の練習をやると、彼のコンタクトがかなり激しいので、いつも相手チームの選手がイライラしてますね(笑)」と指揮官が明かすように、激しい闘志を見せる。そうしたプロとしての姿勢、戦うという根本的な部分は父親の薫陶もあるだろう。そのベースに体の強さが備わり、さらには同世代の選手たちの活躍によって受けた刺激が彼本来の能力を覚醒させつつある。

逆に聡太郎氏を『安永玲央の父親』と呼ばせるには、どれだけの時間と活躍を必要とするか分からない。J1で活躍を続け、東京オリンピック、さらには海外へ、A代表まで行けば……。実は高校時代に、スペインでの海外挑戦も考えていたという。静かに、しかし激しい闘志を内に秘めて、安永玲央はまずJ1でその名を挙げる。


文:芥川和久(横浜FC担当)


明治安田生命J1リーグ 第20節
10月3日(土)16:00KO ニッパツ
横浜FC vs 柏レイソル
ニッパツ三ツ沢球技場(横浜FC)
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